芸術文化振興基金

オリジナル舞台作品「BIRDMEN」公演

芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集

静岡市文化振興財団共同事業体(静岡市民文化会館)
(助成金額:629千円)

写真:鈴木元気

活動概要

静岡市文化振興財団共同事業体は、公益財団法人静岡市文化振興財団・株式会社アス・NTTファシリティーズ・太平ビルサービス株式会社・タイムズ24・タイムズサービス株式会社で構成し、静岡市民文化会館の管理・運営行っている。グループ代表である公益財団法人静岡市文化振興財団は、演劇・舞踊・美術・音楽・科学・歴史・生涯学習等の文化振興に関する事業を行い、市民が各種文化に触れる環境の整備と市民自身による文化創造活動を促進し、もって魅力ある静岡文化の創造、継承、発信に寄与することを目的とし設立。静岡市の文化・教育に係る行政施策の実現に寄与すべく、日々取り組んでいる。

静岡市民文化会館は2012年から「静かな岡を賑やかな岡にする」というコンセプトのもと、2016年度から「ラウドヒル計画」と名付けて、オリジナル舞台作品の制作に取り組んでいる。一貫して「市民参画」「静岡の地域資源をテーマに完全オリジナル」「高い完成度のエンターテインメント」にこだわり、長期プロジェクトとして展開している。

オリジナル舞台作品「BIRDMEN」は、2017年に制作した作品のうちの1つで、第二次世界大戦中に静岡を拠点としていた“芙蓉部隊”を題材にしている。敗戦色が濃くなった日本の、静岡にあった美濃部正少佐が率いる特攻を拒否した航空隊“芙蓉部隊”で、夜間攻撃に特化した訓練を受ける兵士たちの物語と、現代の静岡にある零細ゲーム制作会社で、七転八倒しながらゲーム開発に乗り出してゆく社員たちの物語という、2つの静岡、時代の違う静岡の物語が交差・シンクロすることで、人が抱くべき信念のカタチを描いている。

助成を受けて・今後の活動

静岡市民文化会館における市民参加型(ラウドヒル計画)舞台作品の制作コンセプトは、「完全オリジナル作品」「誰でも気軽に楽しめること」としている。わかりやすく、観劇していて楽しくなり且つ舞台芸術としての感動をもたらすために、いわゆる“市民参加型”のレベルを超えた高い完成度を目指すことを第一義に掲げている。また、中高生を主とした若年層をはじめ幅広く多くの方に観劇していただきたい思いもあり、チケット料金は安価に設定している。反面、作品クオリティを高めるために、演出に係る照明・音響・舞台装置などを第一線で活躍する舞台スタッフに依頼しているため、その経費を入場料収入で賄うことは不可能で、助成により舞台機構を最大限に活かしたクオリティの高い演出効果を保つことができている。

そのクオリティの高さにより、観覧者アンケートでは毎回90%を超える高い満足度を得ているだけでなく、舞台に立つ市民が繰り返しオーディションに参加するなど、静岡市の文化芸術活動に大きな成果をもたらしている。

今後も、公共ホールが主体的に静岡の人々に向けた独自の舞台エンターテインメントを制作・発信することで、文化面からこの街・静岡に暮らすことの良さ・楽しさを多くの市民に再認識していただければと思う。また、市民参加者には公演制作に携わることで、芸術文化を表現する機会や、経験、人脈等を広げる場となればと考えている。

静岡市文化振興財団共同事業体(静岡市民文化会館)