歌舞伎公演ニュース

2024年5月23日

6月歌舞伎鑑賞教室

『恋飛脚大和往来
-封印切-』

中村鴈治郎、市川高麗蔵が
意気込みを語りました!

 初代国立劇場閉場後初めての開催、そして第105回を迎える歌舞伎鑑賞教室。
6月は、サンパール荒川 (荒川区民会館)大ホールで『恋飛脚大和往来-封印切-』を上演いたします。

 公演に先駆け、中村鴈治郎、市川高麗蔵が意気込みを語りました!



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中村鴈治郎
(亀屋忠兵衛)

  毎年恒例の「歌舞伎鑑賞教室」ですが、昨年初代国立劇場が閉場して、今年はどうなるのかなと思っていましたところ、私も五代目翫雀襲名の際に伺った会場であるサンパール荒川で上演することになりました。

 『恋飛脚大和往来-封印切-』は、歌舞伎鑑賞教室ではあまり上演する機会のない上方歌舞伎です。まして家の芸、「玩辞楼十二曲」にあるものをやらせていただくということで、大変嬉しく思っております。こういう演目もあるのだということを、みなさんに知っていただける良い機会ですし、はじめて歌舞伎に触れられる方にも面白いお芝居ではないかと思います。

 歌舞伎と言われて連想するのは、やはり「隈取」「見得」という荒事のイメージになると思いますが、今回はそういうお芝居ではございません。『封印切』のような上方歌舞伎は、昨日起こったかもしれないような事件のなかに市井の方々が描かれていて、ある意味身近に感じられるかもしれませんし、また、ドラマとしての面白さも感じていただけると思います。

 『封印切』を私ども鴈治郎家の型で上演する場合、“封印切り”ではなく“封印切れ”です。はじめは偶然に封印が切れてしまって、その後は自分の意思で切っていきます。最初に思いとどまれば良かったかもしれないけれど、それが止まらなかった、愛する人のためにやらかしてしまう、ある意味では意地ですよね。
封の切り方も、だんだん変えてきています。初代鴈治郎の写真をみると、封印の上の方だけを切って半分は残しているんです。最初の一つ目は真っ二つに切りますが、その後の二つは、上半分だけ切って小判をばら撒くようにしています。そうすることで、小判が綺麗に落ちます。

 見せ場は封印切かもしれませんが、実は、梅川と忠兵衛がお互いの気持ちをああでもない、こうでもないと言い合っている間が一番難しいんじゃないかと。あんな“じゃらじゃら”しているところを、ずっとお客様に見せているわけですからね(笑)。結構長いんですよ。今だって、公園でいちゃいちゃしている人たちを見ても、こっちは嬉しくないですからね。
その間も飽きさせずに見せるところに上方の匂いがあり、また、和事のいいところがあるのではないかなと思います。そういったやりがいや難しさ含めて、本当に忠兵衛というお役はやればやるほど好きになります。

 江戸・東京の荒川での開催でございます。その地で上方の匂いを少しでも感じていただき、歌舞伎はあくまで娯楽でございますから、授業の一環としていらっしゃる学生の皆様、そして先生方にも、ぜひ楽しんでいただきたいと思っています。
今月は夜公演の「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」、また、「Discover KABUKI-外国人のための歌舞伎鑑賞教室-」もございます。どなたにも気軽にご覧いただければ嬉しいです。

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市川高麗蔵
(遊女梅川)

 4年連続で歌舞伎鑑賞教室に出させていただくことになりました。初代国立劇場が閉場し、連続での出演はもうないかなと思っておりましたが、こういう機会を与えていただいて本当に感謝しております。
 最近の学生さんたちは、変な先入観もなく、歌舞伎ってどんなお芝居なんだろうと興味をもってこちらを見てくださっていて、とても良い空気感が舞台にまで伝わり、毎年楽しく勤めております。

 前回(2019年)、鴈治郎さんの忠兵衛で梅川を演じたときには、鴈治郎さんのまとっている上方のとても素敵な空気に引っ張られて1か月勤めさせていただきました。今回はその空気をさらにどんどん吸収して、上方歌舞伎の良さを、はじめて歌舞伎を観る方にも伝えていけるよう、精一杯勤めます。

 上方歌舞伎の女方さんといえば、亡くなられた(二代目)片岡秀太郎のお兄さんが思い浮かんでまいります。今回の梅川も、秀太郎のお兄さんに教えていただいた思い出深いお役です。「あんたな、上方の言葉っていうのは、上げたり下げたりしてりゃ、ええもんと違うのやで」と怒られて(笑)。言葉と言葉の行間に気持ちを入れ、無理に言葉を上げたり下げたりしてはいけない、と教えていただきました。
「気持ちやで。忠兵衛が好きやったらええねん」という秀太郎のお兄さんの教えを守り、なにより忠兵衛への気持ちを大事にしたいと思っています。

 鴈治郎さんとは長く同じ時間を歩んできております。私はどちらかというと神経質な性格で、1つうまいこといかないと、どんどん深みにはまっていくところもあるのですが、鴈治郎さんはそこからしっかりとペースを戻してくださる、明るくて穏やかな方なので、とても頼りにしております。

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 歌舞伎鑑賞教室は、解説付きで歌舞伎の代表的な演目をお楽しみいただける公演です。価格もお手ごろで、観劇の手引きになる豆知識をまとめた歌舞伎読本やプログラムを無料配布いたします。
 忠兵衛と梅川の恋模様、八右衛門との丁々発止のやりとり、忠兵衛が封印を切るまでの緊迫感など、起伏に富んだ展開でみどころも多い本作は、初めての歌舞伎観劇でも十分にお楽しみいただけます。

 5日(水)・6日(木)には、午後6時30分開演でお勤め帰りの方にもご観劇いただきやすい「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」を開催します。また、20日(木)には、歌舞伎俳優による解説と、英語字幕・イヤホンガイド付きで楽しめる「Discover KABUKI ―外国人のための歌舞伎鑑賞教室―」を開催いたします。

 皆様のご来場をお待ちしております。

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