歌舞伎公演ニュース

2022年10月5日

【10月歌舞伎公演】

『通し狂言 義経千本桜』


好評上演中、26日(水)まで!

(舞台写真あり)

 歌舞伎公演における〈初代国立劇場さよなら公演〉の幕開けを飾る10月公演は、義太夫狂言の三大名作のひとつ『義経千本桜』を3プログラムに分けた通し上演でお楽しみいただいています。尾上菊五郎をはじめとする豪華な顔ぶれのなかで、尾上菊之助が知盛・権太・忠信の“三役完演”に挑み、話題を呼んでいる公演の魅力を、舞台写真とともにご紹介します。

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各プログラムへ移動します。

◆◆◆

◇Aプロ
(鳥居前・渡海屋・大物浦)

予告編動画(YouTubeへのリンクです)

 平家討伐の大功を立てながら、兄・頼朝に追われる身となった源義経(中村錦之助)。都落ちする義経一行が伏見稲荷に差し掛かると、義経を恋い慕う静御前(中村米吉)が追い付き、武蔵坊弁慶(坂東彦三郎)も駆け付けます。同行を願い出る静に、義経は〈初音の鼓〉を形見に与え、都で待つよう諭します。
 梅がほころぶ伏見稲荷を舞台に、義経と静の悲哀に満ちた別れが描かれます。



「伏見稲荷鳥居前の場」
静御前(中村米吉)、
源義経(中村錦之助)

 義経と家来が境内に入っている間に、鎌倉方の討手が現れます。一人置き去りにされた静を見つけると、手荒く連れ去ろうとします。そこへ義経の家臣・佐藤忠信(尾上菊之助)が駆け付けます。忠信は、静を捕らえようとする鎌倉方と華麗な立廻りを繰り広げ、荒事の豪快な演技を見せます。



「伏見稲荷鳥居前の場」
静御前(中村米吉)、
佐藤忠信実ハ源九郎狐(尾上菊之助)

 これを見た義経は、忠信に「源九郎」の名と鎧を与え、静の守護を託して旅立ちます。
 その後、義経一行は、摂津国大物浦(現在の兵庫県尼崎市)に臨む船宿・渡海屋に身を寄せ、西国へ向かう出船を待ちます。実は渡海屋の主人・銀平こそ、西海に沈んだと思われていた安徳帝(尾上丑之助)を乳人の典侍の局(中村梅枝)とともに守護する平知盛(尾上菊之助)だったのです。知盛は、悪天候の中、義経一行を送り出します。そして、船宿の主人の姿から白装束に鎧を着けた知盛は、義経に復讐すべく家来を率い、義経一行を追います。前半の男気を見せる銀平と、後半の風格溢れる知盛の演じ分けにもご注目ください。



「渡海屋の場」
銀平女房お柳実ハ典侍の局(中村梅枝)、
渡海屋銀平実ハ新中納言知盛(尾上菊之助)、
相模五郎(市村橘太郎)ほか



「渡海屋の場」
新中納言知盛(尾上菊之助)、
銀平女房お柳実ハ典侍の局(中村梅枝)、
銀平娘お安実ハ安徳帝(尾上丑之助)

 大物浦の沖合で、義経の船を襲った知盛の勝負の行方を見守っていた典侍の局は、味方が敗れたという知らせを受けると、安徳帝と共に入水する覚悟を固めます。幼い帝に向かい、帝を懸命に支えてきた局が最期の時を知らせるさまは涙を誘います。



「大物浦の場」
安徳帝(尾上丑之助)、
典侍の局(中村梅枝)

 やがて深手を負いながらも帝の身を案じて磯辺に戻ってきた知盛は、最後の力を振り絞って義経に挑みかかりますが……。平家の無念を晴らそうとする知盛の鬼気迫る姿から目が離せません。菊之助と丑之助の親子共演にもご注目ください!



「大物浦の場」
新中納言知盛(尾上菊之助)


◆◆◆

◇Bプロ
(椎の木・小金吾討死・鮓屋) 上へ戻る

予告編動画(YouTubeへのリンクです)

 平維盛の妻・若葉の内侍とその子・六代君は、家来の主馬小金吾(中村萬太郎)を連れ、維盛を尋ね当てようと旅を続けています。一行が茶店で休んでいると、いがみの権太(尾上菊之助)が親切気に近寄って罠に掛け、金を盗まれたと言いがかりを付けます。ゆすりを働いて小悪党ぶりを見せる権太でしたが、妻子への情愛も覗かせ、どこか憎みきれない愛嬌を感じさせます。



「下市村椎の木の場」
いがみの権太(尾上菊之助)、
主馬小金吾(中村萬太郎)

