歌舞伎公演ニュース

2020年10月30日

【11月歌舞伎公演】

第一部『平家女護島―俊寛―』

中村吉右衛門、尾上菊之助が意気込みを語りました!

 11月歌舞伎公演は二部制で、各部とも約2時間30分の上演時間で気軽にご鑑賞いただけます。
 第一部では近松門左衛門の傑作『平家女護島―俊寛―』を、第二部では心温まる仇討物の名作『彦山権現誓助剣―毛谷村―』と舞踊『文売り』『三社祭』を上演します。
 公演に先立ち、第一部『平家女護島―俊寛―』で平相国入道清盛と俊寛僧都を勤める中村吉右衛門、俊寛妻東屋と丹左衛門尉基康を勤める尾上菊之助が意気込みを語りました。




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中村吉右衛門
(『平家女護島―俊寛―』平相国入道清盛/俊寛僧都)

 『平家女護島―俊寛―』の俊寛僧都は、私の養父・初代中村吉右衛門が当てた役で、そののち実父・八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)に教わって私も何とか勤めております。今回は、菊之助さんという“兼ねる役者”とご一緒させていただきます。普段は「鬼界ヶ島」の場面だけでの上演が多い芝居ですが、その前に「清盛館」を付けて、菊之助さんには絶世の美人・東屋という俊寛の妻を勤めてもらいます。
 近松門左衛門の作品における男女の関係といいますと、大概は色街での色っぽい話が多いのですが、本作では、離れて暮らしている夫婦、遠くにいる男女の愛を描いています。東屋は、平清盛に気に入られてしまったことで自害し、それを夫の俊寛にも知らせるなと伝えます。まさに“究極の愛”、それを受けての「鬼界ヶ島」の俊寛はどうなるか……というのが、今回の私の課題です。
 役者が喜怒哀楽に訴えて、お客様に笑ったり泣いたりして苦しみや悩みを涙で流していただく。芝居というのはそういうものじゃないかなと、私は思っております。この作品をご覧いただいて、泣いて泣いて、コロナのことも苦しいことも、人生のいろんなことを一時パッと忘れていただく。キザな言葉でいえば“カタルシス”。菊之助さんの東屋でしたら、それを感じていただけるかな、と期待しています。
 やっと9月から舞台に立てるようになりましたが、お客様が心から拍手してくださっている時は「本当に役者になって良かった、生きていて良かった」とつくづく感じます。また、そうした嬉しさは、そうでない感情を表現する上でも役立つのではないかと思います。今感じている喜びを、11月の俊寛では真逆の悲しみとしてお伝えし、お客様には涙を流して心を浄化していただければ幸いです。

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尾上菊之助
(『平家女護島―俊寛―』俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康)

 コロナ禍の状況でございますけれど、今は舞台に立てる喜びを日々かみしめています。11月は岳父(中村吉右衛門)が大切にしている本作に出演でき、本当にありがたいことだと思います。「鬼界ヶ島」にはセリフでしか出てこない俊寛の妻・東屋を、今回「清盛館」で演じます。お客様がより一層作品に入りやすくなる役目を勤めさせていただきます。
 東屋は夫のために自害して果てていく女性です。芯の強さに加え、清盛が見て一目惚れしてしまうような麗しさをどのように出すか、というのも課題の一つです。清盛に何を提示されてもなびかずに、とにかく俊寛のそばに行きたいという思いで演じれば、自然と東屋になれるのではないのかと思います。もう一役の丹左衛門は、義に厚く情け深い役人です。瀬尾太郎が俊寛に強く当たる分、対比として丹左衛門はすっきりとした情に厚い武士らしさが大切になります。
 初めて岳父の「鬼界ヶ島」に出演した前回(平成30年9月歌舞伎座)、荒涼とした浜辺の小屋に岳父の演じる俊寛が現れた時に「なんて寂しい海だけしかない荒涼とした世界に、この人は生きているんだろう……」と胸にグッときてしまったことを覚えています。岳父の世界に入れば、自然と「鬼界ヶ島」の世界に入っていけたという感覚もありました。船に乗ってからの最後の別れは、本当に辛くて“断腸の思い”という感情が湧き立ってきました。
 岳父の舞台からは、役になりきって“場”を作り上げ、その世界にお客様をいざなう力を肌で感じました。私もそういう芸を目指したいと思います。

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 深まる秋に、心揺さぶる名舞台をご堪能ください。皆様のご来場をお待ちしております。


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11月歌舞伎公演は、2日(月)から25日(水)まで
※ただし、10日(火)・18日(水)は休演
【第一部】12時開演 【第二部】午後4時30分開演

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