歌舞伎公演ニュース
2022年11月4日
初代国立劇場さよなら公演
【11月歌舞伎公演】
“歌舞伎&落語
コラボ忠臣蔵”
好評上演中、25日(金)まで!
(舞台写真あり)
「初代国立劇場さよなら公演」として上演する11月歌舞伎公演は、“歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”と銘打ち、ジャンルを超えた特別企画をお届けしています。中村芝翫が約30年ぶりに早野勘平を演じる『仮名手本忠臣蔵』五・六段目と、落語家・春風亭小朝による「忠臣蔵」にちなむ落語を合わせてお楽しみいただきます。
公演の前半は、春風亭小朝による落語『殿中でござる』と『中村仲蔵』の二席をお楽しみいただき、後半で、初代中村仲蔵の工夫によって完成した歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』五段目と、名場面として人気の六段目をご堪能いただく趣向です。
『殿中でござる』は、近年、小朝が取り組んでいる菊池寛の小説を落語に仕立て直した新作落語です。松の廊下での刃傷から討ち入りまでを吉良上野介側の視点で描いた好短編小説「吉良上野の立場」を元にしています。「赤穂事件」について詳しくご存じない方でも、自然に「忠臣蔵」の世界へいざなわれながら、事件の顛末を新たな視点でお楽しみいただけます。
落語『殿中でござる』
春風亭小朝
続く『中村仲蔵』は、名門の出でない役者・初代中村仲蔵が、当時あまり重視されていなかった「忠臣蔵」五段目の斧定九郎役を演じることになり、役づくりに苦心した末、ついに出世芸にするまでを描いた古典落語です。夫婦の情愛も織り交ぜ、懸命に芸の工夫を重ねる姿を描いた物語は、今なお色褪せない内容です。仲蔵が考案したという定九郎の型は、後半の歌舞伎の舞台で実際にご覧いただけます。
落語『中村仲蔵』
春風亭小朝
公演の後半は、いよいよ歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』五・六段目の上演です。
塩冶判官が高師直に刃傷に及んだ折、恋仲の腰元おかるとの逢瀬のために、供をしていた主君のもとに駆け付けられなかった早野勘平(中村芝翫)は、自らを恥じて塩冶家の家臣たちと行動を共にせず、おかるの実家に身を寄せています。
ある夜、猟に出ていた勘平は、同じ家中の千崎弥五郎(中村歌昇)と出会います。勘平は、一人家中を離れた苦しい胸中を打ち明け、敵討の同志に加わるために金を工面することを約束し、敵討ちへの決意を滲ませます。
歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』五段目
「山崎街道鉄砲渡しの場」
早野勘平(中村芝翫)、
千崎弥五郎(中村歌昇)
一方、勘平の窮状を案じるおかるに頼まれた父・与市兵衛は、勘平の支度金のために娘が祇園の一文字屋へ遊女に出る話をまとめ、家路を急ぎますが……!
初代中村仲蔵の工夫以来、印象的な役となった斧定九郎(中村歌六)の凄惨な殺しから死に様までが、歌舞伎ならではの様式美たっぷりに展開します。定九郎はもともと山賊姿で、どてらを着た野暮な端役にすぎませんでしたが、仲蔵は月代(さかやき)を伸ばした白塗りの浪人風で演じました。黒羽二重に朱鞘の大小を差し、蛇の目の破れ傘を持った、今日まで受け継がれる姿へと工夫したのです。独特の魅力を放つ定九郎にご注目ください。
『仮名手本忠臣蔵』五段目
「山崎街道二つ玉の場」
斧定九郎(中村歌六)
与市兵衛から金を奪った定九郎が行きかけた矢先、向こうから猪が駆けて来て、直後に定九郎は鉄砲に撃たれて息絶えてしまいます。鉄砲を撃ったのは勘平でした。猪を撃ったつもりの勘平が近寄ると、倒れていたのは人。死体の懐中の財布に気付いた勘平は、一度はその場を離れますが、引き返して財布を取ると一目散に走り去ります。迷いと喜びの錯綜した勘平の心理の動きが、無言のまま効果的に描き出されます。
『仮名手本忠臣蔵』五段目
「山崎街道二つ玉の場」
早野勘平(中村芝翫)
明くる日、与市兵衛の家に、祇園の一文字屋お才(市村萬次郎)と判人源六(中村松江)が、おかるを迎えにやってきます。折よく戻った勘平は、おかるを乗せた駕籠を押し戻し、雨に濡れた着物を着替えます。なぜかわざわざ出させた浅葱色の紋服姿に、色男ぶりが際立ちます。
『仮名手本忠臣蔵』六段目
「与市兵衛内勘平腹切の場」
女房おかる(市川笑也)、
母おかや(中村梅花)、
早野勘平(中村芝翫)、
判人源六(中村松江)、
一文字屋お才(市村萬次郎)
お才と源六の話を聞いていた勘平は、お才が与市兵衛に貸したものと同じ柄だと言う財布を見ます。そして、昨夜の財布と見比べて驚きます。
『仮名手本忠臣蔵』六段目
「与市兵衛内勘平腹切の場」
早野勘平(中村芝翫)
財布を義父の与市兵衛の亡骸から盗ったと思い込んだ勘平は、心を責め立てられます。おかるに何も打ち明けられぬまま、勘平は別れを惜しみます。そして、この誤解は、周囲の人々も巻き込み、追い詰められた勘平はついに……!
波乱に富む物語の全容は、ぜひ劇場でお楽しみください。
『仮名手本忠臣蔵』六段目
「与市兵衛内勘平腹切の場」
女房おかる(市川笑也)、
早野勘平(中村芝翫)
史上初とも言われる、歌舞伎と落語のコラボ上演は、興趣に溢れる舞台です。
なお、お勤め帰りにおすすめの夜公演(10・18・24日の午後6:30開演)は、“コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆”と題し、歌舞伎の「忠臣蔵」五段目の舞台装置を背景に落語『中村仲蔵』をお聴きいただいた後、そのまま休憩をはさまず二つ玉の場の芝居が始まるという、よりコラボレーション感を強く感じていただける公演です。廻り舞台が回ると、次の場面でいま落語に出てきたばかりの江戸時代の名優・初代中村仲蔵の演技の工夫が、生き生きと演じられます。
名場面を伝えてきた歌舞伎、それを名作に昇華させた落語の、先人たちの努力や工夫のエッセンスを、今日活躍する歌舞伎俳優と噺家によって、目の前で堪能していただく、またとない機会です。
そして、最後に、歌舞伎を代表する名作のひとつ『仮名手本忠臣蔵』六段目をじっくりご堪能ください。

\夜公演限定販売!/
「コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆」
別冊プログラム
また、【夜公演限定販売】別冊プログラムは、表紙に初代中村仲蔵の錦絵を使用し、出演者グラビア写真も掲載した特別仕様で、エッセンスの詰まった夜公演ならではの魅力です。(⇒【コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆】別冊プログラムの詳細はこちら)
芸術の秋、歌舞伎と落語の競演で、「忠臣蔵」の魅力が一度に味わえる貴重なチャンスをお見逃しなく!

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