芸術文化振興基金

定期演奏会

文化芸術振興費補助金助成事業令和3年度助成事業事例集

公益社団法人 大阪フィルハーモニー協会
(助成金額:83,304千円)

第555回定期演奏会 ©飯島隆

活動概要

1947年に西日本初のプロオーケストラとして、指揮者・朝比奈隆を中心に「関西交響楽団」の名称で発足し1960年に改称。創立から2001年までの55年間、朝比奈隆が音楽総監督・常任指揮者を務め、大阪フィルは個性と魅力溢れるオーケストラとして市民に愛されてきた。特にベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーといったドイツ・オーストリア音楽を中心レパートリーとして築き上げた重厚でダイナミックな演奏は「大フィルサウンド」と呼ばれ、日本を代表するオーケストラとして今もその存在感を放っている。そして現在、第3代音楽監督を務める尾高忠明の下、大阪フィルは更なる飛躍を目指してサウンドを洗練させ、21世紀のオーケストラに求められる幅広いレパートリーに取り組んでいる。

助成を受けた活動は、大阪の文化芸術の発信拠点である中之島のフェスティバルホールで年10回(1回2公演)開催している定期演奏会をはじめ、音楽監督と毎年、ザ・シンフォニーホールで開催している一人の作曲家にフォーカスした特別演奏会(令和3年度は「ドヴォルザーク・セレクション」Ⅰ~Ⅲ)、そして幅広い聴衆層に楽しんでいただく名曲シリーズ(マチネ2回、ソワレ2回)で、いずれも好評を博した。

助成を受けて

当団の演奏会には、関西を中心に幅広い地域から熱心な音楽ファンが多数来場され、毎年、共演する指揮者、ソリストの顔ぶれや曲目にも大きな注目が集まります。そうした聴衆の期待に応えられる実力と魅力を持った共演者を国内外から招き、4管16型を基本編成とするフル・オーケストラならではの大編成作品にも取り組むためには、費用面において助成金が不可欠です。

尚、令和3年度については新型コロナウイルスの影響により、前年度に続いて定期演奏会等で招聘する予定であった海外在住の指揮者・独奏者が入国制限によってほぼ来日することができず、代役を立て曲目も変更するなどして開催しましたが、5月定期を中止せざるを得なくなる等、多難の年となりました。しかしそうした状況の中、指揮者のカーチュン・ウォンや松本宗利音、ヴァイオリンの金川真弓、辻 彩奈といった次代を担うアーティストを代役に招き、新たな才能と出会う機会を多く作れたことは、予想外の成果を生み、クラシック音楽界の未来に大きな可能性を感じることができる、充実した1年となりました。

助成の意義

助成を受けられたことで、コロナによる曲目の変更においても、古典から近現代作品まで変更前と遜色のないバラエティに富んだプログラムを組むことができ、入場料金も幅広い聴衆層が買い求められる料金設定で開催することができました。

またパンデミックによって人々の行動が制限され、かつて経験したことのない不安が世界を覆っている今、いかに文化芸術が人として生きる喜びと実感を得るために必要不可欠なものであるかということを、多くの人が再認識したのではないかと思います。長い歴史の中で高め深められて来たクラシック音楽には、民族を越えて人々の心を癒し豊かにする力があり、公的助成を受けられることで、私たちは優れた芸術作品を高い水準で再現し広めていくことができると感じています。

第554回定期演奏会 ©飯島隆

第549回定期演奏会 ©飯島隆

今後の活動

当団は今後も演奏活動を通して、日本の音楽芸術の水準向上に貢献し、聴衆の裾野を広げるために様々な方法で鑑賞機会を提供していくとともに、音楽を通した青少年の教育にも積極的に参加し、社会に貢献していきたいと考えています。

公益社団法人 大阪フィルハーモニー協会