歌舞伎公演ニュース

2018年10月31日

【11月歌舞伎】
「大岡政談」とは? 大岡越前の名裁きをご紹介!

 八代将軍徳川吉宗の治世に江戸南町奉行を勤め、名奉行として名高い大岡越前守忠相。庶民の人気を背景に、大岡が優れた裁定で様々な難事件を解決する物語「大岡政談」が創作され、颯爽とした名裁きを下す大岡越前守の姿が描かれました。
 11月歌舞伎公演は、『名高大岡越前裁(なもたかしおおおかさばき)』と題し、稀代の悪計を暴く大岡越前守忠相を描いた通し狂言として上演します。
 公演にちなみ、講談や落語に描かれる大岡越前守の名裁きをご紹介します。

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本当の母親はどっち? 「子争い」
 ある時、奉行所に、二人の女が一人の子供を連れてやってきました。ふたりの女は共に、この子の本当の母親は自分だ、と譲りません。
 そこで、大岡は
「左右から子供の腕を引くように。勝ったほうが本当の母親である。」
と命じます。
 それを聞いて、女たちは子供の腕を思いっきり引っぱり始めます。強い力で左右から引かれ、あまりの痛みに子供が泣き出すと、一方の女は思わず手を放しました。喜んだのは手を放さなかった女で、子供を連れて行こうとします。

 大岡はそれを引きとどめ、こう言いました。
「その子は手を放した女の子供である。本当の母親なら子を想うもの。痛がって泣いているのに、なおも手を引く者がなぜ母親であろうか。」

 子を想う母の「負けるが勝ち」という痛快な名裁き。


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拾った三両の行方は? 「三方一両損」
 大工の熊五郎の名前が書かれた印形と三両入った財布を拾った左官の金太郎。
 気の良い金太郎は、早速家を訪ねて届けます。ところが、熊五郎は落とした金は、もう自分のものではないからと受け取りを拒否します。
 受け取れ、いや受け取らないで、次第に大喧嘩になる二人。
 大家も巻き込んで、大騒ぎとなり、とうとう奉行所で話をつけることになりました。

 それぞれの言い分を聞いた大岡は、問題の金三両に一両を足し、金太郎には正直さへの、熊五郎には潔癖さへのそれぞれ褒美として、各々に二両を渡しました。
 金太郎は、拾った金をそのまま取れば三両なので、一両の損。
 熊五郎も、届けられた金を受け取れば三両で、こちらも一両の損。
 大岡も褒美に一両出したため、一両の損。

 従って〝三方″一両損で、これにて丸く納まるという、どちらも傷つかない名裁き。


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若い医者の恋の行く末は? 「人情匙加減」
 江戸の医者・阿部元渓(あべげんけい)の息子・元益(げんえき)は、二十五歳になっても色恋というものを知らない堅物男。しかし、ある日、雨に降られた川崎大師からの帰り道、立ち寄った料理屋・加納屋で芸者のお浪と知り合います。
 初めて恋を知った元益は、父親の大切な医学書を質屋に入れてまで、お浪に会いに行く始末。とうとう勘当されてしまいました。

 心を入れ替えて八丁堀で家を借り、医者として働きだすと、元々腕のいい元益のこと、しばらくすると患者が詰め掛けるようになります。
 川崎大師へのお礼参りの途中、加納屋に挨拶をしにいくと、なんとお浪は元益が突然来なくなってしまった悲しみで病になったとのことです。
 お浪を引き取るという元益に、欲の深い加納屋は、身請けなら三両の金が必要だと言います。さらに加納屋はお浪を抱えている松本屋へ行き、元益に渡す治療費だと三両を貰い受け、都合六両の金を儲けました。

 元益の懸命な看病ですっかり快復したお浪。お礼にと川崎大師へ詣でた二人が加納屋に立ち寄ると、元気になったお浪を見た加納屋は、年季証文を渡していないのをよいことに、お浪を取り戻して一儲けを考えます。
 八丁堀を訪れてお浪を連れて帰ろうとする加納屋。とりなす大家の八兵衛。揉めに揉めてとうとう奉行所で裁いてもらうことに。

 元益に、お浪を加納屋に戻すよう沙汰した大岡。一方で加納屋には、元益に対しお浪の治療代を支払うよう命じます。続けて元益にはこのように問い質します。
「よいか、医者は匙加減が大事。よく考えて返事をいたせ。お浪は大病と聞いている。よほど高くついたであろう。」
 しばし黙考した元益の答えは、一服二両の薬を日に三服、これを半年あまり与えて総額千二百五十両というもの。大岡からすぐに払えと命じられた加納屋ですが、とても払えるような額ではありません。

ならば示談であると、若い二人を救う名裁き。

→この噺は、23日(金・祝) 国立演芸場「第474回 花形演芸会」で上演される予定です。


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 さて、11月歌舞伎公演で大岡が裁くのは……、なんと将軍ご落胤事件!?
 天下を揺るがす難事件に、最大の危機を迎えた名奉行は、果たして……!
 どうぞお楽しみに。



11月歌舞伎公演は、3日(土・祝)から26日(月)まで
午前11時開演

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