歌舞伎公演ニュース

2020年2月20日

【3月歌舞伎】『義経千本桜』

尾上菊之助が意気込みを語りました!

 3月歌舞伎公演は、昨年に続く小劇場での上演です。今回は、当劇場では19年ぶりの通し上演となる義太夫狂言の名作『義経千本桜』。尾上菊之助が、佐藤忠信・源九郎狐と、平知盛、初役のいがみの権太の“三役完演”に挑みます。また、それぞれの場面を3つのプログラムに分け、二段目(鳥居前・渡海屋・大物浦)をAプロ、三段目(椎の木・小金吾討死・鮓屋)をBプロ、四段目(道行初音旅・河連法眼館)をCプロとして上演します。
 公演に先立ち、尾上菊之助が舞台への意気込みを語りました。


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尾上菊之助
(佐藤忠信実ハ源九郎狐 / 渡海屋銀平実ハ新中納言知盛 / いがみの権太 / 佐藤忠信)

 『義経千本桜』で、この三役を演じるのが本当に夢でした。いがみの権太は初役です。今までお里や維盛を勤めるたびに、先祖が作り上げた音羽屋の型の権太をいつか演じてみたいと強く思っておりました。“ぜひ鮓屋の権太を”という思いの中から、『千本桜』の三役をひと月の公演で演じられないか相談したところ、その姿勢が“挑戦する小劇場歌舞伎”というコンセプトにも合うことから、今回の公演が実現することになりました。

 父(尾上菊五郎)も権太を得意としており、“ごんたくれ”という、どこか憎めない悪党、いたずらっ子のようなところに面白さを感じています。そして一転、“もどり”では自分の家族を犠牲にして述懐する……、何度見ても感情が溢れ出てくる大好きな場面です。父が受け継いできた音羽屋の権太に、自分がどれほど肉薄できるか。それがこれからの自分の10年に繋がっていくという思いで勤めます。

 知盛は岳父(中村吉右衛門)からの教えを思い出し、また「四ノ切」(河連法眼館)の忠信は、父から受け継いだものをしっかりと守って、勤めたいと思っております。

 知盛の前半は、変装している船問屋の亭主・銀平の世話にくだけた演技と大きさ、正体を顕してからは平家の武将・新中納言知盛として、大きさもありながら気品の漂う公達でいなければなりません。そして、戦の場面になってからは、テクニックではなく、自分の持てるもの全てをぶつけないと、武将としての壮絶さを出すことはできません。

 「四ノ切」の忠信では、前半の佐藤忠信本人から一転、後半では軽々と欄干を飛び越えていくような狐の身体使いや、狐詞(きつねことば)など、人間離れした役を演じなければなりません。それほど作者が創意工夫を込めて書き、先人たちが磨き上げてきた役なので、やはり体当たりでぶつかっていかないと、役にはなりきれないと思います。

 『千本桜』は三大狂言の一つに数えられる古典の王道なので、ともすれば非常に古めかしい作品ではないかと敬遠されてしまうお客様もいらっしゃるかもしれません。ですが、実は“人間の業(ごう)”という普遍的なテーマを扱った作品だと思います。知盛は、父・清盛の悪逆の報いとして、身を滅ぼします。権太は、さんざん人を騙してきたことが結局は自分に返ってきます。「四ノ切」でも、義経が業について語ります。全編を通して、人の行いは必ず自分に返ってくるという業の話が展開されています。義経をはじめ、登場人物たちは追われる者や敗者ばかりです。勝者のいない物語で、人間の業という非常に普遍的なことが描かれているので、現代のお客様にも共感していただけると思います。

 息子の丑之助も銀平娘お安実ハ安徳帝として出演します。セリフの言い方や、型を覚える必要もありますが、それよりも、物語全体が見えた方がさらに面白いと思います。今は、『義経千本桜』の絵本を使い、「今度、丑之助はこれ、お父さんはこの3つをやるんだよ」と読み聞かせながら、お話全体の雰囲気を教えて、それから稽古をしています。

 『千本桜』という物語の世界と臨場感溢れる小劇場という空間が、幕が開いた時にどのような化学変化を起こすのか、今から楽しみでなりません。今回は、プログラムがA・B・Cに分かれていて、午後5時や午後6時に開演する公演もあるので、平日の仕事を終えた社会人の皆様もお越しいただきやすいのではないでしょうか。今まで歌舞伎をご覧になったことのない方もお誘い合わせの上、ご来場いただけると嬉しいです。

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 それぞれに味わいの異なるA・B・Cの3つのプログラム。原作の流れに沿った通しでの鑑賞はもちろん、義経の流浪を辿るという視点でAプロとCプロを続けて鑑賞するなど、様々なスタイルでお楽しみいただけます。お得なセット割引もございます。
 また、Cプロは、桜花爛漫の舞台を背景に、華やかな舞踊や変化に富んだ演出が観られ、歌舞伎初心者でも気軽にお楽しみいただけます。開演時間が午後6時ですので、お勤め帰りなどにもオススメです。
 この春一番の話題を呼ぶ舞台にご期待ください!

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 3月歌舞伎公演『通し狂言 義経千本桜』
3月3日(火)~26日(木) ※10日(火)・11日(水)は休演




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