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国立劇場

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【3月舞踊公演「素踊りの世界」】出演者メッセージその2 猿若清方

猿若流を復興した流祖の初世猿若清方(1915~2003)は新作の歌詞も多く手掛けるなど、文才も備えた洒脱な舞台人として知られていました。〈素踊りの世界-伝統と創意の息吹-〉の最後を飾る「今は昔」はその筆によるもので、古き良き江戸、そして東京の風情を描きます。



猿若清方

―閉場がいよいよ10月末に控えています。今の劇場への思いなど、お気持ちをお聞かせください。

猿若清方(以下、清方):国立劇場はもちろんですが、舞台に立った劇場一つ一つに色々な思い出があります。
舞踊の初舞台は6歳で新橋演舞場、歌舞伎の初舞台は9歳で歌舞伎座のこけら落とし、そして猿若流家元を襲名したのは40歳で国立大劇場。まさしく今回、上演いたします演目「今は昔」のようにすべて昔となりますが、私にとっては貴重な昔ばかりです。


―劇場の舞踊公演に初めてご出演いただいたのが昭和44年〈明治の舞踊〉での「船弁慶」でした。これまでにも度々ご出演いただきましたが、ご自身の舞台のことなどで印象に残っていることがあればお教えください。

清方:国立劇場の開場は昭和41年(1966)11月、私が25歳の時でした。自分の初出演や舞台のことよりは、今後、日本舞踊の公演を多く開催してくださる劇場が出来たと、大変嬉しく期待したことを覚えております。


昭和44(1969)年1月 『明治の舞踊』
「船弁慶」伊豆右衛門尉有経・猿若清三郎(現=清方)

―今回の「今は昔」について、やりがいやお客様にお楽しみいただきたい点など、お考えがあればお聞かせください。

清方:過ぎ去って久しい戦前からの昭和の東京が題材ですので、若い方々には難しいというか、実感のない部分もあるかもしれませんが、往時の東京の風情を感じていただければ嬉しいです。もちろん、懐かしく思える方々には大いにお楽しみいただけると思います。


―「今は昔」は、その元となった作品は昭和62年(1987)初演で、猿若流ならではの演目として上演を重ねてきました。

清方:この作品は、一番初めは「昔ありけり」という題の長唄の作品で、父である流祖(初世猿若清方)が踊りました。その後、何か思うところあって、歌詞も改めて、新たに「今は昔」として私が踊らせていただきました。「今は昔」と演目名を言い換えたところに、流祖の想いが込められていると思っています。


「今は昔」初世猿若清方

―閉場前に記念として写真を1枚残すとしたら、劇場のどの場所(光景)をお撮りになりますか?

清方:劇場正面の全景、ロビー、そして大劇場の楽屋の廊下でしょうか。1枚に絞り切れませんね(笑)


―ありがとうございました。

今回は古典の名作とともに、昭和・平成の作品も取り上げ、素踊りの奥深く多彩な味わいをお楽しみいただきます。
ぜひお見逃しなく!

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