歌舞伎公演ニュース

2021年6月18日

【7月歌舞伎鑑賞教室】

『義経千本桜』

中村又五郎、市川高麗蔵が
意気込みを語りました!

 令和3年7月、記念すべき第100回を迎える歌舞伎鑑賞教室では、人間と動物の心の交流を描き、歌舞伎屈指の名場面として人気を誇る『義経千本桜』河連法眼館の場をお届けします。
 公演に先立ち、佐藤忠信・源九郎狐を勤める中村又五郎と、静御前を勤める市川高麗蔵が意気込みを語りました。


(左より)市川高麗蔵中村又五郎

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中村又五郎
(佐藤忠信・源九郎狐)

 『義経千本桜』河連法眼館の場(通称「四の切」)の忠信は、平成20年(2008)国立劇場で初めて勤めました。その時は、亡くなられた(五代目)中村富十郎のお兄さんと、播磨屋(中村吉右衛門)のお兄さんにお稽古をしていただきました。富十郎のお兄さんには子供の頃から様々な役を教わりましたが、忠信はその最後の役で、大変思い出深い作品です。その後、又五郎襲名の平成24年(2012)「四国こんぴら歌舞伎大芝居」でもこの「四の切」を出させていただきました。今回、お二人に教えていただいたことを、また一から思い出して勤めたいと思っております。

 前半では「本物」の佐藤忠信が登場しますが、この忠信の役の捉え方はとても難しい。若造に見えないように、演じている役者の大きさというものが必要になってきます。一方の狐忠信になってからは、中性的に演じるようにと、先輩方が口伝や書物に記しています。また、子狐といってもすでに400年以上生きていますから、幼いという意味の子供の狐にならないよう、気を付けたいと思います。「狐詞(きつねことば)」や狐の指使いなども、先輩方のご指導を踏まえながら勤めたいです。

 皆さん「体力的に大変では?」とおっしゃいますが、先人たちが創り上げたお芝居ですので、ちゃんと息を整えるところもありますから大丈夫です。

 初めてご覧になる学生さんやお客様には、子が親を想う気持ちを伝えられればと思います。また、舞台の仕掛けもいろいろありますので、「昔の人はこういうことを考えたんだ!」と楽しんでいただきたいです。

 今回の歌舞伎鑑賞教室は100回目という記念すべき公演です。昭和42年(1967)に始まり、たくさんの学生さんが初めて歌舞伎に接し、その後、大人になってからまた歌舞伎をご覧になっている方も相当いらっしゃると思います。これから先も、こうして学生の時に歌舞伎を体験していただくことは大切だと思いますし、今回の舞台で興味を持って、また観に来ていただけるようになれば、とてもうれしく思います。

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市川高麗蔵
(静御前)

 「四の切」の静御前は私にとって思い出深い大切なお役です。最初に演じたのは平成4年(1992)国立劇場で、尾上松緑(当時二代目辰之助)さんとさせていただきました。まだ女方の大役をやらせていただいたことがなくて、「やっていいの?」という思いで演じたのを覚えています。それから前回は平成20年(2008)国立劇場で又五郎さんとさせていただいて、今回で3回目の静となります。本当に十数年に一度、神様が定期試験のように与えてくれている役だなと感じています。この十数年をどのように過ごしてきたかを試されているように感じますし、「前回よりシワが増えただけだね」とならないようにしたいと思います。

 以前の台本を読み返してみると、先輩方や友人にアドバイスしていただいたことがたくさん書き込んでありました。皆さんが一番おっしゃるのは、静御前は赤姫という代表的な女方の格好をしていても、お姫様ではない、ということです。見た目はお姫様ですが、やはり白拍子であること、それでいて品位を落とさないことが大事です。また、この「四の切」で静は忠信に対して攻め手になるのですが、こういう女方は大変珍しいです。女方にとって難しくもあり、とても楽しいところでもあります。魅力的な女性で、みずみずしい役ですので、ビタミンを摂りながら一所懸命に勤めたいです(笑)。

 『義経千本桜』は歌舞伎の三大名作の一つです。わかりづらいところもあるかもしれませんが、細かいことはともかく、狐の親子の愛情を描いたメルヘンチックな物語ですので、歌舞伎の美しさ、出ている俳優の魅力、色や音のかっこよさなどを楽しんでいただければうれしいです。また、男性が女性を演じる「女方」は歌舞伎の大きな特徴の一つですから、そちらも楽しんでいただきたいと思います。

 歌舞伎鑑賞教室が100回も続けられてきたことは、とてもありがたいことです。歌舞伎は何百年もかけてお客様と一緒に創り上げてきた娯楽です。これをきっかけに歌舞伎に興味をもってくださる若い学生さんが一人でも二人でも多く出てきてくれることを祈っています。

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 歌舞伎鑑賞教室は、解説付きで歌舞伎の代表的な演目をお楽しみいただける公演です。価格もお手ごろで、観劇の手引きになる豆知識をまとめた歌舞伎読本やプログラムの無料配布もございます。
 7月は、お勤めされている方もご来場いただきやすい夜の時間帯の〈社会人のための歌舞伎鑑賞教室〉や、親子割引やお子様向けリーフレットの付いた〈親子で楽しむ歌舞伎教室〉、さらに外国の方向けの〈Discover KABUKI〉の公演日もございます。
 感染症対策を徹底して、皆様のご来場をお待ちしております。


7月歌舞伎鑑賞教室『義経千本桜』は
7月3日(土)初日、27日(火)まで!
※8日(木)・15日(木)は休演



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