歌舞伎公演ニュース

2019年8月6日

【10月歌舞伎】

中村芝翫と中村橋之助が
四世鶴屋南北の菩提寺・春慶寺を訪れ、
公演の成功を祈願しました

 8月2日、中村芝翫と中村橋之助が、10月歌舞伎公演『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』を前に、作者・四世鶴屋南北の菩提寺・春慶寺(東京都墨田区)を訪れて公演の成功を祈願し、意気込みを語りました。



(左より)中村橋之助、中村芝翫


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中村芝翫
(天竺徳兵衛・座頭徳市・斯波左衛門)

 昨年に続き、今年も10月に国立劇場に出演します。おかげさまで八代目芝翫を襲名してこの10月で3年になります。
 本日、四世鶴屋南北の菩提寺・春慶寺で、公演の成功を祈願しました。南北の作品は、亡くなった(十八代目中村)勘三郎の兄とともに、シアターコクーンをはじめ、様々な劇場で勤めさせていただきました。歳を重ねて、再び南北の作品に初役で挑戦できることを大変嬉しく思います。
 昭和47年(1972)5月に国立劇場で、(二代目尾上)松緑のおじ様の『天竺徳兵衛韓噺』を観て、とても興奮したのを覚えています。今回は、心惹かれたこの舞台を基にして上演します。
 大蝦蟇(がま)の出現、“屋体崩し”、“水中六方”、本水を用いた早替りなど、舞台はスペクタクルに富んでいますが、南北が本当に描きたかったのは“人間のスペクタクル”だと思います。心の奥底にある人間性や時代の背景が色濃く人の心に染み込んでくる、南北の奥の深い台詞と物語を楽しんでいただきたいです。
 天竺徳兵衛ではワイルドな男らしさ、座頭徳市では柔らかな色気を見せなくてはなりませんから、その変わり目も難しいところです。今回は(中村)東蔵のおじ様、(中村)又五郎さん、(坂東)彌十郎さんをはじめ、素敵な役者さんがピッタリの役で出演されるので、見応えがあります。
 復活狂言を上演するのは大好きで、まだ山ほどの作品が歌舞伎には残っています。この『天竺徳兵衛韓噺』を“令和の第一歩”として、今後さらに国立劇場で楽しい通し狂言を創っていくスタートになればと願っています。

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中村橋之助
(佐々木桂之介)

 公演を無事に終えることができるように、そして、自分がこの役を通して少しでも役者として成長できるようにと祈願しました。また、こうした座組の中で、役者としての引き出しをより多く作れるように、一生懸命に勤める決意をしました。
 昨年に続き、今年も10月に国立劇場で父(芝翫)の下、役を勉強させていただきます。今年は先輩方もたくさん出演されますので、皆さんに教えていただきながら一ヶ月勤めたいです。
 佐々木桂之介は、久しぶりに前髪姿の綺麗な役です。“前髪”の役を演じるに当たっては、父から「その人の周りだけは違う時間が流れているような雰囲気があるといいね」と言われています。自分の中では、シャボン玉に包まれているような感じを意識して、周りの空間を大切にしながら勤めたいです。

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 今年で歿後190年を迎える南北の出世作『天竺徳兵衛韓噺』。今回は20年ぶりに物語の発端となるお家騒動の件を含めた通し上演でご覧いただきます。南北ならではの奇抜な趣向が随所に散りばめられた本作を、どうぞお見逃しなく!

【春慶寺と四世鶴屋南北】

 江戸時代から「押上の普賢さま」と称されて親しまれてきた春慶寺には、四世鶴屋南北の墓が残っています。通りに面したところに立つ墓は、劇作家・宇野信夫によって再建されたもので、元の墓石は戦災で破損し、一部を残すのみとなっています。現存する墓石は、ケースに入れられ新しい墓石の後ろに安置されています。





 宝暦5年(1755)に日本橋に生まれた南北は、初代桜田治助に入門し、文化元年(1804)初演の『天竺徳兵衛韓噺』が出世作となりました。そして、同8年に四世鶴屋南北を襲名し、永く名声をほしいままにしました。晩年、深川の黒船稲荷の境内に居を構えた南北は、文政12年(1829)11月に亡くなると、翌年1月、その葬儀が春慶寺で盛大に営まれました。黒船稲荷の居宅から春慶寺まで、裃をつけた役者衆の長い葬列が続き、参列した大勢の人々には竹皮に包まれた団子が振る舞われたと言われています。また、自らの葬儀をめでたい万歳に仕立てようと生前に書き上げた『寂光門松後万歳(しでのかどまつごまんざい)』の台本が配られたと伝えられています。祭壇の配置から和尚の読経のタイミング、棺桶から南北の死体が蘇って万歳を演じる趣向、そして施主の挨拶のセリフまで記され、念の入った筋書きだったと言われています。

 10月歌舞伎公演『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺』
10月2日(水)~26日(土)
12時開演
※ただし、11日(金)・18日(金)は午後4時30分開演


チケット予約開始は9月6日(金)午前10時
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