歌舞伎公演ニュース

2022年2月17日

【3月歌舞伎公演】
歌舞伎名作入門

『近江源氏先陣館
-盛綱陣屋-』

尾上菊之助、中村梅枝、
尾上丑之助、小川大晴が
意気込みを語りました

 3月歌舞伎公演は、昨年に続き《歌舞伎名作入門》と銘打ち、古典歌舞伎の醍醐味に溢れた名作を分かりやすいご案内付きで上演します。今回ご覧いただく『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』は、〈大坂の陣〉を題材に、敵味方に分かれた兄弟の駆け引きと家族の情愛が、推理劇のようなスリリングな展開で繰り広げられる人気の一幕です。歌舞伎になじみの薄いお客様から愛好家の方まで、存分にご堪能いただけます。

 今回、尾上菊之助が、初代中村吉右衛門から岳父・二代目吉右衛門へ継承された盛綱に初役で挑み、長男の尾上丑之助が小四郎を勤めます。また、中村梅枝が、中村時蔵家に代々受け継がれる篝火に初役で挑み、長男の小川大晴が小三郎を勤めます。

 公演に先立ち、尾上菊之助、中村梅枝、尾上丑之助、小川大晴が意気込みを語りました。



[左より]中村梅枝小川大晴
尾上丑之助尾上菊之助

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尾上菊之助
(佐々木盛綱)

 『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』は、人と人とのつながりが強く描かれている作品です。

 私もInstagramでフォロワーが減ったり、「いいね」が付かなかったりすると、不安な気持ちになります。今はそういった評価も大事な時代になっていますが、かたや、この時代物の中では、子供を犠牲にしてまで忠義を立てるという世界観が描かれ、現代ではナンセンスに思えてしまうかもしれません。けれど、この歌舞伎の時代物の中には、非常に大切な、ハイセンスなものが隠れています。首実検に臨む盛綱は、北條への忠義を立てれば弟の義を殺し、弟の義を立てれば北條への忠義を殺してしまう、という状況の中で、人間の一番大切にしなくてはいけない「恕」(じょ)、人のことを深く思いやる心を悟ります。首実検にじっくりと時間をかける理由は、この「恕」という言葉から読み取ることができます。きっとお客様にも、人と人とのつながりを深く考えていただくきっかけになるのではないでしょうか。

 このお芝居は、佐々木一族の家族の物語で、もしかすると江戸時代の庶民も、なぜ武家はここまでしなければならないのかと思ったかもしれません。しかし、武士にとって、一族が守らなければならない家訓、どのように生きるかという武士道はとても大切なものです。盛綱・高綱兄弟が敵味方に分かれ、生き残りをかけた戦で、高綱が負けたことによって、盛綱は、もし自分が敗者となり、この首実検に至った場合、高綱のような行動が取れるのかということを突きつけられます。そして盛綱は、佐々木家が代々大事にしてきた家訓というものを悟り、行動に移したのだと思います。

 武家というものは大切な家訓を後世に伝えていき、奉公は末代まで、という時代の中で、作者の近松半二は、人間が大事にしなければならない〈人の心を察する〉ということを描きたかったのではないでしょうか。そして、その思いを汲み、名優たちが型に残してきたのだと思います。とくに首実検の場は、作者の心と役の心が交差し、人物が浮き上がるような型になっていると思います。

 岳父(二代目中村吉右衛門)の台本が何冊か残っていて、その中には事細かに役について書き残してくださったものがあります。それとは別に、この役で大事なことを岳父がまとめてくださっている書物もございます。それらを紐解きながら、岳父や初代吉右衛門の映像を参考に、そして岳父との共演も多かった先輩方に助言をいただきながら創っていきたいと思っています。

 私たち後世の人間は先人の創り上げた型を真似るだけではなく、なぜこの型が残っているのかということに立ち返り、この名作に挑んでいかなければなりません。型をとおして内面を感じ取ることが非常に大切です。「頭では分かっていても実際にできてないじゃないか」と岳父に叱られないように、今まで岳父に教えていただいてきた数々の役も参考にしながら、役作りを考えていきたいと思います。

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中村梅枝
(高綱妻篝火)

 初役で篝火を勤めさせていただきます。曾祖父(三代目中村時蔵)、祖父(四代目中村時蔵)、父(中村時蔵)と代々勤めている役を勤めさせていただけるのは、非常にありがたく思っております。

 この作品の一番のテーマは「絆」。兄弟の絆、親子の絆、夫婦の絆を非常に強く感じることのできる作品です。人の命よりも大事な、優先順位の高いものがあった時代に、その優先順位を捨ててまで、盛綱は家族を取ります。ただ、それを一つのホームドラマにしてしまうと、この作品は面白くなくなってしまいますので、非常に大きな時代背景があって、それに巻き込まれてしまった一つの家族にスポットが当たるよう肝に命じ、作品としての大きさを出していきたいと思っております。

 父にも言われておりますが、舞台には出てこない高綱を、いかにお客様にきちんと認識してもらえるかが大切になると思います。弟としての高綱、親としての高綱、夫としての高綱を、お客様が感じることができるようなお芝居になれば、推理劇としても、そしてまた一つの家族のドラマとしても深みを増していくと思います。

 初役には特別な緊張感があります。役を教わり、それをなぞっていきますし、教えていただいた方に失礼のないようになど、様々なことを考えます。今回のように、菊之助のお兄さんも私も初役という機会は多く、音羽屋(尾上菊五郎)のおじ様や、播磨屋(二代目中村吉右衛門)のおじ様から、菊之助のお兄さんがご指導を受けている様子を見聞きできるのは、私にとっても非常に楽しいですし、相手役の私にも「ここはこうしてほしい」「こうやってくれるとやりやすい」などと言っていただいて、大変勉強にもなります。

 今回は、菊之助さんのご子息の丑之助さん、そして、私の息子の大晴も出演させていただきます。丑之助さんは受け答えもしっかりされていますし、いずれ大晴にも小四郎のような大きなお役を演じてもらいたいと思うので、大晴には丑之助のお兄ちゃんのことをよく見て、お勉強してくれればと願っております。

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尾上丑之助
(高綱一子小四郎)

 小四郎を演じます。どうぞよろしくお願いいたします。大変ですが、立派な役ですので、(令和3年9月歌舞伎座以来)また演じられて嬉しいです。義太夫に合わせたり、最後に倒れたりするところが難しかったので、今度はもっと上手にやりたいです。

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小川大晴
(盛綱一子小三郎)

 小三郎を勤めさせていただきます。よろしくお願いします。鎧は重いですが、かっこよくなれるのが楽しみです。


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 親子競演にもぜひご期待ください。このほか、中村又五郎が敵の雄将・和田兵衛を勤めるなど、魅力に富む配役で、重厚感溢れる時代物の傑作を心ゆくまでお楽しみいただけます。感染症対策を徹底し、皆様のご来場をお待ちしております。

※本公演期間中、初役の盛綱に挑む〈尾上菊之助サイン入りブロマイド〉が抽選で当たるキャンペーンを開催!詳細は下記リンクをご覧ください。


【公演関連トピックス】
好評上演中、27日まで!(舞台写真あり)
12時開演の部―尾上菊之助サイン入りブロマイドが抽選で当たる!
11日(金)・18日(金)午後5時開演の部―限定特製リーフレット進呈と尾上菊之助サイン入りブロマイド抽選会!
[関連コラム]大坂の陣 ~敵味方に分かれた兄弟~

3月歌舞伎公演
『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』は
3月3日(木)初日、27日(日)まで!
※10日(木)、22日(火)は休演

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