p1 障害者差別解消法に基づく対応要領案に関する意見募集結果 1.ご意見数    3件(うち1件は本件に関係しない一般的な内容) 2.ご意見の内容、ご意見に対する考え方    下表のとおり 番号1 ご意見の内容 該当箇所 不当な差別的取扱い 意見 国立演芸場の障害者割引のチケットがネットで買えるようにしてほしい。 理由 発達障害など電話でのコミュニケーションが苦手なケースがある。しかし障害者割引のチケットがネットで買えないのはおかしいのではないか。 ご意見に対する考え方  現在のところ、チケット販売システムの改修による改善は困難な状況ですが、平成28年4月1日以降に開催する当振興会主催公演から、電話予約と窓口販売での障害者割引に加えて、インターネットでのチケット販売についても、障害者割引を開始いたします。国立劇場チケットセンターインターネット予約サイトにて、一般料金(正価)でチケットをご購入いただき、御観劇当日までにチケット売場窓口にて障害者手帳等を確認のうえ、割引料金との差額を返金させていただきます。なお、返金受付は本年4月1日から開始いたします。 番号2 ご意見の内容 1.対応要領第1条について 「独立行政法人日本芸術文化振興会の職員」とありますが、これが所管する国立劇場のすべての職員を対象としていることを明記してください。すべての人が障害を理由として芸術鑑賞の機会や楽しみを妨げられることのないよう、この対応要領をもって、貴振興会のみならず所管するすべての国立劇場の職員に対しても、同様に適切な対応を求めることができるものとしてください。 ご意見に対する考え方 対応要領は、当振興会が設置する国立劇場各館に勤務する職員も含め、当振興会の全ての職員を対象としています。なお、国立劇場各館では、その業務の一部について事業者への委託等をしていますが、委託先に対しては、対応要領別紙第4−5に基づき、委託等の条件にこの要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むように努めます。 ご意見の内容 2.対応要領第3条について  (1)「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」とありますが、このことについて、アクセシビリティの向上は、障害当事者の社会参加、文化的生活の向上のために不可欠であり、障害当事者からの意思表示がなくとも、常時アクセス可能であることを前提としてください。そのうえで、「意思の表明」にあたってそのはじめの一歩でくじけることのないよう、ワンストップで必要なサポートへの相談窓口にたどり着けるよう、ホームページの目立つ位置やチラシ等に目立つ形で、一般にわかりやすくアナウンスしてください。 ご意見に対する考え方 ご意見を参考に、アクセシビリティの向上等に努めます。また、相談体制の整備については対応要領第6条第4項を次のように修正しました。「4 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図る」→「4 第1項の相談窓口は、必要に応じ充実を図るとともに、この窓口が広く利用に供されるよう周知に努めるものとする。」 p2 ご意見の内容 (2) 合理的配慮の提供にあたって「職員は、別紙に定める留意事項に留意する」とありますが、相互に人格と個性を尊重しあいながら社会の実現を目指す法の目的のとおり、合理的配慮とは相互理解の上で成り立つものです。相互理解については、「別紙」の中に記載されていますが、まず要領本文の中で触れるべきと考えます。職員側の一方的な理解から生じる一方的な配慮となることないよう、当事者との対話が合理的な配慮には欠かせないことについて、十分な理解を求めてください。そこで、当該箇所を、「職員はまず、障害のある当事者との対話の機会を持ち、相互理解を図りながら、別紙に定める留意事項に留意し、柔軟な対応に努めること」としてください。 ご意見に対する考え方 ご意見を踏まえ、対応要領第3条を次のように修正しました。「第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。」→「第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は当該障害者との対話の機会を持ち、相互理解を図りながら、別紙に定める留意事項に留意し、柔軟な対応を行うものとする。」 ご意見の内容  3 別紙 留意事項について  (1) 別紙 留意事項において、具体的な事例を通じて適切な対応を求めていることについては評価します。しかし、(案)に記載の対応例については、端的に言えば国の基本方針に示されている「一般的に想定される場面」について述べているにすぎません。「すべての国民が文化芸術に親しみ、自らの手で新しい文化を創造すること、芸術その他の文化の向上に寄与すること」を目的とする貴振興会の目的から鑑みて、貴振興会及び管轄する劇場すべてにおいて想定される特有の対応について、特に記載する必要があるのではないでしょうか。劇場の現場、観劇を受け入れるにあたっての対応の具体例、各部門の芸術鑑賞の機会、実演の機会における対応の具体例について述べるべきと考えます。具体的には、別紙第6の具体例について、物理的環境や意思疎通といった「対応別」に記載されていますが、これを場面ごとにわかりやすく記載することで、職員の皆さんの対応すべき内容がより明確になると考えます。〇基本的なコミュニケーションにあたっての対応 〇窓口、受付等での障害者の対応 〇鑑賞活動を行う障害者への対応 〇会議・イベント・講座等に参加する障害者への対応 〇災害時の対応 これに続いて国の基本方針に示された「物理的環境への配慮」、「ルール・慣行の柔軟な対応」が位置付けられると考えます。 