【五段目】
- 大内天変の段
都では天変が続き、宮中では祈祷がなされます。そこへ法皇の御使として斎世(ときよ)親王が苅屋姫(かりやひめ)、菅秀才(かんしゅうさい)を伴い参内します。激怒した藤原時平(ふじわらのしへい)は彼らを討たせようとしますが、雷鳴が轟き、桜丸(さくらまる)・八重(やえ)夫婦の亡霊が現れ、ついに時平を成敗します。多年の遺恨は晴れ、菅秀才の菅原家相続が認められ、菅丞相には正一位追贈、そして天満大自在天神の称号が与えられるのでした。
いよいよ大団円。この段も昭和47年以来の上演で、斎世親王と菅原家の復権を描きます。史実でも宮中への落雷や時平の病死などが、道真の怨霊によるものと恐れられ、延喜23年(923)、道真は右大臣に復され、正二位を追贈されます。今年はちょうど1100年目にあたります。
「さてこそ恨み晴れたり」と
死霊は時平を庭上に、
どうど蹴落とし嬉しげに、
形は花の散る如く、
消へて見へねば丞相の、
霊も鎮まり空晴れて、
日輪光り輝けり