あらすじ・見どころ

【二段目】

  • 道行詞の甘替
  • 安井汐待の段
  • 杖折檻の段
  • 東天紅の段
  • 宿禰太郎詮議の段
  • 丞相名残の段

道行詞の甘替/安井汐待の段

  • 道行詞の甘替
  • 道行詞の甘替
  • 安井汐待の段
  • 安井汐待の段

 出奔した斎世(ときよ)親王と苅屋姫(かりやひめ)は、菅丞相(かんしょうじょう)が筑紫に流罪と決まったと聞き、桜丸と共に出発前の丞相との暇乞いを願いますが、警固役の判官代輝国(はんがんだいてるくに)は、丞相の立場を慮(おもんぱか)り断ります。しかし、姫の姉・立田前(たつたのまえ)の登場から、輝国の計らいで一行は土師(はじ)の里にある丞相の伯母・覚寿(かくじゅ)の元に立ち寄り、姫は姉に伴われ同行することが可能になります。

 桜丸が飴売りの姿に身をやつし、親王と姫を守護する一風変わった道行。悲劇の前の彩りを添えます。(道行詞の甘替)
 丞相一行が土師の里へと移動するくだりを描いた場面。妹の立場を思いやる立田前と苅屋姫との姉妹愛、情けある輝国の計らいも垣間見えます。昭和58年大阪朝日座以来40年ぶり、東京では51年ぶりの登場です。(安井汐待の段)

杖折檻の段/東天紅の段/宿禰太郎詮議の段/丞相名残の段

  • 杖折檻の段
  • 東天紅の段
  • 宿禰太郎詮議の段
  • 丞相名残の段
  • 丞相名残の段
  • 丞相名残の段

 苅屋姫(かりやひめ)は土師(はじ)の里で養父・菅丞相(かんしょうじょう)との対面を願いますが、姫の実母である覚寿(かくじゅ)は、姫の親王との恋が丞相流罪に繋がったことを慮(おもんぱか)り許しません。一方、立田前(たつたのまえ)の夫・宿禰太郎(すくねたろう)とその父・土師兵衛(はじのひょうえ)は時平(しへい)に加担し、丞相暗殺を目論見ますが、その謀議を聞かれて立田前を殺害します。 兵衛の画策で丞相は早い時刻に出立、太郎が手配りした贋(にせ)の迎えが同行し、密かに丞相を暗殺する計画です。しかし、覚寿の慧眼は立田前殺害の下手人が太郎であることを見抜き、また丞相が刻んだ自らの木像に魂が入るという奇跡が起きて贋迎えたちを翻弄し、兵衛や太郎たちの陰謀は露見して一味は成敗されます。

 正式な警固役である判官代輝国(はんがんだいてるくに)に伴われ、いよいよ菅丞相の配流先・筑紫へ向けた出立。覚寿は苅屋姫と丞相との親子の対面をさせようとします。丞相はその心遣いを感じつつ辞退し、姫の泣き声を耳にただ一目だけ見返るのでした。

 格調の高さでは文楽の全演目の中でも屈指の場面がこの二段目、通称〝道明寺〞。神格化された丞相の出立が木像の奇跡とともに神秘的に描かれ、苅屋姫との別れの悲しさ、気丈な老女・覚寿の硬骨ぶり、そして悪人たちの暗躍と破滅が時におかしみをも絡めて展開します。

道明らけき寺の名も、
道明寺とて今もなほ栄へまします御神の、
生けるが如き御姿、こゝに残れる物語。
尽きぬ思ひに堰き兼ぬる、
涙の玉の木槵樹。
数珠の数々繰り返し、嘆きの声に只一目、
見返り給ふ御顔ばせ、
これぞこの世の別れとは、
知らで別るゝ別れなり

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