歌舞伎公演ニュース

2020年11月30日

【12月歌舞伎公演】

第一部『三人吉三巴白浪』

中村時蔵、中村芝翫、尾上松緑が意気込みを語りました!

 二部制で上演する12月歌舞伎公演は、各部とも約2時間30分の上演時間で気軽にご鑑賞いただけます。
 河竹黙阿弥の名作と舞踊作品を、当代を代表する演じ手から清新な若手まで、魅力あふれる好配役でお楽しみいただきます。
 公演に先立ち、第一部『三人吉三巴白浪』でお嬢吉三を勤める中村時蔵、和尚吉三を勤める中村芝翫、お坊吉三を勤める尾上松緑が意気込みを語りました。



(左より)尾上松緑、中村時蔵、中村芝翫


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中村時蔵
(『三人吉三巴白浪』お嬢吉三)

 『三人吉三巴白浪』のお嬢吉三を勤めます。「大川端」は3回目、通しでは2回目となるお役ですが、東京で勤めるのは初めてです。前回は平成15年4月金丸座で、その時は(十二代目市川)團十郎さんの和尚吉三、(十代目坂東)三津五郎さんのお坊吉三でございましたけれど、もう懐かしい話ですね。17年前になってしまいました。

 昨年10月歌舞伎座で息子の梅枝がお嬢吉三をやらせていただいた時、こんなだったなと思いながら少し教えたりもしていたのですが、「親父、通しでやったことあるの?」「あるよ」「どこで?」「金毘羅で」「知らないな」と言われてしまいました。息子が知らないくらいですから、お客様も知らないのではないかと思います(笑)。久しぶりの『三人吉三』でございます。今回は芝翫さん、松緑さんと、気心の知れている三人で、年末らしい楽しく明るい舞台にしたいと思っております。

 この作品といえば、やはり「大川端」が名場面です。「月も朧(おぼろ)に白魚の……」はどなたでも知っているような名ぜりふです。私も好きですが、皆様もご存じで目も肥えていらっしゃいますので、他の先輩たちに負けないように勤めたいと思っております。また、「吉祥院」も「火の見櫓」も面白い場面でございます。特に「火の見櫓」は立廻りもございますし、今回は大ゼリを使っての演出ですので、華やかに立廻りをして終えたいと思っております。

 『三人吉三』は作者の河竹黙阿弥が得意としている因縁や因果が存分に描かれています。江戸時代にできた作品ですので、今の時代では表現するのが難しくなっている部分もありますが、そういうところも含め、黙阿弥作品の良さを感じながら観ていただきたいと思います。

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中村芝翫
(『三人吉三巴白浪』和尚吉三)

 和尚吉三は久々で、26年ぶりでございます。シアターコクーンで『三人吉三』を演じさせていただいた時(平成13年6月、平成19年6月)は、ずっとお坊吉三を勤めておりました。作品的にも若い三人の集まりということで、私たちにピッタリではないかなと思っている次第です(笑)。

 「大川端」は子どもの頃のお芝居ごっこで散々やった思い出がございます。この場面はお聴きになるお客様も心地よいですけれど、演じている役者も心地がようございます。七五調の名ぜりふに寄りかかり過ぎてはいけませんし、心地よいだけではなく、その間にある物語や性根というものを根底におかないといけないと思っています。

 三人の吉三は今でいうと、渋谷のセンター街にいるような三人組ではないかなという感じがします。「今もこの都内のどこかに三人吉三はいるんじゃないかな」と時代を超えて錯覚できるような生活感や人間の情が身近に感じられないと、『三人吉三』は成立しません。少しでもこの三人の生き様が、お客様の胸に届くように演じたいです。

 実は、私が子供の頃、和尚吉三といえば、松緑さんのおじい様にあたる紀尾井町のおじ様(二代目尾上松緑)や、お父上の亨(とおる)兄さん(初代尾上辰之助=三代目尾上松緑)の印象が強くて、その跡をお継ぎになった松緑さんの前で和尚を演じるのは気が引けてしまいます(笑)。大きな目玉で私の和尚を睨みつけていると思いますが、こちらも兄貴分として負けずに睨み返し、青春の火花を散らしたいと思っております。

 第二部には久しぶりに兄の福助が『鶴亀』で出演します。兄は今年還暦を迎えました。女方さんに歳はないと言いますけれど、こうして還暦を迎えて国立劇場の舞台に立てることは、弟としても大変嬉しゅうございます。また、第二部で上演される『天衣紛上野初花-河内山-』も河竹黙阿弥の作品です。『三人吉三』と『河内山』は世話物の代表作ですから、ぜひ両方ともご覧いただきたいと思っております。

 年末のひと時、歌舞伎公演をご覧になって、少しでも幸せな気持ちになっていただきたいなという思いを込めて、1か月勤めさせていただきます。

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尾上松緑
(『三人吉三巴白浪』お坊吉三)

 時蔵さん、芝翫さんとこうして年末に『三人吉三』を勤めさせていただけるのは、本当にありがたいことでございます。お坊吉三は2度目です。これまで何度も和尚吉三は勤めてまいりましたが、「火の見櫓」のお坊とお嬢の立廻りの時、和尚はちょうど裏で拵(こしら)えをしています。走って出ていくとちょうど立廻りも終わってしまっていて、まだよく分からないところが多くございます。あまり経験がなく、また、「吉祥院」や「火の見櫓」は初めてですので、芝翫の兄さんに伺ったり、時蔵の兄さんが演じやすいようにこれから相談したり、また、長年お嬢吉三を勤めてこられた(尾上)菊五郎のお兄さんにも色々なノウハウを伺ったりして、お坊吉三を勤めていきたいと思います。

 お坊吉三は、典型的な二枚目のお役です。お坊の持つ色気などを研究して勤めるのを楽しみにしています。今は菊五郎のお兄さんと相談しながら、「大川端」では小豆色の衣裳にしようと決めています。

 白浪(盗賊)物として『白浪五人男』と対比されることもある『三人吉三』ですが、『白浪五人男』の「稲瀬川」がとても明るい場面であるのに対し、三人の吉三が揃う「大川端」は暗い中、ある種の“ダークさ”を持った作品です。私はこのお芝居のダークな部分がとても好きですが、反面、そこが時蔵のお兄さんのおっしゃるように、今の時代では表現が難しい部分でもあります。

 この作品は後輩たちの時代にもずっと残していきたいですし、題材がダークな中でも練られたものですから、戯曲として後世に残していかなくてはいけないと思います。そのためにもきっちりとした良いものをこの12月歌舞伎公演で作り、皆様にお見せしたいと思っております。

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 数奇な運命の糸で結ばれた三人の盗賊。絡み合う因果の物語が情感豊かに展開する名作です。初めての歌舞伎観劇にもオススメで、お求めやすい価格でご覧いただけます。師走を彩る名舞台をご堪能ください。皆様のご来場をお待ちしております。


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12月歌舞伎公演は、3日(木)から26日(土)まで
※ただし、15日(火)は休演
【第一部】午前11時開演 【第二部】午後3時30分開演

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