歌舞伎公演ニュース

2021年11月2日

【11月歌舞伎公演】

『一谷嫩軍記』
本日開幕、25日まで!

(舞台写真あり)

 国立劇場開場55周年記念の11月歌舞伎公演は、〈一ノ谷の合戦〉を題材にした時代物の傑作『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』をお楽しみいただきます。非情な戦場で若武者・平敦盛を討った熊谷次郎直実の物語が、49年ぶりとなる「御影浜浜辺の場」(通称「宝引(ほうびき)」)からの上演で、より分かりやすくご覧いただけます。
 中村芝翫が家の芸とも言える《芝翫型》で熊谷を演じ、また、中村鴈治郎が初役で弥陀六を勤めます。さらに中村錦之助、片岡孝太郎をはじめ魅力的な顔触れで、芸術の秋にふさわしい名作をご堪能いただきます。舞台写真とともに、みどころをご紹介します。

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 ここは摂津国の御影浜(兵庫県南東部)。数日前に近くの一ノ谷で平家の軍勢が源氏に急襲され、大敗したばかりでした。明け方の松並木の前で、建てられたばかりの石塔をめぐって村人たちが噂話をしています。すると、石屋の弥陀六(中村鴈治郎)が現れ、正体不明の人物から石塔の建立を頼まれて代わりに笛を受け取ったことを明かします。
 そこへ平敦盛の母・藤の方(中村児太郎)が源氏方の追手から逃れてきます。そして、弥陀六が持つ笛を手にし、わが子が肌身離さず秘蔵していた〈青葉の笛〉だと語ります。敦盛が源氏方の武将・熊谷次郎直実に討たれたことを知らされ、藤の方は悲嘆の涙に暮れます。最期を遂げたはずの敦盛と石塔の依頼主が意外にも結びつき、謎が謎を呼びます。


序幕「御影浜浜辺の場」
[左より]白毫の弥陀六(中村鴈治郎)、
経盛室藤の方(中村児太郎)ほか

 番場の忠太(中村亀鶴)に率いられた源氏方の追手が現れると、弥陀六の呼びかけで村人たちは意外な行動に出ます。鋤や鍬を抱えた百姓たちが武士を相手におかしみのある立廻りを繰り広げます。


序幕「御影浜浜辺の場」
番場の忠太(中村亀鶴)ほか

 庄屋の孫右衛門(中村寿治郎)が騒ぎを聞きつけてやって来て、村人たちと滑稽なやり取りを交わし、笑いを誘います。さらに、下手人として名乗り出る者を決めるために宝引(くじ引き)が行われ、騒ぎは収まりません。


序幕「御影浜浜辺の場」
庄屋孫右衛門(中村寿治郎)ほか

 弥陀六は、自ら進んで出頭すると申し出て、次幕で再び登場することになります。また、わが子の死を知った藤の方が、形見の〈青葉の笛〉を持って熊谷の陣屋にやって来る背景も分かります。

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 場面は移り、熊谷の陣屋。桜の木の傍らには「一枝(し)を伐(き)らば一指を剪(き)るべし」と記された制札が立っています。
 わが子・小次郎の身を案じてやって来た熊谷の妻・相模(片岡孝太郎)は、御影浜から追手を逃れてきた藤の方と巡り合い、二人は数奇な境遇を語り合います。一方、平家の残党狩りをする梶原平次景高(中村松江)は、熊谷の内通も疑い、御影浜の石塔の依頼主を突き止めようと弥陀六を脅し、拷問も辞さない態度で詮議します。


二幕目「生田森熊谷陣屋の場」
白毫の弥陀六(中村鴈治郎)、
堤軍次(中村橋之助)、
梶原平次景高(中村松江)ほか

 そこへ熊谷(中村芝翫)が戻って来て、藤の方はわが子の仇と斬りかかります。これを制した熊谷が相模と藤の方を前に敦盛の最期を語る場面では、過去の出来事を印象に残るように語る《物語》という手法が用いられます。義太夫の語りも巧みに活かし、演者も義太夫の三味線にのって語ります。人形浄瑠璃を原作とした義太夫狂言ならではの演出をお楽しみください。


二幕目「生田森熊谷陣屋の場」
熊谷妻相模(片岡孝太郎)、
熊谷次郎直実(中村芝翫)、
経盛室藤の方(中村児太郎)

 やがて源氏の大将・源義経(中村錦之助)が現れて、敦盛の首実検が始まりますが……!


二幕目「生田森熊谷陣屋の場」
熊谷妻相模(片岡孝太郎)、
熊谷次郎直実(中村芝翫)、
源義経(中村錦之助)、
経盛室藤の方(中村児太郎)ほか

 動揺する相模と藤の方を押しとどめる熊谷の〈制札の見得〉に緊迫感が溢れます。相模が首を抱えて慟哭する《クドキ》には、激しい胸の内が滲み出ます。


二幕目「生田森熊谷陣屋の場」
熊谷妻相模(片岡孝太郎)、
熊谷次郎直実(中村芝翫)

 敦盛の最期の真相を盗み聞いた梶原が鎌倉へ注進のため駆け出すのを、弥陀六が阻止します。そのまま立ち去ろうとする弥陀六を呼び止めた義経は、弥陀六の本性を見抜き、御影浜の石塔の意外な事実が語られます。果たして石塔の依頼主の正体は……!
 そして、熊谷が悲しみを胸の奥にたたえた姿となり、感動的な幕切れを迎えます。


二幕目「生田森熊谷陣屋の場」
源義経(中村錦之助)、
白毫の弥陀六(中村鴈治郎)ほか

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 弥陀六の石塔や敦盛の形見の〈青葉の笛〉が、ストーリー展開に重要な役割を果たし、物語の山場となる「熊谷陣屋」の出来事がより深く、より面白く楽しめる構成です。また、国立劇場では初となる《芝翫型》の熊谷は、古風で豪快な魅力がたっぷりです。
 なお、5日・12日・19日の金曜夜の部は限定イベントを開催します。開演前(午後4時45分~)に中村橋之助がみどころ等について分かりやすくお話しするほか、お芝居の「宝引」にちなみ、くじ引きで劇場グッズが当たるお楽しみも!
 感染症対策を徹底して、皆様のご来場をお待ちしております。

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11月歌舞伎公演『一谷嫩軍記』は
25日(木)まで!
※10日(水)、18日(木)は休演


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