芸術文化振興基金

人形劇団クラルテ 第97回公演こどもの劇場『11ぴきのねこふくろのなか』

芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集

有限会社 人形劇団クラルテ(助成金額:2,683千円)

活動概要

人形劇団クラルテは今年創立74年目となりました。大阪に拠点を置き、全国の幼稚園保育園、小学校や劇場などで全年齢を対象に年間800ステージ以上(コロナ禍以前実績)上演しています。

令和3年度芸術文化振興基金に“人形劇団クラルテ第97回公演こどもの劇場『11ぴきのねこふくろのなか』”を採択していただきました。本活動は、幼児から小学生のファミリーを主な対象にして、絵本原作の大型人形劇を関西5府県(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀)12会場19ステージ巡演し、有料数5,290人、総合計5,741人(3歳以上のみカウント)の観客にご来場いただきました。

助成を受けて

こどもの劇場公演は、60年以上前から大阪を中心とした関西の劇場で地域の子どもたちに向けた公演として継続してきました。しかし近年、不景気やコロナ禍の影響により公演数が激減し、劇団の財政状況は厳しい状況にあります。自主公演は仕込み費、会場費、宣伝費、さらに今は感染症対策のための費用といった多くの経費がかかり、作品を上演するためには十分な美術作業時間と稽古期間を必要とします。経費の確保及び、美術作業・稽古期間を保証するためにも助成を受けたいと思いました。

助成の意義

助成をいただくことで、舞台と人形の一部を新しく作り直すことができ、子どもたちの身近な地域での巡演を低廉な入場料設定で行うことが可能となりました。キャストに劇団の若手役者も加え、稽古期間を充分にとることができたことは次世代の育成にもつながっています。その他にも今回の活動では終演後の舞台解説や、字幕ポータブルによる鑑賞サポートも一部の会場で取り入れることが出来ました。

観客から「劇場の雰囲気、人形の動き、声等が全身を通じて伝わった」、「大人も心癒され元気が出た」と感想をいただきました。人との直接的な関わりが少なくなっている今、舞台鑑賞により様々な感情体験をすることで人に対する共感を深め、自ら考える力を養い、生きる喜びに繋がる舞台を届けたいと思っています。

今後の活動

来年劇団創立75周年を迎えます。コロナ禍によりますます舞台芸術の必要性が高まっていると考えています。地域の様々な団体と協力し、地域の文化の発展と地域の子どもたちに舞台を届けていく取り組みを充実させていきます。昨年度から鑑賞サポートとして舞台手話通訳などの取り組みを始めました。まだ試行錯誤している段階ですが利用される方も少しずつ増えてきています。今後も鑑賞サポートを充実させ、利用者を広げる努力をしていきます。どんな条件下にあっても人形劇を鑑賞できる機会を作り、すべての子どもたちに人形劇を観ていただけることを目指していきます。

有限会社 人形劇団クラルテ