国立能楽堂

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狩野派の絵画とともに味わう 能「小督」

 国立能楽堂では文化の祭典「日本博」の総合テーマ「日本人と自然」によせて、4月から6月の3か月間にわたり、《日本人と自然》をテーマに作品を特集しています。4月は「春夏秋冬」として、日本の四季を象徴する演目を取り上げます。
 展示室で開催中の特別展「日本人と自然 能楽と日本美術」でも公演テーマと関連する名画・名品が数多く出陳されています。舞台と美術品を同時にお楽しみいただける貴重な機会です。

4月16日(金)定例公演 午後5時30分開演



能「小督」 佐野登


狩野益信筆「想夫恋図」(東京富士美術館蔵)

 16日の定例公演では《秋》の作品より、狂言「栗焼」と能「小督」をご覧いただきます。
 行方知れずの小督局を探しに、高倉院の命を受けた源仲国は馬を走らせます。小督が琴の名手であることをたよりに、仲国は中秋の名月の下、嵯峨野を探し回ります。すると法輪寺のあたりで聞こえてきたのは恋する夫を思う「想夫恋」という曲でした。対面を果たした二人は、かつて宮中の宴で琴と笛をともに奏したことなどを思い起こし、一刻の語らいをします。
 小督と仲国の心の交わりが楽器の音とともに描かれた、「平家物語」を典拠とする本曲は、今回展示される狩野益信筆「想夫恋図」でも味わうことができます。十五夜の月、庵に色づく紅葉の中に描かれた小督と仲国。澄み渡る空気の中、冴え冴えと琴の音が響くさまが画をとおして浮かびあがってきます。絵画と能とそれぞれの表現で「小督」の作品世界を心ゆくまでお楽しみください。なお、展示室はお客様の密集回避のため、公演休憩時にはご利用いただけませんので、開演前の時間を利用してご覧ください。
 同日上演の狂言は「栗焼」。パチパチと栗が焼けていく様を演者の腕ひとつで巧みに見せる芸に注目です。豊かな日本の四季を能楽堂でお楽しみください。


あらすじ

栗焼
 客にふるまう栗を焼くことを主人から命じられた太郎冠者。焼きあがった栗はいかにもおいしそうです。味見と称してひとつ食べると、あまりのおいしさに手がとまらなくなり…。

小督
 高倉院が寵愛する小督の局は、中宮徳子の父・平清盛の権勢を恐れて宮中を去り、嵯峨野に身を隠しています。嘆き悲しんだ院は、行方を探すよう源仲国に命じます。
 今宵は仲秋の名月。琴の名手の小督は月に誘われて琴を弾くに違いないと思った仲国は、嵯峨野に馬を走らせます。予想は的中し、聞こえてきた「想夫恋」の曲で隠れ家をつきとめます。一度は対面を拒む小督でしたが、熱意に打たれて仲国を招き入れます。院からの親書を受け取った小督は、返事を仲国に託します。名残の酒宴の後、仲国は小督に見送られ、馬に乗り都へと帰っていくのでした。

【あらすじ/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】


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