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【2月文楽】迫力満点! 文楽版「勧進帳」の魅力

 2月文楽第三部では『鳴響安宅新関(なりひびくあたかのしんせき)』「勧進帳の段」を上演します。
 平家追討後、兄・源頼朝と不和となった義経が奥州に下る苦難は『義経記』などに描かれ、それを脚色した謡曲『安宅』や歌舞伎の『勧進帳』が生まれました。
 人形浄瑠璃では、明治28年(1895)大阪稲荷座で、『鳴響安宅新関』の題で初演されています。名人と謳われた二世豊澤團平の作曲です。
 「勧進帳の段」のみどころ、そして、人形浄瑠璃文楽ならではの魅力を舞台写真とともにご紹介します。

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 兄から疎まれ、都を逃れた義経は、弁慶たち数人の家来と共に、藤原秀衡を頼って奥州(東北地方)へと向かっています。

 逃亡中の義経が山伏に変装していることを知った頼朝は、諸国に新しく関所を設け、山伏の詮議を行わせています。加賀国安宅の関(現在の石川県小松市)を守る富樫之介正広は、番卒たちに関所を通る山伏達を捕らえるよう命じます。


『鳴響安宅新関』平成26年5月文楽公演より(以下すべて同じ)


 そこに強力(ごうりき・山伏の従者)姿の義経と、山伏に扮した弁慶たちが、通りかかります。




 弁慶が、自分たちは東大寺再建のための勧進(寄付)を募っている本物の山伏だと弁明すると、富樫はならば勧進帳(寺社、堂塔の建立、修理のため寄付金を募る趣旨を記した文書)を読み上げろと迫ります。
 弁慶はとっさの機転で、持ち合わせの巻物を開き、大仏建立のため諸国を巡る旨を高らかに読み上げます。


 偽の勧進帳を朗々と読み上げる弁慶の姿が印象的な、本作一番の見せ場です。




 なおも正体を怪しむ富樫は修験の法について様々に尋ねますが、弁慶はいずれにも淀みなく答えていきます。弁慶と富樫、息をもつかせぬ丁々発止の問答に、舞台は緊張感に包まれます。

 やがて、弁慶の返答にすっかり感心した富樫は、寄付を与えて関所を通らせようとします。
 一行が安堵したのもつかの間、少し遅れて歩く義経を富樫が呼び止めます。緊張が走る中、弁慶は突然、金剛杖を振り上げ、足手まといの強力め、と義経をさんざんに打擲します。


 主君を守るため、断腸の思いで義経を打ち据える弁慶の姿には、鬼気迫るものがあります。


 その必死の様子に、富樫は再び関所の通過を許すのでした。

 関所から離れ、浜辺に差し掛かった義経と家来達は、弁慶の機転を褒めます。しかし、主君を打った罪深さに、これまで泣いたことがない弁慶も悔恨の涙をこぼします。

 そこに富樫が追いかけてきました。またしても現れた関守の姿に、一行は警戒しますが、富樫は非礼の侘びとして酒を勧めます。弁慶は大酒を飲み干すと、延年の舞を舞い始めます。






 太夫・三味線の華やかな演奏と人形の勇壮な舞に、舞台から目が離せません。

 舞に興じながらも、義経達にそっと出立を促す弁慶。義経達が立ち去ると、最後は弁慶の圧倒するような「飛び六方」とともに幕となります。




 主君を守ろうとする弁慶の決死の覚悟と忠義、その心に触れて関所を通す富樫の心意気。関所を舞台に、逃げる者と阻む者、交錯するそれぞれの想いが胸を打ちます。

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 三人遣いによる弁慶の大きくも緻密な動きは文楽ならではのものです。特に飛び六方による豪快な引っ込みは見逃せません。また、床にずらりと並んだ太夫7人の掛け合いと7挺の太棹三味線による義太夫節が、緊迫した舞台をさらに盛り上げます。



 見どころ、聞きどころにあふれた文楽版「勧進帳」。緊張感あふれる大迫力の舞台をぜひ劇場でご堪能ください。

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2月文楽公演は、2月8日(土)~24日(月・休)
第一部:午前11時開演/第二部:午後2時30分開演/第三部:午後6時開演

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