国立劇場

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【ご報告】国立劇場歌舞伎脚本募集説明会

国立劇場では、歌舞伎振興の一環として、新しい優れた作品を求め、広く一般から募集する「歌舞伎脚本募集」を、昭和53年度から実施しております。これまでに多数のご応募を頂戴しましたが、応募作品の充実を図るため、初の試みとして「歌舞伎脚本募集説明会」を実施しました。当日は、平成17年度から選考委員を務められている作家の竹田真砂子氏を、講師に迎えました。

竹田氏は、歌舞伎脚本の創作の心構えについての留意点を話されました。

1.知っていることを全部書かないこと。(説明過多になりやすい)
2.「人」をしっかり書くこと。
3.テーマを決めること。(作品を通して作者がどうしても伝えたいこと)
4.書きあがった作品を声に出して読むこと。(言葉使いの点検)
「耳に馴染む言葉使い」に関連した注意として、江戸の言葉使いを安易に取り入れないほうがよい場合もある。分かりやすく美しい現代語で書かれた新作もある。歴史物、特に平安時代を舞台にした作品などでは現代語を使い、効果を挙げている。
5.自分の作品を大切にすること。
歴史劇を書くなら、歴史は勝者の立場で残された記録であることを認識してほしい。史実と異なる場合があってもよい。創作の意義は、隠された真実を書く点にもあると思われる。
6.歌舞伎を愛し、敬意を持つこと。
既存の古典を消化してこそ、真に新しい歌舞伎作品が生まれる。
同時に、戦後以降に上演された優れた作品からも吸収してほしい。

竹田真砂子氏

続いて、平成2(1990)年度優秀作二席『忠度』や同10年度優秀作『実朝』の作者で、現在は国立劇場制作部歌舞伎課に所属する岡野豪が、創作や上演の過程を紹介しました。『忠度』は平成4年、『実朝』は平成15年に上演されました。

1.作品の執筆における留意点
定評のある近現代の歌舞伎作品を手本にして熟読し、読みやすい書式、分かりやすい言葉使い、ドラマチックな構成等を学び取る。
2.選考委員より受けた注意点
  • ・「作品のねらい」を充分に練り上げ、読者に訴えかける内容にすること。
  • ・強調したい台詞の前に、「したが」「されど」「なれど」等逆説の接続詞が安易に付く。応募脚本に散見される特徴で、工夫が必要である。
3.上演を通して学んだこと。
  • ・作者にとって重要だと思っていた台詞が、カットされることもある。しかし、登場人物の性格や心情を演技で表現するための参考になるので、伝えたい内容は書き込む方がよい。
  • ・舞台効果を高めるため、オリジナルをさらに膨らませて、聴かせる長台詞を書くよう求められることもある。

この後に行われた質疑応答の中で、場面数についての質問がありました。竹田氏からもご指摘がありましたが、近年は、演劇の脚本の体を成さず、まるで映像のシナリオのように、短時間の中で約10~20場面を描く応募作品も散見されます。次回予定の募集では、応募原稿の規定枚数は400字詰原稿用紙に換算して60枚以内、上演時間は1時間強を想定しています。

最後に竹田氏は、「歌舞伎の脚本は、あらゆる未知の題材を扱うことができると思います。そのためには、まず、歌舞伎をよく知ることが大切です。」と、次回の応募に期待を寄せられました。

募集要項は、決まり次第、国立劇場のホームページ等でお知らせいたします。皆様のご応募を心よりお待ちしております。