歌舞伎公演ニュース

2019年11月14日

【12月歌舞伎】

松本白鸚、松本幸四郎が意気込みを語りました!

 令和元年の掉尾を飾る12月歌舞伎公演は、『近江源氏先陣館―盛綱陣屋―』と『蝙蝠の安さん』の二作品をご覧いただきます。
 『盛綱陣屋』では、襲名後、当劇場初出演となる松本白鸚が、祖父・初代中村吉右衛門、父・初代松本白鸚を経て継承された盛綱を28年ぶりに勤めます。
 『蝙蝠の安さん』は、今年で生誕130年を迎えた“喜劇王”チャールズ・チャップリンの映画『街の灯』(1931)を翻案した幻の作品です。チャップリン映画の大ファンである松本幸四郎が、念願の蝙蝠の安さんに挑みます。
 上演に先駆け、白鸚と幸四郎が意気込みを語りました。


(左より)松本幸四郎、松本白鸚

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松本白鸚
『近江源氏先陣館―盛綱陣屋―』佐々木盛綱

 『盛綱陣屋』の盛綱を28年ぶりに勤めます。今年の締め括りの仕事として恥ずかしくないよう一所懸命に、また、本作の後には『蝙蝠の安さん』という大変な強敵が控えていますから、それに負けないよう勤めたいです。
 若い頃(昭和38年(1963)4月)に「木の芽会」という勉強会で初めて盛綱を勤めました。その時は、父に加え、初代吉右衛門の娘である母が、一緒になって教えてくれたことをよく覚えています。当時は無我夢中でした。“初心忘るべからず”ではありませんが、その頃の思いを胸に、新鮮な気持ちを失わないようにしたいです。
 子供の頃、『盛綱陣屋』の“首実検ごっこ”をよく家でしていました。ちゃぶ台を舞台の道具に見立てたり、自分で首をつくったりして(笑)。盛綱が敵対する弟・高綱の首だと思って見てみると“偽りの首”で、「ああ良かった、弟ではない」と安心する……。今にして思うと、そんな心理描写を子供心に感じ取っていたのだと思います。さらに傍らでは、本物の高綱の首だと信じ込ませようと、高綱の子・小四郎が自害する。これを贋首と言ったら、この子の死が無駄になる。そして、背後では北條時政が睨みを効かせている……。その数分間を、義太夫の太棹の音だけで持たせていて、本当にすばらしい心理描写がなされています。ぜひご覧いただきたい作品ですし、私の盛綱をお見せすることによって、お客様が何か心に感じていただければと願っています。

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松本幸四郎
『近江源氏先陣館―盛綱陣屋―』信楽太郎
『蝙蝠の安さん』蝙蝠の安さん

 チャップリンの『街の灯』を歌舞伎化した『蝙蝠の安さん』という作品を知ったのが30年程前。以来、上演できればという思いを持ち続けていました。それがようやく実現することになり、本当に感激しています。また、今年はチャップリン生誕130周年に当たり、さらに、チャップリンの命日である12月25日にも上演ができます。今回、花売り娘お花を演じる坂東新悟さんのお祖父様・坂東好太郎さんも『蝙蝠の安さん』という映画に出演されていました。こうした巡り合わせは計画してできることではありません。まさに「今が上演する時だったんだ!」と実感しています。
 『街の灯』は無声映画ですので、今回の舞台でも喋らなくてよいかと思っていたのですが、たくさん喋るお芝居です(笑)。映画の中のボクシングのシーンは、リズミカルでダンスのような雰囲気を残しながら、相撲に置き換えます。また、水に落ちそうなトリッキーな動きやステッキに帽子という姿など、チャップリン映画の世界観も残していきたいと考えています。原作は映画作品ですからシーンが沢山あります。今回、敢えてそれを残しつつ、映画のように場面転換をしていくことも考えていますし、音楽も映画で使われたものを参考に作っている段階です。
 安さんは、盲目の花売り娘のために治療費を稼ごうと奔走しますが、治すこと以外に何も求めません。娘の目が治ったことを知ると、安さんは満足して娘から去っていきます。そんなところも彼の魅力です。
 映画『街の灯』が日本で公開されるよりも、パロディーである『蝙蝠の安さん』の上演が先でした。そういう歌舞伎の“傾(かぶ)いた”精神にも惹かれています。
 『盛綱陣屋』では信楽太郎を勤めます。中村芝翫のお兄様の襲名で勤めさせていただいて以来、二度目となります。古風な歌舞伎をしっかりと勤め上げることができればと思います。今回が松本幸四郎として初めての国立劇場出演です。また新たなスタートとして、精一杯勤めたいです。

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 師走に送る話題の二作品をお楽しみに。
 なお、チャップリン生誕130年を記念して、毎週金曜日と24・25日の夜7時からは“Chaplin KABUKI NIGHT”と銘打ち、『蝙蝠の安さん』を単独で上演します。この夜の公演に限り、劇場ロビーでチャップリン関連資料の展示や専用パンフレットの販売を予定しています。
 また、クリスマスイブの12月24日とチャップリンの命日に当たる25日の終演後には、記念イベントを企画しています。
 クリスマスシーズンに劇場で、大切な人と素敵なひと時をお過ごしください。

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映画『街の灯』より



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Charlie Chaplin TM © Bubbles Incorporated SA 2019
Produced in cooperation with the Chaplin Society of Japan.
(『蝙蝠の安さん』協力=日本チャップリン協会)


12月歌舞伎公演は、4日(水)から26日(木)まで
※但し、13日(金)は午後7時開演のChplin KABUKI NIGHTのみ



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