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【11月舞踊公演「舞の会」】出演者メッセージその4 楳茂都扇性

楳茂都流を創始した初代楳茂都扇性(1826~1894)は明治期に活躍し、以降、二代目家元・二世扇性(1865~1928)、三代目家元・陸平(1897~1985)と受け継がれてきました。座敷舞、歌舞伎や文楽の振付作品のほか、進取の精神に富む、様々な新作も生み出しています。
四代目家元は、歌舞伎俳優として活躍する片岡愛之助が平成20(2008)年に継承し、楳茂都流と舞の普及に力を尽くしています。



楳茂都扇性

―今回は上方舞の楳茂都流家元としてのご出演です。

楳茂都扇性(以下、扇性):東京ではあまり舞う機会がなく、この「舞の会」も11年ぶりとなります。座敷舞は上方で大切に伝承されてきた芸能ですが、歌舞伎をご覧になるお客様でもご存じでない方も多く、なかなか知られていないというのも現状です。縁あって家元に就かせていただいたので、一人でも多くの人に届けたい、という思いで楳茂都流の活動をしています。




平成23(2011)年11月 『舞の会』
「屋島」楳茂都扇性


―「舞」と歌舞伎俳優として披露する「踊り」、どんな違いをお感じですか?

扇性:小学生の頃から日本舞踊の稽古をしてきて、それが体に染みついてますので、例えば「こういう流れだとこっちを向くな」というところで、首の動きが歌舞伎舞踊と舞だと逆になることがあります。また、歌舞伎のように役になるということとも違いますので、顔の表情も抑え気味になります。その分、目の色というか、視線というか、そういったところにも気を配りたいと思います。お客様にもそのあたりの違いをお楽しみいただきたいですね。


―楳茂都流の名作の一つ、「都十二月」を上演していただきます。

扇性:流儀にとっても大切な作品で、多くの方が舞われてきました。お正月から大晦日まで、京都の情景、風物が描かれています。歌詞も分かりやすく、コミカルな雰囲気もありますので、面白くご覧いただけると思います。まろやかな地唄の響きにも耳を傾けていただければと。


―劇場も閉場まで1年を切りました。

扇性:先輩方の血と涙の結晶であり、また、様々な想いが染みついていますから、どの劇場もいずれは建て替えの運命あると分かっていても、寂しいですね。


―初めて国立劇場にいらした際は、どんな印象をお持ちでしたか?

扇性:「立派だな」というのが第一印象でしたね。ロビーも広々としていて天井が高く、楽屋も全ての部屋が1フロアに収まっていて洗練されているなぁとも。


—劇場の思い出として1枚、写真に残すとしたらどこを撮影しますか?

扇性:うーん……楽屋の廊下を写真に収めたいですね。国立は大劇場と小劇場の廊下が長くつながっていて、そういう広い楽屋スペースを持つ劇場はほとんどないので、国立ならではだと思います。本当はあともう1枚、出番の合間に食事をしなければいけない役者にとっては大切で、とてもお世話になった、かつての楽屋食堂も撮りたいですけど(笑)。


―ありがとうございました。



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