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歌舞伎公演ニュース

2024年6月30日

7月歌舞伎鑑賞教室

『義経千本桜』
河連法眼館の場

中村芝翫、中村橋之助が意気込みを語りました!

 7月歌舞伎鑑賞教室では、不思議な力を持つ狐を通じて普遍的な親子の情愛が描かれる名作『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』河連法眼館の場(かわつらほうげんやかたのば)(通称「四の切(しのきり)」)を上演します。

 本編前の「歌舞伎のみかた」では、中村玉太郎の解説で「四の切」を楽しむポイントを丁寧にお伝えします。
 中村芝翫・中村橋之助の親子が主役の佐藤忠信/源九郎狐を回替わりで演じるほか、複数の役がダブルキャストとなり、ベテランから花形まで異なる配役でAプロ・Bプロと2度お楽しみいただけます。

 公演に先駆け、二人が意気込みを語りました!


中村芝翫、中村橋之助

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中村芝翫
(佐藤忠信/源九郎狐[Bプロ]、河連法眼[Aプロ])

 国立劇場が閉場して以来、初めての出演になります。7月は「親子で楽しむ歌舞伎教室」もあり、親子の絆を物語で表せるお芝居にできたらなと考えております。やはり「四の切」というのは題材的にも面白い作品でメルヘンでもありますし、親子で楽しんでいただける公演だと思っています。

 『義経千本桜』の主要な三役(平知盛・いがみの権太・源九郎狐)のうち知盛を昭和61年4月に国立劇場で初めてやらせていただきました。その時に、二代目尾上松緑のおじ様に「立役でいけよ」と言っていただいてから僕の立役の人生は始まったと思っています。
 知盛は幾度か勤めましたが、他の二役はなかなかご縁がなく、今年の2月に「すし屋」のいがみの権太を初役で勤めました。十八代目中村勘三郎の兄貴が僕にご褒美をくれたんじゃないかな。そこからどこか生涯のうちで三役を演ずることができたらいいなと思っていました。



(源九郎狐:中村芝翫)


 今回、佐藤忠信/源九郎狐は初役です。息子の橋之助が尾上菊五郎のお兄様に教えていただいたことを色々と聞きながら、また平成2年6月の中座で勘三郎の兄の「四の切」に源義経で出演した時のことも覚えているので、そういったことを出せればと思います。

 Aプロは息子の橋之助が、Bプロは私が佐藤忠信/源九郎狐を勤めさせていただきます。
橋之助は、本当は令和2年の巡業で「四の切」をする予定でしたが、コロナ禍の影響で中止になってしまいました。その時に静御前を勤めるはずだったのが、坂東新悟くんでした。橋之助がいつかは新悟くんとやりたいというのを前から言っていたものですから、今回は静御前を勤めてもらうことになり嬉しく思っています。
 また、息子達3人(橋之助・福之助・歌之助)ともなかなかこの頃は舞台に一緒に出ることはないので、何年ぶりかに親子みんなで舞台に揃うことを大変楽しみにしております。

 新しい場所での公演、江東区や調布市の地元の方にもぜひいらしていただきたいです。江東区には二代目中村芝翫宅跡の史跡が残っており、ご縁を感じています。また調布も、一門の中村梅花も調布市民歌舞伎を40年ぐらいずっと手伝っていたり、うちの弟子の中にも調布市民歌舞伎から来た子もいたりと縁がある場所です。
 お手頃な値段ですし、中村玉太郎くんがやってくれる解説も付いて分かりやすいので、多くの方にお越しいただければと思います。

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中村橋之助
(佐藤忠信/源九郎狐[Aプロ]、駿河次郎[Bプロ])

 3年前に初役で勤めた忠信を、またこうして勤める機会をいただきとても嬉しいです。初めて勤めた3年前は、こうした大きなお役を演じる機会の少ない時で、自分の中ではとても大きなターニングポイントの1つでもありました。そのようなお役をまたいただけたことをありがたく思っております。




 今回Bプロでは、同じ舞台に家族4人が揃います。同じ劇場、同じ演目に出演することはありますが、一度に同じ舞台上に揃うのはおそらく襲名以来、7年ぶりぐらいのことだと思います。
 うちの家族としてもありがたく、また僕たち3人の兄弟が思っていることの1つとして、家族でひと月舞台を勤める、そして父、成駒屋の戦力になるという夢があります。その一歩として、これから歌舞伎を愛していただいてほしい世代に向けた歌舞伎鑑賞教室という公演で機会をいただけたことはチャンスの1つと思っております。



(源九郎狐:中村橋之助)


 父の芝翫が初役ですが、そもそも親子でダブルキャスト、子供が経験者で父が初役というのはないですよね。歌舞伎はよく口伝といいますが、僕は菊五郎のおじ様から教えていただいた役の決まり事や、そのお役をやらないとわからないこと、僕が掴んだものというよりも菊五郎のおじ様から教えていただいたことを父に伝えたいと考えています。

 今回の「四の切」は、とてもハマる要素が多い演目だと思います。
 例えば、Bプロを見に来て、駿河次郎を演じている僕のことが気になったら、ぜひAプロも見に来てほしいですしね。父のことを知っている方なら、息子の橋之助くんがこんなに動いていて、芝翫さんはどうしているのだろう(笑)、と気になってもらえるのもダブルキャストの良さだと思います。同じ竹本の音楽でも父と僕では動きの乗せ方が違うところもあるでしょうし、弟たち二人は源義経を演じますが、ともに中村梅玉のおじ様に習っていても出てくる色が違うと思います。
 役者だったり、音楽や早替りなどの演出だったり、そういうハマる要素が多く、話の内容がわかるだけじゃない面白さも含まれている作品だと思います。

 昨年、父の出演していた歌舞伎鑑賞教室の『引窓』を見に行った時に、特に親子連れで来ている小さな子供たちがすごく興味を持って見てくれていた様子が印象に残っています。チケットの料金も夏休みにちょっと映画を見に行くぐらいの気持ちで歌舞伎が見られる、素晴らしい試みだと思いますし、僕自身とても公演を楽しみにしています。

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 歌舞伎鑑賞教室は、解説付きで歌舞伎の代表的な演目をお楽しみいただける公演です。価格もお手ごろで、観劇の手引きになる豆知識をまとめた歌舞伎読本やプログラムを無料配布いたします。早替りや意外な場所から登場する仕掛けなど歌舞伎ならではの魅力にも溢れる本公演は、歌舞伎入門にピッタリです。

 5日(金)と18日(木)には、午後6時30分開演で、お勤め帰りの方にもご観劇いただきやすい「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」を、21日(日)~27日(土)は、夏休み特別企画として、お子様向けリーフレット付きの「親子で楽しむ歌舞伎教室」(一般・学生料金よりもお得な親子割引あり)を開催します。

 皆様のご来場をお待ちしております。



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※親子券も販売中。
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