歌舞伎公演ニュース

2022年6月3日

【6月歌舞伎鑑賞教室】

『彦山権現誓助剣
-毛谷村-』

好評上演中、21日まで!

(舞台写真あり)

 6月2日、待望の歌舞伎鑑賞教室の幕が開きました。〈歌舞伎鑑賞教室〉は分かりやすい解説付きで、歌舞伎の代表的な演目や名場面をお手頃な価格でお楽しみいただける公演です。
 6月は、解説「歌舞伎のみかた」と、心温まる名作『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)-毛谷村(けやむら)-』をご覧いただいています。舞台写真とともに、公演の魅力をご紹介します。

◆◆◆

 解説「歌舞伎のみかた」のご案内は、中村玉太郎です。歌舞伎独特の表現技法の解説などを交えながら、今回上演するお芝居についてご紹介します。歌舞伎が初めての方も、楽しく気軽にご鑑賞いただけます。



解説「歌舞伎のみかた」
(解説:中村玉太郎)

 お芝居の舞台は豊前国(現在の福岡県東部と大分県北部)の彦山の麓。若き武芸者・毛谷村六助(中村又五郎)は、剣術の奥義を授けてくれた老人との約束を守り、修行に専念するため、領主からの仕官の誘いを断り続けています。領内には、六助との試合に勝った者を侍として召し抱える、とのお触れが出ています。
 母が亡くなって四十九日の墓参りをしている六助のもとに、老婆を連れた浪人・微塵弾正(中村歌昇)が現れます。浪人は、老い先短い母のため、六助との試合で勝たせてくれるよう懇願します。その親孝行ぶりに心打たれた六助は快諾します。無欲で心優しい六助の人柄が滲み出ます。
 その後、六助は幼子を連れた旅人が山賊たちに襲われるところに遭遇します。山賊を追い散らした六助は、命を落とした旅人に代わり、幼子(小川綜真)を預かります。



第一場「豊前国彦山杉坂墓所の場」
[左より]一味斎孫弥三松(小川綜真)、
毛谷村六助(中村又五郎)ほか

 数日後、毛谷村の住まいの庭先で、弾正との試合に臨んだ六助は、約束通り弾正に勝ちを譲ります。先日とは打って変わって、威張る弾正が六助の顔に傷まで負わせますが、六助は気にも留めず、孝行の手助けができたと喜びます。親想いで正直者の六助の純朴さが一層際立ちます。



第二場「豊前国毛谷村六助住家の場」
毛谷村六助(中村又五郎)、
微塵弾正(中村歌昇)ほか

 そこへ旅姿の老女(上村吉弥)がやって来て、唐突に親子になろうと言い出します。六助は不審に思いつつも、老女を休息させます。その後、六助が幼子をあやしていると、今度は怪しい虚無僧が現れて六助に斬りかかり……!



第二場「豊前国毛谷村六助住家の場」
毛谷村六助(中村又五郎)、
一味斎娘お園(片岡孝太郎)、
一味斎孫弥三松(小川綜真)

 物語が進むにつれて、次々と意外な事実が明らかになります。杣人斧右衛門(中村松江)の母のむごたらしく殺された死骸が運ばれ、そこに隠された真相を見抜いた六助は感情を爆発させ、驚異的な怪力を見せます。
 このお芝居は、六助と周囲の人々が、時にユーモラスに心温まる物語を織り成します。六助とその許婚(いいなずけ)・お園(片岡孝太郎)の恋模様も面白く描かれています。



第二場「豊前国毛谷村六助住家の場」
一味斎娘お園(片岡孝太郎)、
毛谷村六助(中村又五郎)、
一味斎孫弥三松(小川綜真)、
一味斎後室お幸(上村吉弥)

◆◆◆

 数奇な巡り合わせで結ばれたヒーローとヒロインが敵討ちのため力強く旅立ちます。明るく描かれた登場人物たちが清々しい余韻を残すお芝居で、初めて歌舞伎をご覧になる方にも親しみやすい作品です。
 中村又五郎の六助、片岡孝太郎のお園をはじめ魅力的な配役でお送りします。また、敵役の京極内匠は又五郎の長男で、若手として活躍している中村歌昇が、さらに、弥三松は又五郎の孫で、歌昇の長男・小川綜真が演じています。播磨屋親子三代の競演もお見逃しなく!



親子三代の競演が話題の
中村歌昇、小川綜真、中村又五郎


 なお、10日(金)・17日(金)は、お勤め帰りなどにご来場いただきやすい夜6時30分開演の〈社会人のための歌舞伎鑑賞教室〉もございます。また、23日(木)は静岡公演、25日(土)・26日(日)は神奈川公演もございます。
 感染症対策を徹底して、皆様のご来場をお待ちしております。

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