歌舞伎公演ニュース

2019年8月29日

【11月歌舞伎】
中村吉右衛門、中村東蔵、中村歌六、中村雀右衛門、
中村又五郎が意気込みを語りました

 11月歌舞伎公演は『孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)―日向嶋(ひゅうがじま)―』をご覧いただきます。
 一門を滅ぼした源氏への復讐を志す平家の武将・悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)を描いた浄瑠璃作品『大仏殿万代石楚(だいぶつでんばんだいのいしずえ)』、その中心となる場面が採り入れられた『嬢景清八嶋日記(むすめかげきよやしまにっき)』。今回はこの両作品を踏まえ、景清父娘の情愛を綴った場面「日向嶋」を中心に、景清が源氏への復讐を試みる「東大寺大仏供養」、景清の娘・糸滝が廓に身売りする「花菱屋」等を取り上げ、通し狂言として上演します。
 上演に先駆け、中村吉右衛門、中村東蔵、中村歌六、中村雀右衛門、中村又五郎が意気込みを語りました。


(左より)中村又五郎、中村歌六、中村吉右衛門、中村東蔵、中村雀右衛門

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中村吉右衛門
(悪七兵衛景清)

 実父(初代松本白鸚)が、文楽の(八代目)竹本綱太夫師匠、(十代目)竹澤弥七師匠と一緒に、昭和34年(1959)4月の試演会(新橋演舞場)で『嬢景清八嶋日記』を上演しました。それから国立劇場等で歌舞伎として上演を重ねたこの作品を“もう一歩進められたら”という思いで、この度、通し狂言で上演します。
 様々な資料を調べると、悪七兵衛景清は大変魅力的な人物として親しまれ、逸話も多く残っているようです。その景清が、平家が討ち滅ぼされた源氏の世に、なぜ自ら目を潰したのか。その背景を明確にして、お客様により分かりやすい景清像を創り出したいです。
 今回のテーマは“執着心”。景清が自分の目を潰してもなお、執着心を捨てきれずにいた時、かつて生き別れた娘と出会い、娘の愛によって執着心が消えていきます。執着心を捨てるとパッと世の中が変わったということは、誰にでもあることではないでしょうか。あまり難しく考えずに、「ああ、自分にもこんなところがあるな」「娘というものは可愛いものだな」と観ていただければ有難いです。
 私も(土屋郡内役で)出演した昭和34年の試演会は、とても鮮烈でした。綱太夫師匠に厳しく教えていただいたことは、今も財産です。そして、実父の入れ込み方も記憶に焼き付いています。初代吉右衛門の思いを受け継いでいたということもあったのでしょうけれども、目を潰した景清を演じるために、瞳全体が赤くなるような大きなコンタクトを入れて、目を開けると真っ赤になっていました。医者に止められても勤め続けた姿を目の前にして、芸にどう立ち向かわなくてはならないかを叩き込まれました。今でもその時のことを思い出して、舞台に臨んでいます。

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中村東蔵
(花菱屋女房おくま)

 国立劇場では、吉右衛門さんと一緒に色々珍しい芝居に出演させていただいています。今回の『孤高勇士嬢景清』は、チラシを見ていてもワクワクしてきます。
 今回の役は、奉公人を無駄なく働かせ、金儲けに如才のない遊女屋・花菱屋の女将です。その花菱屋で、糸滝を日向嶋へ送り出すために、みんなでお金を集めるのが、非常に面白いです。また、相手役の歌六さんが演じる亭主を尻に敷くという設定なので、夫婦のコントラストが芝居の中では一番大切になると思います。

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中村歌六
(源頼朝/花菱屋長)

 今回は御大将の源頼朝公と、花菱屋の主人を勤めさせていただきます。
 頼朝はすばらしいお殿様で、敵方の景清が大仏殿で挑んで来ても許すという懐の深い名君です。立派な御大将ぶりを出したいです。
 花菱屋の主人は、東蔵兄さんの女房おくまの尻に敷かれっぱなしで、“のっそり”と言われるくらい人のいいおじさんです。いつもは尻に敷かれていますが、親子の情愛に打たれて、最後には糸滝のために一肌脱ぐという男気も見せたいです。

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中村雀右衛門
(景清娘糸滝)

 父(四代目中村雀右衛門)が昭和34年の公演の際に、(初代)白鸚のおじ様の景清の相手役で糸滝を勤めさせていただきました。今回、播磨屋のお兄様の景清で、私が糸滝を勤められるのは大変幸せです。ただ、父は当時39歳でしたが、私はそれよりも少しばかり年齢が上がっています(笑)。本当に可愛らしい、胸を打つ糸滝の姿を精一杯勤めたいです。
 とにもかくにも人の心を動かすほど父を想う、一途で健気な気持ちに尽きると思います。お客様に糸滝の想いを感じていただけるように勤めたいです。

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中村又五郎
(肝煎左治太夫)

 左治太夫を勤めるのは今回で3回目です。遊女を売り買いするような人ですが、花菱屋の主人に頼まれ、また糸滝の孝心を想い、日向嶋まで一緒に行きます。そして日向嶋では、景清の心を察して、糸滝を連れて帰ります。その時々の左治太夫の心根を表現できればと思っております。
 3回目ではありますが、初心に戻り、一から勉強し直して役に少しでも近づけるように勤めます。

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 11月歌舞伎公演『孤高勇士嬢景清』では、明治以降初めての上演となる「大仏供養」を含め、通し狂言として上演することで、孤忠の武士・景清の悲劇や糸滝との深い情愛を描いた人間ドラマが一層際立ちます。
 なお、9月文楽公演第二部で『嬢景清八嶋日記』を上演することにちなみ、「日向嶋」W観劇キャンペーンを行います。文楽と歌舞伎の両公演をご覧いただいたお客様に特製グッズをプレゼントいたします。国立劇場だからこそ実現できる「日向嶋」の競演をお見逃しなく。

 錦秋にふさわしい魅力溢れる舞台をどうぞお楽しみください。


11月歌舞伎公演は、2日(土)から25日(月)まで
12時開演
チケットは10月6日(日)予約開始!

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