歌舞伎公演ニュース
2022年10月24日
初代国立劇場さよなら公演
【11月歌舞伎公演】
“歌舞伎&落語
コラボ忠臣蔵”
中村芝翫と春風亭小朝が
意気込みを語りました!
〈初代国立劇場さよなら公演〉歌舞伎の第二弾は、義太夫狂言の三大名作のひとつ『仮名手本忠臣蔵』です。今回は“歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”と銘打ち、国立劇場ならではのジャンルを超えた特別企画をお届けします。中村芝翫が約30年ぶりに早野勘平を演じる『仮名手本忠臣蔵』五・六段目と、落語家・春風亭小朝による「忠臣蔵」にちなむ落語二席をお楽しみいただきます。
公演に先立ち、中村芝翫と春風亭小朝が意気込みを語りました。

中村芝翫と春風亭小朝が
「忠臣蔵」で夢の競演!
春風亭小朝
(『殿中でござる』『中村仲蔵』)
このたび、夢のような公演が実現しました。実はちょっと心配しているのが、最近だんだん忠臣蔵が扱われなくなってきていることです。昔は四十七士が主君のために敵を討つという忠義心に人は胸を打たれていましたが、今では、すでに忠臣蔵を知らない世代もいますし、忠臣蔵という漢字を読めない方も大勢います。そうなると忠臣蔵はこの先どうなるんだろうと……。私には忠臣蔵を知っておいてほしいという気持ちもあって、今回は本当に良いご縁をいただいたと感じています。
今回、私は、最初に『仮名手本忠臣蔵』と史実の赤穂事件はどのように違うのか、まず、実際は大体こんなストーリーでしたよ、ということをお話しして、それがなぜ歌舞伎や文楽で上演されるようになったのか、その中で特に俳優の方にはこういう苦労話がありました、というのを申し上げて、後半の歌舞伎にバトンタッチさせていただきます。全体を通して観ていただくと、初めての方でも「忠臣蔵はこういうことなのか」と分かりやすい公演ですので、ご期待いただければと思います。
『中村仲蔵』を演(や)る時はいつも黒紋付ですが、今回はいわば本物の歌舞伎が後に出るので、黒紋付は避けてちょっと渋めの着物で演ろうと思います。また、噺家は歌舞伎に憧れることがあるので、演出で歌舞伎風の鳴物を入れる場合もありますが、今回はそういうのも一切なしにして、なるべく落語としての仲蔵を聴いていただき、後の歌舞伎を楽しんでいただけるようにと考えています。今一番頭を悩ませているのは「サゲ」ですね。落語には「落ち」があるわけで、今までいろんな方がいろんな落ちを考えてきました。私も前に結構いい落ちを思い付いて、それで演っていましたが、さらにもっといいサゲはないかと、皆さんがキュンとくるようなものを今考えているところです。
国立劇場では昼夜の独演会を3度演りましたので、劇場がどんな感じかは掴めていますし、ご縁も感じています。お世話になった(五代目)中村富十郎さんと最後にご挨拶できたのも国立劇場の楽屋で、忘れられない思い出として残っています。
芝翫さんで印象に残っている舞台は、コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』での民谷伊右衛門が忘れられません。あれを観た時に「あぁ、伊右衛門の役者が一人生まれた」とうれしく、感動したことをよく覚えています。芝翫さんを観て思うのは“重たくなりすぎない”魅力です。こちらが胃の痛くなるようなお芝居ではなく、もちろん決して軽いわけではなく、大らかさを持った懐の深いお人柄が出ているように感じます。これはとても大事なことで、いつも楽しませていただいています。
中村芝翫
(『仮名手本忠臣蔵』早野勘平)
何となく寂しい思いで迎える〈さよなら公演〉です。歌舞伎役者が多数いる中で、私のように初舞台が国立劇場だったのは数少ないのではないでしょうか。子役の時分から国立劇場に出演し、立役を志すと心に決めたのも国立劇場の小劇場。二代目尾上松緑のおじ様に教わって『義経千本桜』の平知盛を勤め、その千穐楽の日におじ様から「お前はこれから立役で行くんだぞ」と言われた時でした。
そうした思いの中、小朝師匠の発案で、歌舞伎と落語のコラボという新しい企画を〈さよなら公演〉で行わせていただくことになりました。歌舞伎と落語は、大変近い関係にありながらなぜか距離があり、今回、一番近い親戚にやっと巡り会えたような感じがします。この企画がきっかけとなって、これからこういう機会がもっと増えることを望んでいますし、私どもも小朝師匠をはじめ皆さんから、いろいろなものを得たいと思っています。
私が『仮名手本忠臣蔵』の斧定九郎を初役で演じたのも、(十八代目)中村勘三郎の兄が早野勘平を勤めた国立劇場での公演でした。落語『中村仲蔵』では、仲蔵が定九郎のような浪人に出会います。当時は、役の参考になる人物に巡り会うといったヒントが役者の周りにあって、役づくりはこうしてできていったんだな、といろんなことを考えさせられ、羨ましくも思った作品です。
今回、約30年ぶりに勘平を勤めます。若手で忠臣蔵を上演する時は、よく勘三郎の兄が勘平を勤めていました。中村屋の勘平は私どもにとって教科書のような存在で、勘三郎の兄からも事細かく教わった思い出があります。勘三郎の兄が初役の時にお父様(十七代目中村勘三郎)から手取り足取り教わったお稽古のことや、六代目尾上菊五郎のテープを勘三郎の兄とともに聞いて、いろいろな話をしたことが懐かしく思い出されます。
その勘三郎の兄も亡くなって10年経ちますが、お兄さんのことを1ヵ月思いながら、この勘平を大事に勤めさせていただきたいと思っています。
史上初とも言われる、歌舞伎と落語のコラボ上演は、まさに必見の舞台です。
公演の前半で落語『殿中でござる』『中村仲蔵』の二席をお聴きいただいた後、仲蔵の工夫によって完成した歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』五段目と、名場面として人気の六段目をご堪能いただく趣向です。
なお、お勤め帰りにおすすめの夜公演(10・18・24日の午後6:30開演)は、“コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆”と題し、歌舞伎の「忠臣蔵」五段目・鉄砲渡しの場の舞台装置を背景に落語『中村仲蔵』をお聴きいただいた後、そのまま二つ玉の場の芝居が始まるという、よりコラボレーション感を強く感じていただける公演です。

\夜公演限定販売!/
「コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆」
別冊プログラム
また、【夜公演限定販売】別冊プログラムは、表紙に初代中村仲蔵の錦絵を使用し、出演者グラビア写真も掲載した特別仕様で、エッセンスの詰まった夜公演ならではの魅力です。(⇒【コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆】別冊プログラムの詳細はこちら)
歌舞伎と落語の競演で、「忠臣蔵」の多面的な魅力が味わえる貴重なチャンスをお見逃しなく!
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