日本芸術文化振興会トップページ > 芸術文化振興基金 > 芸術文化振興基金について > 助成事業事例 > 平成26年度 > クテ打組紐技法の継承活動─講習会の実施
クテ打組紐技法研究会
助成金額 500千円
クテ打組紐技術研究会は技法を復元した木下雅子により、2006年に設立。クテ打組紐技法とは、いわゆる伝統組紐のように台やおもりを用いず、輪になった糸端を指や手で左右に交換しながら紐を組む古来の技法。正倉院御物をはじめ甲冑や仏教荘厳具などに広く確認され、出土品からその起源は古墳時代にさかのぼると考えられている。
歴史的にも貴重な技術であるが、現在では継承が途絶えており、一般の認知度も低い。2009年より継続して助成を受けており、技法の解説のためのテキストや動画(DVD)の作成・配布、及びそれを使った講習会を実施。2014年も引き続き、指導者・技術者の養成や一般への普及活動を実施。
2014年9月から2015年2月まで、クテ打組紐技法の講習会(参加体験型学習)を11回実施。開催場所は、大崎市中央公民館(宮城県)、会津若松市會津稽古堂(福島県)、新潟県立歴史博物館(新潟県)、市川市立市川歴史博物館(千葉県)、福岡県立九州歴史資料館(福岡県)、宮古島市働く婦人の家(沖縄県)の6箇所。講習会参加人数は157名。
講習会風景(会津若松市會津稽古堂)
講習会風景(宮古島市働く婦人の家)
過去に助成を受けた活動で作成したテキストやDVDを活用して、全国各地で講習会を開き、クテ打組紐技法の継承活動を行いました。テキストについては、技法習得の体験をもとに、できるだけわかりやすいものになるよう努力し、推敲を重ねたものです。テキストはDVDとともに国公立大学図書館、国立及び都道府県立図書館、博物館、教育センターなどに配布し、広く一般に公開しています。
講習会を開催する施設を選ぶ際は、生涯学習活動を積極的に行っている施設に呼びかけるようにしました。生涯学習のプログラムとして受け入れてもらえた要因には、いろいろあると思いますが、準備する道具が少なく、身近な材料で習得可能であったことも大きいと思います。
テキストだけではわかりづらい点も、講習会では実際に手を動かして、物を作る楽しさを体験しつつ技法を習得し、併せて歴史的認識を深めてもらうことができました。また操作のコツを伝えることもできました。今後も技法の伝承を行ってもらえる機関やボランティアグループの方々が存在することを確信できました。こうした活動は、私たちの研究会の予算だけではできないことで、助成金があったからこそなしえたと感じています。
一度は絶え、復元されたクテ打組紐技法の存在と内容を以前よりも周知することができましたが、検証すべきことはまだたくさんあります。これからも地道に復元や伝承に取り組んでいきたいと思っています。
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クテ打組紐技法研究会
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