歌舞伎公演ニュース

2019年10月7日

【10月歌舞伎】

『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺』好評上演中!

10月26日(土)まで

 文化庁芸術祭主催の10月歌舞伎公演は、今年で歿後190年を迎える四世鶴屋南北の出世作『天竺徳兵衛韓噺』を上演しています。本作は、江戸時代初期に東南アジア諸国の見聞録を残した実在の商人・徳兵衛を題材にした作品で、南北ならではの奇抜な趣向が随所に散りばめられています。今回、主人公の天竺徳兵衛を中村芝が初役で勤め、20年ぶりの通し上演でご覧いただけます。

◆◆◆

 時は室町時代、将軍・足利義政の治世。紅葉色づく北野天満宮に、梅津掃部元春(中村又五郎)の妹・銀杏の前(中村米吉)が侍女袖垣(中村梅花)を連れて現れます。銀杏の前は、恋い慕う佐々木桂之介(中村橋之助)に逢うため、桂之介の家臣・石割源吾(中村松江)に仲介を頼みます。
 やがて、将軍家の神事に参加するため、梅津掃部、山名時五郎氏連(中村歌昇)、佐々木桂之介ら将軍家重臣の諸侯が現れます。



序幕 「北野天満宮鳥居前の場」
[左より]侍女袖垣(中村梅花)、銀杏の前(中村米吉)、石割源吾(中村松江)


[左より]梅津掃部元春(中村又五郎)、山名時五郎氏連(中村歌昇)、
佐々木桂之介(中村橋之助)、下部磯平(大谷廣太郎)

 序幕では、桂之介が将軍から管理を命じられていた宝剣「浪切丸」の紛失が明らかになり、お家騒動の始まりを予感させます。掃部の桂之介に対する機転、源吾の謎の行動、銀杏の前を巡って恋敵の桂之介を陥れようとする時五郎の悪計がスリリングに描かれています。


序幕「北野天満宮別当所広間の場」
[左より]侍女袖垣(中村梅花)、銀杏の前(中村米吉)、佐々木桂之介(中村橋之助)、
梅津掃部元春(中村又五郎)、山名時五郎氏連(中村歌昇)

 掃部の計らいによって宝剣詮議のための百日の猶予を与えられた桂之介は、家老・吉岡宗観(坂東彌十郎)の屋敷に預けられます。しかし、宝剣が見つからないまま詮議の期日を翌日に控えて嘆息する桂之介を、宗観の妻・夕浪(中村東蔵)が慰めます。そこへ、天竺帰りの船頭・徳兵衛(中村芝)が連れて来られ、桂之介の気晴らしに、異国の島々を巡った体験を面白おかしく物語ります。徳兵衛の奇想天外な「異国話」は、題名の由来でもあり、聴きどころの一つです。


二幕目「吉岡宗観邸の場」
[左より]天竺徳兵衛(中村芝)、
宗観妻夕浪(中村東蔵)、佐々木桂之介(中村橋之助)ほか

 その後、桂之介と銀杏の前は磯平と袖垣に伴われて屋敷から逃れ、宗観は宝剣紛失の責任を取って切腹します。そして瀕死の宗観は、徳兵衛が自分の生き別れの実子・大日丸であること、実は自身が大明国王の臣下・木曽官であり、蝦蟇の妖術で日本転覆を目論んでいることを明かします。


[左より]天竺徳兵衛(中村芝)、吉岡宗観(坂東彌十郎)

 宗観から蝦蟇の妖術を伝授された徳兵衛は、捕手が屋敷を取り囲む中、巨大な蝦蟇に乗って現れ、圧倒的な凄みを放ちます。“屋体崩し”の一大スペクタクルは必見です。


天竺徳兵衛(中村芝)と大蝦蟇
“屋体崩し”は迫力満点!

 裏手水門では、蝦蟇に変身した徳兵衛が捕手との面白い立廻りを見せます。捕手を翻弄した蝦蟇はやがて正体を顕します。水中を潜り抜ける蛙の動きを表現した“水中六方”と呼ばれる徳兵衛の花道の豪快な引込みは見逃せません。


「吉岡宗観邸裏手水門の場」捕手を翻弄する蝦蟇の立廻り


天竺徳兵衛(中村芝)の“水中六方”

 その後、掃部の屋敷へ怪しげな座頭徳市(中村芝)が入り込みます。徳市は異国から伝わった珍しい木琴を打ち鳴らしながら、愛嬌たっぷりに越後節を披露します。


座頭徳市(中村芝

 将軍の上使・細川政元(坂東彌十郎)に正体を問い詰められた徳市は池に飛び込んで姿を消しますが、その直後、謎の上使・斯波左衛門義照(中村芝)が現れます。本水を用いた意表を突く早替りに、一瞬たりとも舞台から目が離せません。


大詰「梅津掃部館の場」
[左より]梅津奥方葛城(市川高麗蔵)、梅津掃部元春(中村又五郎)、
座頭徳市(中村芝)、細川修理之助政元(坂東彌十郎)

 変幻自在の妖術を駆使する徳兵衛に対峙し、掃部とその奥方葛城(市川高麗蔵)や政元たちが活躍を見せ、物語はスリリングな展開を遂げます。果たして日本転覆を狙う徳兵衛の野望は叶うのか……!?



[左より]梅津奥方葛城(市川高麗蔵)、斯波左衛門義照(中村芝

 “蝦蟇の妖術使い”天竺徳兵衛を初役となる芝が熱演しています。また、東蔵の夕浪、又五郎の掃部、彌十郎の宗観・政元、高麗蔵の葛城ほか、ベテランから花形に至る俳優陣でご覧いただけます。国立劇場の舞台機構を活かしたスペクタクルに富む充実の舞台を、存分にお楽しみください。

 なお、公演期間中の毎週火曜日には、蝦蟇の妖術の秘密に迫る特別バックステージツアーを開催します。このほかにも、蝦蟇にちなんだ様々な企画がございます。芸術の秋に、ご家族やご友人と一緒に、魅力溢れる劇場空間をご堪能ください(各種イベント情報は、こちらをご覧ください)。
 さらに、本公演では、多くの外国の方にも歌舞伎をお楽しみいただけるよう、英語・中国語・韓国語のポータブル字幕機をご利用いただけます(有料)。
 皆様のご来場をお待ちしております。


10月歌舞伎公演は、26日(土)まで
12時開演 但し、11日(金)・18日(金)は午後4時30分開演

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