歌舞伎公演ニュース

2018年10月4日

【10月歌舞伎】『通し狂言 平家女護島』好評上演中!

 歌舞伎公演では初めて文化庁芸術祭オープニングを飾る10月歌舞伎公演『平家女護島』が、1日(月)に華やかに幕を開けました。
 近松門左衛門の傑作『平家女護島』は、軍記物語の代表作『平家物語』を題材にした全五段の時代物で、歌舞伎では、平家打倒の計画に参加して流罪となった俊寛僧都の悲劇を描く「鬼界ヶ島」が、専ら単独で上演されます。
 平清盛生誕900年に当たる今年、物語の背景となる清盛の存在にも光を当て、清盛の横暴や俊寛の妻・東屋の自害を描いた「六波羅清盛館」、名場面「鬼界ヶ島」に、皇位を狙う清盛が亡霊に苦しめられる「敷名の浦」という場面構成で、23年ぶりに通し上演でご覧いただきます。

 俊寛を流刑に処した平清盛(中村芝翫)は、俊寛の妻・東屋(片岡孝太郎)に言い寄ります。清盛の邪恋をはねのける東屋に対し、俊寛を島から戻すかどうかは東屋の返事次第と言い放つ清盛。能登守教経(中村橋之助)の情けある言葉を聞いた東屋は、ある決断を下します。この決断が、次の「鬼界ヶ島」の伏線となります。悲しみをこらえて気丈に振る舞う東屋の姿は涙を誘います。

序幕 「六波羅清盛館の場」
序幕 「六波羅清盛館の場」
(左より)俊寬妻東屋(片岡孝太郎)、平相国入道清盛(中村芝翫)ほか

 「鬼界ヶ島」では、俊寛(芝翫)が、丹波少将成経(中村松江)と海女千鳥(坂東新悟)の恋に心を浮き立たせます。妻との再会を夢見て都に帰る日を待ち侘びる姿に哀感が漂います。島に赦免船が到着しますが、上使・瀬尾太郎兼康(中村亀鶴)が取り出した赦免状には俊寛の名はありません。嘆く俊寛にもう一人の上使・丹左衛門尉基康(橋之助)は、教経の恩情により俊寛は備前国(現在の岡山県)まで戻ることが許可されたと告げます。喜ぶ俊寛でしたが、瀬尾から最愛の東屋の死を告げられ、千鳥が乗船を拒否されます。その時、俊寛は……。「清盛館」の上演によって、「鬼界ヶ島」で綴られる俊寛の悲劇がより一層胸に迫ります。

二幕目「鬼界ヶ島の場」
二幕目「鬼界ヶ島の場」
(左前より)俊寛僧都(中村芝翫)、丹波少将成経(中村松江)、
海女千鳥(坂東新悟)ほか


二幕目「鬼界ヶ島の場」
二幕目「鬼界ヶ島の場」
(左より)俊寛僧都(中村芝翫)、瀬尾太郎兼康(中村亀鶴)ほか


二幕目「鬼界ヶ島の場」
二幕目「鬼界ヶ島の場」俊寛僧都(中村芝翫)

 「敷名の浦」で、清盛は後白河法皇(中村東蔵)に入水を迫った挙句、海に突き落とします。さらに、法皇を救った千鳥を殺害し、海に蹴落とします。巨悪としての存在感を放つ清盛は、御座船の舳先に立って海を見下ろし、不敵に高笑いします。しかし、驕る平家は久しからず、悪行の報いが清盛の身に迫っていたのでした。国立劇場の舞台機構を生かした御座船のスペクタクルや、俊寬の郎等・有王丸(中村福之助)の大立廻りは必見で、歌舞伎ならではの迫力をお楽しみいただけます。

三幕目「敷名の浦磯辺の場」
三幕目「敷名の浦磯辺の場」
(左より)海女千鳥(坂東新悟)、俊寛郎等有王丸(中村福之助)、
丹左衛門尉基康(中村橋之助)、丹波少将成経(中村松江)ほか


三幕目「敷名の浦御座船の場」
三幕目「敷名の浦御座船の場」
(左より)後白河法皇(中村東蔵)、平相国入道清盛(中村芝翫)


三幕目「敷名の浦御座船の場」
三幕目「敷名の浦御座船の場」平相国入道清盛(中村芝翫)

 当劇場には襲名後初出演の芝翫が俊寛と清盛の二役を熱演しています。また、東蔵の後白河法皇、孝太郎の東屋を始め中堅花形の俳優陣がさらに舞台を盛り上げています。芸術の秋にふさわしい義太夫狂言の名作を、この機会にぜひお楽しみください。
 なお、本公演では、多くの外国の方に歌舞伎をお楽しみいただけるよう、英語・中国語・韓国語のポータブル字幕機の貸出しを行っています(有料)。日本の伝統芸能に触れる一助としてご利用ください。



10月歌舞伎公演は、25日(木)まで
12時開演 但し、12日(金)・19日(金)は午後5時開演

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