芸術文化振興基金

『映像とレコードの明治・大正・昭和』立体化再現創作公演と展示

芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集

ぐらもくらぶ(助成金額:247千円)

活動概要

当団体は主に戦前の記録物、特に録音物としてのレコード文化と無声映画時代の映像作品を中心に研究と発表の場として設立しました。浅草オペラのシンポジウム、地域の古い映像素材の公開、蓄音器コンサート、戦前のジャズ音楽・歌謡曲の完全再現立体化、歴史的資料の展示などが過去に行った具体的な活動です。

この度は、2021年11月4日から11月27日まで大阪・中之島図書館にて『「映像とレコードの明治・大正・昭和」立体化再現創作公演と展示』というレコード展示と映像と実演の三位一体となった活動を行いました。

これは上記期間中『レコードのある暮らしとデザイン ~レコードの明治・大正・昭和~』と言う戦前戦後のSPレコードと蓄音器や印刷物などの実物資料展示と、11月13日に『弁士付き無声映画とジャズ演奏とレコード演奏のコンサート』、11月27日『東西弁士による無声映画上映とレコード演奏のコンサート』という、如何に戦前のレコード文化、映像文化が密接に関係し協調・増幅しながら発展していったかを提示する三位一体のイベントを行いました。

助成を受けて

我々が今日イメージする「レコード」「昭和レトロ」というものから戦前における文化物は相対的に距離感があり、例えば展示する内容について一般の人に如何に理解してもらいやすい物を選定するか、演奏する音楽の選曲や映像作品の親しみやすさ理解度などを十分に精査する事が最大の関心事でした。マニアックすぎる自己満足なものではなく、観覧者の目線第一に何を提示するかを日々考察しております。

大阪府立中之島図書館は1904年(明治37年)に建設された歴史ある建物です。ここで歴史的資料と古い芸能を実演することは大変意義があると感じ計画しましたが、東京よりの物品の搬入搬出や講師・出演者の交通宿泊費などコストの面で大きなハードルがありました。よって今回ありがたいことに振興会の助成をしていただき、おかげさまで内容も充実したものとなり無事成功裏に終了することができました。

助成の意義

展示したレコードの中で地元大阪に関連したレコードを多数陳列でき地域の振興に与した点や、演説や朗読など人文系レコードの展示は図書館来館者との親和性が深かった点、普段は中之島図書館へ足を運ばない層による歴史的建造物への探訪など、単にイベント・ライブ・展示という事象にとどまらない複合的な視点が開催側にも来館参加者にも培われたと思います。

今回の展示は大きな反響をよび、特に読売新聞社では視察に訪れていただき、結果2022年6月10日より8月19日まで同様の展示企画を東京大手町・読売新聞本社にて開催していただきました。

同時に、類似の展示企画の依頼も多数いただき、今回の助成をいただいたことで更なる発展につながることができた事への重みを感じております。

今後の活動

今回の展示を経て、戦前のレコード文化・映像文化の芸術性を広く一般に知っていただく為の活動を更に推し進めたいと思います。

ぐらもくらぶ