 その後、若葉の内侍の一行に追手が迫ります。深手を負った小金吾は、内侍と六代君を逃がした後、息絶えます。そこへ通りかかったのが、権太の父で、土地の名物の鮓を商う鮓屋の弥左衛門(河原崎権十郎)でした。弥左衛門は、小金吾の亡骸に気付くと、一計を案じます。



「下市村竹藪小金吾討死の場」
主馬小金吾(中村萬太郎)ほか

 弥左衛門の家では、維盛(中村梅枝)が弥助と名を変えてかくまわれています。弥左衛門の娘・お里(中村米吉)は、弥助に恋心を募らせています。そんな中、若葉の内侍が偶然宿を求めて訪れ、その正体がわかると、妻子とともに弥左衛門の隠居所へ逃します。



「下市村釣瓶鮓屋の場」
弥助実ハ三位中将維盛(中村梅枝)、
弥左衛門娘お里(中村米吉)

 一部始終を窺っていた権太は、維盛一家を生け捕りにして褒美をもらうとお里に告げ、家を飛び出します。



「下市村釣瓶鮓屋の場」
いがみの権太(尾上菊之助)



「下市村釣瓶鮓屋の場」
弥左衛門女房おくら(市村橘太郎)、
鮓屋弥左衛門(河原崎権十郎)、
梶原平三景時(中村又五郎)ほか

 弥左衛門の家を捕手が取り囲む中、内侍と六代君を捕らえた権太が戻り、鎌倉方の梶原平三景時(中村又五郎)に維盛の首と併せて差し出します。しかし、これには権太の巡らせた思いがけない深謀が隠されていました。血を吐くような権太の思いとは……!



「下市村釣瓶鮓屋の場」
いがみの権太(尾上菊之助)ほか


◆◆◆

◇Cプロ
(道行初音旅・河連法眼館) 上へ戻る

予告編動画(YouTubeへのリンクです)

 義経との再会を願う静御前(中村時蔵)は、佐藤忠信(尾上菊之助)を伴い、花の吉野を訪れます。忠信とはぐれた静が初音の鼓を打つと、不思議なことに、どこからともなく忠信が現れます。



「道行初音旅」
静御前(中村時蔵)

 満開の桜を背景に、二人の旅が舞踊劇に仕立てられています、舞台は、忠信が語る勇壮な軍物語へと華やかに展開します。



「道行初音旅」
静御前(中村時蔵)、
佐藤忠信実ハ源九郎狐(尾上菊之助)

 やがて二人を捕らえに逸見藤太(坂東彦三郎)が家来を引き連れて現れ、滑稽味溢れる演技を見せて、笑いを誘います。
 藤太をかわした静と忠信は、旅路を急ぎます。



「道行初音旅」
佐藤忠信実ハ源九郎狐(尾上菊之助)、
逸見藤太(坂東彦三郎)、
静御前(中村時蔵)ほか

 義経が身を寄せている河連法眼(坂東楽善)の館では、法眼が義経を討つと偽って妻・飛鳥(上村吉弥)の心底を見届け、義経を守護する本心を伝えます。二人が義経の身に危機が迫っている状況を伝えます。
 その後、義経のもとへ佐藤忠信(尾上菊之助)が訪ねてきます。忠信と対面した義経は、静の供をして来た覚えがないという忠信に不審を抱き、忠信を捕らえさせようとします。そこへ、忠信と静が来訪したとの知らせが入り、静が一人でやって来ます。



「河連法眼館の場」
佐藤忠信(尾上菊之助)、
静御前(中村時蔵)、
源義経(尾上菊五郎)

 義経と再会した静が、同行してきたはずなのにいつ間にか消えた忠信の正体を探るため、〈初音の鼓〉を打つと、もう一人の忠信が姿を現します。忠信に化けていたことを明かした源九郎狐(尾上菊之助)は、〈初音の鼓〉に隠された秘密を語り出します……。



「河連法眼館の場」
源九郎狐(尾上菊之助)

 独特の台詞回しの「狐詞(きつねことば)」や「狐手」の仕草などに、狐の特徴が巧みに表現されます。本物の忠信と源九郎狐との演じ分けや早替りにもご注目ください!



「河連法眼館の場」
源九郎狐(尾上菊之助)、
静御前(中村時蔵)、
源義経(尾上菊五郎)

◆◆◆

 起伏に富んだ展開で、見どころ満載の3プログラムです。すべてのプログラムをご観劇いただければ、通し狂言ならではの醍醐味もご堪能いただけます(お得な3セット割引もございます)。芸術の秋、多彩な登場人物が織りなす壮大なドラマをお見逃しなく!

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