歌舞伎公演ニュース

2019年11月6日

【11月歌舞伎】

『通し狂言 孤高勇士嬢景清―日向嶋―』好評上演中!!

11月25日(月)まで

 11月歌舞伎公演は、平家の勇将・悪七兵衛景清の悲劇と父娘の情愛を描いた『孤高勇士嬢景清―日向嶋―』を好評上演中です。今回は、盲目となった景清が娘と再会する「日向嶋」を中心に、その前日譚も取り上げた待望の通し上演です。主人公の景清を14年ぶりに勤める中村吉右衛門の入魂の舞台を、この機会にぜひご覧ください。

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 時は鎌倉時代。源平合戦で勝利した源頼朝(中村歌六)は、重臣の秩父庄司重忠(中村錦之助)、梶原平三景時(大谷桂三)、仁田四郎忠常(中村松江)、和田左衛門義盛(中村吉之丞)らを前に、仏の教えを守ることが国家安寧の基礎と説き、平家によって焼き討ちされた東大寺大仏殿の再興を図ります。
 序幕では、頼朝の名将ぶりと慈悲深さが、亡き平家の公達を慕う玉衣姫(中村米吉)への計らいから浮かび上がります。また、八島の合戦で悪七兵衛景清と戦い、不覚を取った三保谷四郎国時(中村歌昇)が雪辱を誓う様子が描かれ、二幕目へとつながっていきます。



序幕「鎌倉大倉御所の場」
[左より] 三保谷四郎国時(中村歌昇)、仁田四郎忠常(中村松江)、
秩父庄司重忠(中村錦之助)、源頼朝(中村歌六)、
梶原平三景時(大谷桂三)、玉衣姫(中村米吉)、和田左衛門義盛(中村吉之丞)ほか

 落慶供養の日を迎えた奈良の東大寺では、鎌倉から頼朝一行が訪れ、いよいよ大仏殿で読経が始まろうとします。その時、興福寺の法師に変装した悪七兵衛景清(中村吉右衛門)が僧兵の警固を破って現れ、頼朝に肉薄します。敵勢へ勇猛果敢に斬り込む景清の力強い姿が、歌舞伎ならではの演出を取り入れて描かれています。



二幕目「南都東大寺大仏供養の場」
悪七兵衛景清(中村吉右衛門)

 頼朝に正体を見破られた景清が名を名乗ると、八島の合戦の恥辱を晴らそうと三保谷が駆け寄ります。三保谷との力競べに応じた景清は、歴戦の勇者らしい剛力無双ぶりを見せます。


景清と三保谷の因縁の対決も見逃せません!
[左より]悪七兵衛景清(中村吉右衛門)、源頼朝(中村歌六)、
秩父庄司重忠(中村錦之助)、三保谷四郎国時(中村歌昇)ほか

 再び頼朝と対峙した景清は、平清盛の非道を説く頼朝の言葉に返答を詰まらせます。そして、自分の主人・重盛が、頼朝らに与えた情けを語ります。景清の言葉に心打たれた頼朝は、源氏の白旗を切り裂かせ、景清が所持してきた平家の重宝「痣丸」の名剣を改めて授け、臣従するよう求めます。すると、景清は思いも寄らない行動に出ます。
 平家への忠誠を貫く景清の悲壮な思いが滲み出ます。


[左より]仁田四郎忠常(中村松江)、悪七兵衛景清(中村吉右衛門)、
源頼朝(中村歌六)、秩父庄司重忠(中村錦之助)ほか

 舞台は移り、当時、東海道一の遊女町として賑わった駿河国(現在の静岡県)手越宿。花菱屋長(中村歌六)・おくま(中村東蔵)夫婦の営む遊女屋に、景清の14歳の娘・糸滝(中村雀右衛門)が遊女を斡旋する肝煎の左治太夫(中村又五郎)と共に現れます。糸滝は、花菱屋の夫婦を前に、身を売らなければならない訳を切々と語り出します。


三幕目「手越宿花菱屋の場」
[左より]肝煎左治太夫(中村又五郎)、遣手おたつ(嵐橘三郎)、
景清娘糸滝(中村雀右衛門)、花菱屋女房おくま(中村東蔵)、花菱屋長(中村歌六)ほか

 父の窮状を救おうとする糸滝の健気さが、主人や左治太夫の温かな眼差し、おくまの振る舞いなどから浮き彫りになります。餞別を渡された糸滝と左治太夫が店の人々に見守られながら日向へ出立する様子は、心温まる光景です。また、人情に厚い亭主と人使いの荒い吝嗇(りんしょく)な女房という、対照的な花菱屋夫婦のやり取りも面白い場面です。


四幕目「日向嶋浜辺の場」
景清娘糸滝(中村雀右衛門)、悪七兵衛景清(中村吉右衛門)

 日向国(現在の宮崎県)の浜辺。亡君・平重盛の位牌を供養しながら貧しく暮らしている景清のもとへ、身売りの金を携えた糸滝が訪ねて来ます。
 初めは素性を隠していた景清でしたが、正体を知られると糸滝を引き寄せ、身の上を語ります。その後、糸滝が大百姓に嫁いだと聞いた景清は、激高して娘を追い返します。しかし、娘を乗せた船が沖に出ると名残惜しそうに見送り、叱り付けた言葉は偽りだと呼び掛け、娘の幸せを願う本心を明かします。さらに、残された手紙から糸滝の身売りを知ると驚愕し、娘を犠牲にしたことに、我が身を責めます。


悪七兵衛景清(中村吉右衛門)

 波乱に満ちた景清のドラマは、どのようなクライマックスを迎えるのか。ぜひ劇場でお楽しみください。

 なお、このお芝居には、勇壮で華麗な立廻りが楽しめる二幕目、心温まる庶民の人情を描く三幕目、胸に迫る親子の情愛を綴る四幕目等、場面ごとに様々な見どころがありますが、お好みの一幕を1時間程度のお時間で、手頃な料金と見やすいお席でご覧いただける幕見席もございます。「歌舞伎は観てみたいけど、なかなか時間が取れない」「知り合いの外国人を誘ってみたい」「通しで観たけど、あの場面だけまた観たい」といった方々にオススメです。
 芸術の秋にふさわしい魅力溢れる舞台をどうぞお見逃しなく!


11月歌舞伎公演は、25日(月)まで絶賛上演中!
12時開演

チケット好評販売中!
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