芸術文化振興基金

日本フィルハーモニー交響楽団 第47回九州公演

文化芸術振興費補助金助成事業令和3年度助成事業事例集

公益財団法人 日本フィルハーモニー交響楽団
(助成金額:26,316千円)

活動概要

【団体の紹介】

日本フィルハーモニー交響楽団は1956年6月創立。楽団創設の中心となった渡邉曉雄が初代常任指揮者を務め、現在は「オーケストラ・コンサート」「リージョナル・アクティビティ」「エデュケーション・プログラム」という三つの柱で活動を行っています。充実した指揮者陣を中心に演奏会を行い、“音楽を通して文化を発信”しています。

2011年の東日本大震災以来継続的に行っている「被災地に音楽を」の活動は2022年8月1日までに315回を数え、その活動が高い評価を受け2022年に第16回後藤新平賞を受賞いたしました。

【助成を受けた活動の紹介】

日本フィル九州公演は1975年にスタートし、2022年2月に第47回を迎えました。現在、九州全7県10公演という規模のツアーで、他の音楽団体の追随を許さない充実した活動を展開しております。

この活動の大きな特徴は、すべての地域で、日本フィルと市民ボランティア団体である日本フィル公演実行委員会が一緒に各地の劇場・音楽堂や地域コミュニティーと協同して開催していることです。オーケストラ公演を核としながら、日本フィルメンバーによるアウトリーチ活動、ホールに来られない方々への室内楽活動なども行い、地域間の市民が経験交流を重ねながら行政や世代の枠を超えて音楽普及活動を継続することにより、九州全体の音楽文化の振興と発展に寄与することを趣旨・目的として活動しています。

助成を受けて

2週間にわたる大規模ツアーでは多額の経費が必要ですが、東京の団体であることで発生する旅費・交通費の年々の高騰、また各地の実行委員会がボランティア組織であることから財政的基盤は常に不安定です。劇場・音楽堂との協同、行政との連携、企業・法人の会員制度の導入などさまざまな取り組みを行い運営を継続しています。

地域間の格差なく質の高い実演芸術に触れる平等な鑑賞機会を提供し、音楽文化の定着・発展に寄与するために、貴振興会へ助成を申請しております。

助成の意義

小さいホールしかない地域では、入場料収入の限界からオーケストラ公演の開催が困難であり、特に2022年は感染症の影響からさらに制限も多かったが、この助成が精神的・経済的な下支えとなり、確実な公演開催へとつながりました。折しも当ツアーの時期は感染症第6波のピークに当たり他の催しが次々と中止になるなか、感染症対策に万全を期して公演を開催し、生演奏を渇望していた各地の聴衆の期待に応えて、コロナ禍においても文化の灯をともし続けることができる確かな実績を築くことができました。

少子高齢化・人口減少が進む日本社会で、文化芸術を鑑賞・体験する機会を格差なく提供することこそ人々の心を潤し社会の底力になることを実感しています。この九州公演を安定して継続し、今後も各地で子どもたちから高齢者まで美しく豊かな音楽を楽しむ機会を失うことのないよう努力を重ねて参りたいと思います。

今後の活動

日本フィルは長年にわたり築いてきた「人に寄りそう」「あたたかさ」という楽団のカラーがございます。九州でも48年間にわたり“市民とともに歩むオーケストラ”として世代を超えて広く親しまれ、2世代・3世代で演奏を楽しむ方々が各地におられますが、この助成によりさらに積極的な活動ができ、より発展することができることを実感しています。

今後も、人対人の関係を大切にしながら、地域の市町村や行政、企業・法人とも連携を強め、地域社会において子どもたちから高齢者まで音楽を日常的に楽しみ、人々の生活や人生を潤し生きる力になるような活動を継続・発展してまいりたいと思います。今後も、”今、何をすべきかオーケストラ”を自分たちに問いかけながら、あらゆる人々、世代、地域、世界への取組みを展開し、多くの皆さまからの変わらぬ支援とお力添えにお応えしていきたいと考えております。

公益財団法人 日本フィルハーモニー交響楽団