ご意見に対する考え方 当振興会は国立劇場をはじめとする劇場施設を設置し、伝統芸能等の公開事業を行っていますが、この事業のほか、文化芸術活動に対する援助等の事業も行っており、ご意見にあるような対応場面ごとに具体例を記載するのは、 ・ご意見に挙げられたもの以外にも対応場面が多岐にわたること ・場面ごとに記載を整理すると、場面間で共通する対応が重複して記載されること などの理由から、具体例の記載は当初の案に沿った項目立てによることとしたいと考えます。その上で、ご意見の趣旨を踏まえ、「劇場の現場、観劇を受け入れるにあたっての対応の具体例」として、対応要領別紙第6を以下のとおり追加修正しました。 (物理的環境への配慮の具体例) ○障害の特性により必要がある場合には、入口から段差なく着席できる座席位置を用意する。また、段差がある場合には、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、段差に携帯スロープを渡すなどする。 ○配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す、パンフレット等の位置を分かりやすく伝えるなどする。 ○高い位置のロッカーに荷物を入れることが困難な場合に、必要な補助をする。−中略− 「○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合には、会場の座席位置を扉付近にする。」→「○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合、補助犬を同伴している場合、字幕の見やすい席を希望する場合等には、会場の座席位置に配慮する。」 −後略− ※(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)への追加修正については後述します。 p3 ご意見の内容 (2) 「観劇環境の改善を求める障害者への対応の合理的配慮の例」を追記してください。障害者から、舞台、演劇、芸能の鑑賞にあたって、サポートを求められた場合には、可能な限り対応できるように、また現時点での即時対応が難しくとも、将来的には対応できるように努めてください。併せて研修で周知された内容の理解に努めること、特に、対応の範囲を一律に定めるなど、一方的な配慮を行うことのないよう、留意するよう求めてください。すでにメディアでもたびたび取り上げられている通り、聴覚障害のサポートに関しては、字幕等、基本的に視覚を通じたサポートや聴覚補助のサポートが有効です。台本貸し出しや、字幕による詞章等の供与、手話による事前説明や舞台通訳、磁気ループの準備、受付における手話対応、筆談等、主に視覚を通じたサポートを充実させること。視覚障害のサポートに関しては、舞台模型の展示、事前の説明会、音声ガイドの準備、座席への案内等、主に聴覚、触覚、誘導等を通じたサポートを充実させること。肢体的障害のサポートに関しては、個別に求められる状況に応じて、障害のある人の立場に立ち、劇場の環境において可能な限りサポートを行うこと。 〇サポートの問い合わせに関しては、メール、FAX、ホームページからのお問い合わせフォームなど電話以外の方法も対応可能とすること。 ご意見に対する考え方 ご意見の趣旨を踏まえ、鑑賞サポートの具体例を対応要領別紙第6に追加しました。 (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)−前略− ○ 立って列に並んで順番を待っている場合には、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ○ 公演等への障害者の入場者が多数の場合は、開場時間前の場内への入場や、通常の受付とは異なる入口の案内等の対応をする。 −中略− 「○他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて、別室を用意する。」→「○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて、モニターにより鑑賞可能な別室等を用意する。」 ○障害者又はその支援者等が、劇場施設の事前下見等を希望する場合に、必要なサポートを行う。 ○障害者又はその支援者等が、公演等の内容を理解するための参考にするため筋書、パンフレット等を必要としている場合に、提供可能な資料の事前配付等を行う。 −後略− また、環境整備に関しては、対応要領別紙第4−2及び第4−4に基本的な考え方を記載していますが、ご意見の趣旨を踏まえ、社会的障壁の除去の基礎となる環境整備に努める旨がより明確になるよう、対応要領別紙第4−4を次のように修正しました。「4  合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。」→「4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等、環境の整備を行うための施策と連携し、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜見直しを行うことが重要である。」 ご意見に挙げられた、聴覚障害、視覚障害、肢体的障害のそれぞれについて必要なサポートの例は、今後の鑑賞整備、合理的配慮の提供を進めていく上で参考にさせていただきます。 ※上記のご意見内容は原則として原文のままとし、適宜改行等を入れております。なお、ご意見全文中、障害者差別解消法や制度の在り方への見解等、本件対応要領案及び当振興会の事業に直接関係しない箇所は公表しておりません。