歌舞伎公演ニュース

2019年2月14日

【3月歌舞伎】中村扇雀、尾上菊之助が意気込みを語りました

 3月歌舞伎公演は12年ぶりとなる小劇場での上演です。
 小劇場での歌舞伎公演は、上演が途絶えていた名作の復活や、次代を担う俳優が初めて大役を勤める舞台など“挑戦する小劇場歌舞伎”として上演を重ねてきました。20回目となる今回は、「日本の美」「日本人と自然」をテーマに全国で展開される文化芸術の祭典「日本博」にちなみ、“歌舞伎と桜”というテーマのもと、桜が印象的な二作品――『元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)―御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)―』『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』を取り上げ、平成最後の春を彩ります。

 公演に先立ち、徳川綱豊卿(とくがわつなとよきょう)を勤める中村扇雀と関守関兵衛(せきもりせきべえ)実ハ大伴黒主(おおとものくろぬし)を勤める尾上菊之助が、新しい役柄に挑む舞台への意気込みを語りました。



(左より)尾上菊之助、中村扇雀

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中村扇雀
(徳川綱豊卿)

 『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』のお初(はつ)を初めて勤めたのも国立劇場小劇場(昭和62年4月)で、思い出深い小劇場歌舞伎に久しぶりに出演できることをとても嬉しく思っています。
 今回勤める綱豊は、近年は松嶋屋のお兄さん(片岡仁左衛門)や、高砂屋のお兄さん(中村梅玉)が多く勤めていらっしゃいますが、自分なりの綱豊を創ろうという思いで勤めたいです。

 台本を読むと、綱豊は実は大石内蔵助(おおいしくらのすけ)の代弁者であり、内蔵助と自分を重ねているところがよく見えてきます。義を通すために討ち入りをしなくてはならない一方で、浅野家再興を願うという内蔵助の苦悩は、将軍の後継争いに巻き込まれないように苦心している綱豊の立場に通じるものがあります。
 赤穂浪士の一人である富森助右衛門(とみのもりすけえもん)を諭す言葉は、実は自分にも言い聞かせている……。義を貫くことの難しさや大切さ、内蔵助の苦悩をしっかりと伝えることが大切だと思います。

 息子の(中村)虎之介はお喜世(きよ)を勤めます。女方を勉強する良い機会ですので、良いものを皆様にご覧いただけるよう、演じてほしいです。また、助右衛門の(中村)歌昇さんは、非常にまじめで滑舌も素晴らしく、共演を希望しました。お父上の(中村)又五郎さんが新井勘解由(あらいかげゆ)に出てくださるので、とても有難いです。
 今回の公演では、自分の新たな一面が生まれるのではないかと、今から楽しみにしています。




尾上菊之助
(関守関兵衛実ハ大伴黒主)

 初めて『積恋雪関扉』に出演して以来(平成23年12月平成中村座、傾城墨染(けいせいすみぞめ)実ハ小町桜(こまちざくら)の精)、いつかは関兵衛を勤めたいと思っていました。今回は“挑戦する小劇場”ということもあり、また、関兵衛と小町桜の精が織りなす“ファンタジーの世界”が「歌舞伎と桜」というテーマにも合っており、思い切って挑戦することにしました。
 江戸の文化が花開いた「天明」という時代にできた歌舞伎舞踊の傑作の一つです。関兵衛の軽妙洒脱なところや、後の黒主になってからの大きさや風格をどれだけ出せるかという点は、非常に大きな壁で課題ですが、全力でぶつかっていきたいです。

 初代中村仲蔵によって今から230年ほど前に初演(天明4年〈1784〉)されて以来、ほぼ元の形を残しながら今日まで上演が続いているのは、やはり歌詞や曲、振りが面白いからだと思います。私もその魅力に惹かれており、この常磐津の曲が大好きです。
 墨染を勤めた時、墨染が現れて廓話になると、舞台に立っていてもゆったりとした時間が流れているように感じました。今回、関兵衛を勤める中で、その場面をどう感じるのかも楽しみです。

 客席と舞台の近さは、小劇場歌舞伎の魅力の一つです。その中で私を含め、(中村)梅枝さん、(中村)萬太郎さんと、初役の皆でぶつかり合って名作に挑戦し、先人たちが築きあげてきたものにどれだけ肉薄できるか……。魂を込めて勤めますので、ご期待ください。

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 大劇場とは趣の異なる魅力を味わえる「小劇場歌舞伎」。俳優や演奏家の息遣いをより身近に感じられる濃密な劇場空間で、歌舞伎の醍醐味をお楽しみください。
 また、この月は、通常の公演と異なり、19日を除く火曜・土曜、祝日の前日の20日に、17時開演の部も設けました。特にお勤め帰りの皆様は、この機会にぜひ、桜が舞台に咲き誇る国立劇場の歌舞伎へお越しください。


 3月歌舞伎公演『元禄忠臣蔵』『積恋雪関扉』
3月3日(日)~27日(水) ※10日(日)・11日(月)は休演
12時開演(15時55分終演予定)・17時開演(20時55分終演予定)



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