歌舞伎公演ニュース

2023年4月27日

初代国立劇場さよなら公演

6月歌舞伎鑑賞教室

『日本振袖始
-八岐大蛇と素戔嗚尊-』

中村扇雀、中村虎之介が
意気込みを語りました!

 現在の国立劇場では本年6・7月をもって最後の開催となる歌舞伎鑑賞教室。6月は、有名な大蛇退治の神話を題材とした『日本振袖始(にほんふりそではじめ)-八岐大蛇(やまたのおろち)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)-』を上演します。

 古典から新作まで幅広い活躍を見せる中村扇雀と、今注目の若手花形俳優・中村虎之介の親子共演で、それぞれ岩長姫実ハ八岐大蛇と素戔嗚尊に初役で挑みます。本編前の「歌舞伎のみかた」は、虎之介の解説でお楽しみいただきます。

 公演に先駆け、二人が意気込みを語りました!

中村扇雀・中村虎之介からのメッセージ動画



(左より)中村虎之介、中村扇雀

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中村扇雀
(岩長姫実ハ八岐大蛇)

 国立劇場が建て替えということで、この劇場での歌舞伎鑑賞教室も最後という年に、虎之介と親子で出演できますことをとても嬉しく思っています。

 今回上演する『日本振袖始』は、近松門左衛門の作品です。父(四代目坂田藤十郎)は長年、近松の作品を現代によみがえらせることに力を注いでまいりましたが、その精神を引き継いでいくことが私の責務ですし、来年は近松の没後300年にも当たりますので、これから近松の作品をどんどん上演するための良い機会にしたいです。

 『日本振袖始』は舞踊の要素も多く、歌舞伎の醍醐味が詰まっていて、鑑賞教室にとてもふさわしい演目です。神話の中の話が繰り広げられ、さっきまでお姫様だった人が、隈取(くまどり)をして蛇の化身となって出てきます。きらびやかな衣裳や不思議なリズムの音楽、さらに出演者は全員が男性など、学生の皆さんには、歌舞伎でしか味わえない魅力に生で触れてもらい、日本にはこんなに素敵な演劇、伝統芸能が残っているということを肌で感じてもらうことが大切だと思います。

 国立劇場では、子役の頃の『椿説弓張月』(昭和44年11月)での三島由紀夫先生、また『曽根崎心中』(昭和62年4月)を父にも教わって小劇場で兄(中村鴈治郎)と上演させていただいた時の宇野信夫先生、そして、父が近松座をやっていた頃の武智鉄二先生など、様々な方からご教授をいただきました。

 国立劇場の再開場は6年後の2029年度と聞いています。外国のお客様が来日する際に必ず立ち寄りたくなるような、世界に日本の演劇を発信するのにふさわしい劇場になってほしいと願っています。

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中村虎之介
(解説・素戔嗚尊)

 初代国立劇場では最後となる今年の歌舞伎鑑賞教室に出演できることを、すごく嬉しく思います。「歌舞伎のみかた」で解説を担当するのは4回目ですが、今回はこれまでの集大成にしたいと思っています。「歌舞伎のみかた」は、芝居に入る前の単なる説明ではなく、一つの演目です。次の『日本振袖始』につながるような良い解説にするため、これまでの総まとめとして色々詰め込んで“スペクタクル・エンターテインメント”という感じにしたいと思っています。

 今回、父との共演が決まり、父から「演目は何が良いか、ひと晩考えて」と言われました。『日本振袖始』が良いのではないかと思ったのですが、朝起きた時、父が「振袖始はどう?」と言ってきて……。私も言おうと思っていたんですけれど、冷蔵庫を開けている間に先に言われてしまいました(笑)。今回は意見が一致したということで、良い演目が選べたのではないかと思います。

 私自身、坂東玉三郎さんと中村勘九郎さんが勤められた平成26年の歌舞伎座の舞台を観て、ずっとやりたいと思っていた演目です。その時に一番感じたのは、やはり形の美しさ。立廻(たちまわ)りはすごく派手で、動きが荒いようにも見えますが、実は踊りのような正確な型と美しさが求められるので、大切に勤めたいと思っています。

 若い方には、言葉の意味などすべてを理解するのは難しいかもしれませんが、隈取などを視覚的に楽しんだり、黒御簾(くろみす)の音楽や立廻りの形の美しさなど、簡単なことから日本の伝統文化の美しさを肌で感じ取っていただくことが一番大切だと思っています。また歌舞伎を観たい、そう思っていただけるように勤めます。

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 歌舞伎鑑賞教室は、解説付きで歌舞伎の代表的な演目をお楽しみいただける公演です。価格もお手ごろで、観劇の手引きになる豆知識をまとめた歌舞伎読本やプログラムを無料配布いたします。美しい姫君が見せる恐ろしい本性、そして八岐大蛇と素戔嗚尊との激しい立廻りなど、見せ場も満載な本作は、初めての歌舞伎観劇にもぴったりです。

 9日(金)には、午後7時開演でお勤め帰りの方にもご観劇いただきやすい「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」を開催します。また、23日(金)には、英語を交えた解説や、英語字幕・イヤホンガイド付きで楽しめる「Discover KABUKI ―外国人のための歌舞伎鑑賞教室―」を開催いたします。

 皆様のご来場をお待ちしております。

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\5月13日(土)午前10時 予約開始/
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