芸術文化振興基金

高知県立美術館冬の定期上映会「撮影監督 近森眞史 特集」

芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集

公益財団法人 高知県文化財団(高知県立美術館)
(助成金額:532千円)

左:撮影監督 近森眞史氏
右:星加コレクションを見る近森氏

活動概要

高知県立美術館では、1993年の開館以来、399席の本格的なホールを有するという特長を生かし、映画、演劇、ダンスなどの美術以外の分野にも積極的に取り組むことにより、美術を核にしたアートセンターとして活動してきました。映画では定期上映会を毎年開催しており、様々な特集上映を行ってきました。ここ数年、日本映画では、2019年1月「子ども映画館 スクリーンで見る日本のアニメーション」、8月「怪奇と恐怖の饗宴~円谷プロが描いた50年前の日本~」、2020年1月「天才!木下惠介監督特集」、8月「真夏に味わうSF&ホラー~ウルトラQ、ウルトラマン、大林宜彦」、2021年1月「ATGとその時代」などを上映しました。

そして今回は、冬の定期上映会として2022年1月19日~23日に「撮影監督 近森眞史 特集」を開催しました。近森氏は、高知県出身で日本大学芸術学部映画学科を卒業後、川又昂、高羽哲夫両氏に師事し「疑惑」、「迷走地図」、「黒い雨」、「男はつらいよ」シリーズなどの助手を務めた後、87年「卒業プルーフ」で劇映画デビューし、95年朝原雄三監督作品「サラリーマン専科1~3」「釣りバカ日誌14~20」を撮影。2010年の「おとうと」以降は日本映画を代表する撮影監督として山田洋次作品を担当し、日本映画アカデミー賞優秀撮影賞を8回受賞するなど日本を代表する撮影監督です。

助成を受けて

助成を受けることで、普段は映画監督や俳優の特集上映以外ではあまり取り上げられることのない撮影監督という、高知県出身の近森眞史氏の特集上映を行い、より広く高知県民に近森氏の名前を知らせることが出来ました。また松竹という日本の映画会社の看板を背負う山田洋次監督、朝原雄三監督などの撮影監督を務めていることも知らせることも出来ました。本助成を受けられたことで、上映作品を10本から12本に増やすことが出来て、近森撮影監督作品をより深く理解することが出来、また今では失われてしまった一級の娯楽作品の魅了を伝えることが出来ました。さらに近森氏をゲストに迎え、トークを行っていただくことも出来て撮影の工夫などをお伺いすることが出来て作品への理解もより深まりました。

またこの機会に助手時代やテレビ番組を含めたフィルモグラフィーを作成することも出来て、多様な作品を撮影してきたことが分かりより深い効果を上げることが出来ました。併せて高知県の映画文化の発展に大きく寄与された映画研究家・星加敏文氏のコレクションから、近森氏が関わった作品の脚本、チラシ、パンフレットをホワイエに展示することで、当時の作品の雰囲気を味わってもらうことが出来て助成の効果が上がりました。

助成の意義

助成を受けて、スクリーンを通して継続して日本映画の特集上映を行えたことは、日本映画の持っている技術的水準の高さを、多くの鑑賞者に知らせる良い機会となり、また多くの鑑賞者に文化芸術の豊かさを知らしめる機会となったことは大きな意義がありました。

今後の活動

今後も多様な文化芸術を多くの方に届け、文化芸術を持って社会に貢献していきます。

公益財団法人 高知県文化財団(高知県立美術館)

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