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歌舞伎公演ニュース

2024年12月13日

初春歌舞伎公演『彦山権現誓助剣』

尾上菊五郎、尾上菊之助、
坂東彦三郎、中村時蔵が意気込みを語りました!

 令和7年の初春歌舞伎公演は、仇討ち狂言の傑作『彦山権現誓助剣』を、新国立劇場・中劇場で上演いたします。
 公演に先駆け、尾上菊五郎、尾上菊之助、坂東彦三郎、中村時蔵が意気込みを語りました!



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尾上菊五郎
(真柴大領久吉)

 来年のお正月は『彦山権現誓助剣』。私も「毛谷村」ではお園を数回、このところは六助を2度ほど勤めさせていただきました。
 今回は真柴大領久吉を勤めます。私は六助とお園に仇討ちをさせて、その上、六助を侍大将として召し抱えるという役で、誠におめでたい、楽しく明るいお芝居でございます。どうか大勢のお客様に見物していただきたいと思っております。

 また、通し狂言での上演です。普通は“見取狂言”で名場面ばかり上演しますが、こうやって“通し”でやるときは、原作を大事にする気持ちをもって勤めています。また、悪人の京極内匠が実は明智光秀の子供という……「なんで突然そういうふうに!」というようなところも、通し狂言の面白さです。

 私は最後に出てきて、捌き役として気持ちよくお芝居を終わらせたいなと思っております。大詰で久吉がどうするかというのは、今皆で、さらに面白くしようと相談して作っています。どうなるかお楽しみにというところですが、少しだけ……。孫たちが大勢出て参りまして、みんなそれぞれに“佐藤正清”だとか“福島正則”だとか、かっこよく名乗らせようかなと考えています(笑)。

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尾上菊之助
(毛谷村六助)

 初役で六助を演じさせていただきます。来年のお正月は、国立劇場ならではの通し狂言で、吉岡一味斎の一家の物語、そして京極内匠と明智光秀の関係など、頭の中に相関図が浮かぶような、わかりやすい公演になると思っております。今年は「不適切にもほどがある!」という言葉も流行りましたが、六助は「いい人すぎるにもほどがある!」という感じで、演じてみたいなと考えております。

 とにかく六助は良い人です。今回は発端で、吉岡一味斎から剣術の奥義を教わるところもさせていただきます。そこで六助は「何百石で召し抱えられても、私が奉公してしまうと母が困ってしまうから」と辞退をする、その親に孝を立てる姿が認められ、吉岡一味斎から剣術の奥義を授かるという場です。心優しく、しかも力持ちで、剣術に長けていて、線が太い役柄ですので、どれくらい自分で表現できるかというのが課題だと思います。
 また、今回の公演では特設花道や客席に張り出した舞台を作ります。花道はお客様と役者との心を結ぶ大事な舞台です。ぜひお客様に臨場感を味わっていただきたいと思っています。

 来年は八代目菊五郎を襲名させていただき、今の名前では最後の国立劇場主催公演への出演になります。これからも女方を大事に、そして父や播磨屋の父(二代目中村吉右衛門)が大事にしていた立役も勉強していこうと思っております。来年は私も倅の丑之助も年男でして、干支の巳、蛇ではございませんが大きく脱皮できるように、菊之助最後のお正月の舞台を、華やかに力いっぱい勤めたいと思っております。

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坂東彦三郎
(京極内匠)

 初役で京極内匠を勤めさせていただきます。令和2年11月国立劇場歌舞伎公演で「毛谷村」を上演したときに、杣人斧右衛門で出演させていただきました。「毛谷村」の六助は父(坂東楽善)が彦三郎襲名で勤め、また父は「杉坂」「毛谷村」の微塵弾正も勤めていますし、タイトルに「彦山(ひこさん)」とついているので何か縁があるのかなと思うような……先ほどから「彦さん、彦さん」と言われて緊張してしまって……(笑)。縁の深いお芝居ですので一生懸命勤めます。

 「杉坂」と「毛谷村」の場面は父が過去に勤めたことがあるので父に教わります。共演する菊五郎お兄さんや菊之助さん時蔵さんと相談しながら作っていけるように、また時蔵さんとは襲名されてから初めて舞台でご一緒するので、とても楽しみにしています。

 京極内匠は悪といっても、今回の芝居の中では家来や子分がほとんど登場しないので、一身に悪を背負い、最後に殺されて、皆さんがハッピーエンドになるような悪を作っていきたいなと考えています。

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中村時蔵
(一味斎姉娘お園)

 お園を初役で勤めさせていただきます。父(中村萬壽)も何度も勤めておりますし、念願のお役でございます。というのも、以前、尾上松也さんと巡業で「毛谷村」のお園をさせていただく予定でしたが、コロナ禍で公演が中止になってしまいました。こうして機会をいただき、とても喜んでおります。

 お園は父に教わります。今回のような“通し狂言”となるとお園はほぼ出ずっぱりで、様々なお園の姿をお見せできると思います。やはり「毛谷村」のお園が一番皆様に印象深いと思いますので、そこにちゃんとつながるように演じていきたいと考えています。
 女方であそこまで激しい立廻りがあって、ガラッと変わって愛嬌を振りまいてというお役はなかなかないと思いますし、お芝居自体もとても朗らかで、また息子(中村梅枝)が弥三松で初お目見得させていただいたこともあり、思い入れの強い演目です。

 また今回は彦三郎さんと「瓢箪棚」という場で、私は鎖鎌を使った立廻りがございます。一昨日、小道具さんが鎖鎌を私の楽屋に置いて行き、これで練習をしてということで……今、分銅をブンブン楽屋で振り回しております(笑)。

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 今年も人間国宝の尾上菊五郎を座頭に、人気と実力を兼ね備えた俳優陣が集います。尾上菊之助、坂東彦三郎、中村時蔵らフレッシュな花形役者たちが躍動し、坂東楽善、中村又五郎らベテラン勢が要所で芝居を引き締めるほか、坂東亀三郎、尾上丑之助、尾上眞秀、中村梅枝、中村種太郎、中村秀乃介といった未来を担う孫世代まで一挙出演し、多彩な出演陣の競演も見逃せません。

 毎年恒例の手ぬぐいまきもございます。国立劇場おなじみの初芝居をお楽しみください。

 皆様のご来場をお待ちしております。



\チケットは、12月13日から発売開始/
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