[新作文楽]シェイクスピア=作 「不破留寿之大夫(ふあるすのたいふ)」

ブログ&コラム

2014年9月18日

作調:藤舎呂英インタビュー~『不破留寿之太夫』の「音」はこうして作られる!

 監修者の鶴澤清治を筆頭に、三味線、琴、大弓(おおきゅう)が奏でる音色も迫力の『不破留寿之太夫』。それだけではなく、普段文楽ではなかなか耳にしないあんな音やこんな音、気になりませんか?お囃子パートの〈作調〉として、いわゆる「音響効果」全般を手がけたのが、洋楽とのコラボレーション経験も豊富な、囃子方の藤舎呂英(とうしゃ・ろえい)。清治の溢れ出るイメージを具体化させるために、チャレンジの連続だったという音づくりの舞台裏を教えてもらいました。すでに舞台を観た方も、もう一度音を確かめたくなりますよ!

藤舎呂英氏

音が鳴るものはすべて楽器

 「今までにない文楽を」という清治の強い思いを託され、純邦楽の楽器のみならず洋楽器も駆使している『不破留寿之太夫』。〈作調〉としてどんなことを心がけたのでしょうか。
呂英「洋楽器を使っても、いかに邦楽の良さを出すかが第一でした。邦楽のリズムや間を生かして、洋楽器は混ぜる程度に。拍子をわざとずらすと洋楽器でも邦楽の匂いがします。僕たちにとっては、音が鳴るものは全部楽器なんですよ。清治さんも次から次へといろんなイメージが湧いてこられるようで、試行錯誤しました」
 清治による特別注文がどんなものだったか例を挙げてもらうと……

清治mission1:「テニスのボールを打つ音がほしい」
 居酒屋で、不破留寿がホラ吹きっぷりを春若に追求されるシーンがあります。「さぁ」「さぁ」「さぁ」「さぁ」……と詰め寄られていくやり取りは、清治の脳内にテニスのラリーが浮かんだ模様。そこでまず考えたのは「マグカップをスリッパの裏で叩く」。しかし音が出にくく断念。代わりに竹筒で試すも、百発百中で音を出すのはやはり難しい。最終的にたどり着いたのは……「お風呂の湯をすくう【手桶】の角で竹筒を叩く」でした。
呂英百円均一ショップで片っ端から買って試したり、道路で石を叩いて道ゆく人にヘンな顔で見られたり……。手桶でやってみたらポーン!と音が出ることを発見して。舞台裏で毎日囃子方が叩いてます」

清治mission2:「凍りつくような音がほしい」
 クライマックス、領主になった春若からの思いもよらない言葉に不破留寿が凍りつく、あの場面です。ここは劇場のドアを留める鉄の重しを金づちでカーンと叩いているとか。
呂英「これはわりとすぐ思いつきました。清治さんは“インパクトのある強い音を”とのご希望だったので、ある程度重さがないとあの音は出ないんです。5キロくらいはあると思いますが、下に置くと響かないので、持ち上げて叩いてもらっています」

清治mission3:「イギリスの居酒屋みたいな音がほしい」
 お、後半の居酒屋場面ですね。わいわいガヤガヤと飲み食いしているパブの賑やかさを音で表現したい!ということでしょう。杏里の国の居酒屋は英国風なんですね……。
呂英を入れて華やかにし、フォークやナイフの音がするんじゃないかと思ってトライアングルをエッセンスで混ぜています。何でもこじつけていかないと出来ないので(笑)」

 少し挙げただけでも清治ミッションのハードさがおわかりいただけたでしょうか。「音」の工夫は全編にわたります。不破留寿が女房たちに恋文を書く場面では、サラサラと書くイメージをシェーカーの「シャカシャカ」という音で表現。賑々しいサンバのリズムは、ラテン音楽でよく使われる打楽器アゴゴでストレートに。「葬送行進曲」から「結婚行進曲」へと転換する場面ではタンバリンを入れてアクセントをつけました。一方、小判をまく音は、伝統的な邦楽器で松虫という小型の鉦を使っています。ハイテク全盛のご時世ですが、毎日ナマで演奏するのが伝統芸能の底力。アナログだからこそ、創意工夫も生まれるわけです。

呂英「ストーリーも感動的ですし、何より清治さんの音楽が素晴らしくて圧倒されます。だからこそ作調は全ての楽器を邦楽なりの解釈で使うことにこだわりました。また新作ですから、言葉の邪魔をしないことが大切です。お囃子は「足したくなるところで引く」程度が一番だと思っています。今回は「宇宙のイメージで」などとおっしゃる清治さんについていくのが大変でしたけど(笑)、音探しはゲームのようで楽しかったですね。洋楽器が意外と合うことがわかって、ティンパニーを使っても面白いだろうとか、囃子方の人数を増やせたらもう少し音が華やかになるかもしれない……等々、もっともっと可能性はあると思っています。

 

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制作者・出演者が語る『不破留寿之太夫』
『不破留寿之太夫』の「音」はこうして作られる!

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新作文楽 不破留寿之太夫

2014年9月6日(土)~9月22日(月)

電話・インターネット予約開始 8月7日(木)10時~

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