歌舞伎公演ニュース

2021年9月22日

【10月歌舞伎公演】

『通し狂言 伊勢音頭恋寝刃』

中村梅玉、中村時蔵、中村又五郎が

意気込みを語りました!

 国立劇場開場55周年記念の10月歌舞伎公演は、旅情あふれる伊勢を舞台に、お家騒動の渦中、妖刀「青江下坂」をめぐって繰り広げられるドラマ『伊勢音頭恋寝刃』を通し狂言としてお楽しみいただきます。
 公演に先立ち、福岡貢を勤める中村梅玉、仲居万野を勤める中村時蔵、藤浪左膳・料理人喜助を勤める中村又五郎が意気込みを披露しました。


[左より]中村時蔵中村梅玉中村又五郎

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中村梅玉
(福岡貢)

 国立劇場開場55周年記念の歌舞伎公演第一弾の作品として、『伊勢音頭恋寝刃』を上演できるのは大変光栄なことで、責任をひしひしと感じています。

 福岡貢は私にとりまして大変重要な、思い出深い役です。と申しますのは、平成4(1992)年、私が梅玉を襲名した時の襲名披露狂言で、父(六代目中村歌右衛門)をはじめ、多くの先輩方に引き立てていただいた思い出のあるお芝居です。国立劇場では6年ぶりに勤めさせていただきますが、本当にありがたいことで、一生の財産にしたい役です。

 6年前とは共演者も一新されますが、時蔵さんをはじめとして、調和のとれた良い舞台を創り上げていくことができたらと思います。時蔵さんは何度も万野を勤めていらっしゃいますし、ご子息の梅枝さんが嘘で愛想尽かしをするお紺をどう勤めてくれるのかも楽しみです。再演、再々演でも、自分に慣れてはいけません。周りの人たちとコミュニケーションを取り、違った舞台をお見せできるよう、神経を使いたいと思います。

 このお芝居のもう一つの特徴は、お伊勢様を中心とする独特の情景や情緒です。二見ヶ浦で朝日が昇ってくる風情や、お茶屋では伊勢音頭の舞の会が開かれ、季節は夏、提灯も掛かっていますし、薄着で団扇をもってお芝居が進んでいく……、そういった全体を包み込む風情や情景も大きなポイントです。お家騒動のなかに、江戸の民衆の憧れであった「お伊勢様」の世界を持ってきたところに、やはり作者の意図があるのだと思います。お客様にはその世界に入り込んでいただいて、このお芝居を楽しんでいただきたいです。

 貢は微妙な立場の役です。かつては武士ながら、今は伊勢神宮に仕える御師(おんし)(神官の一種)で、町人ではありません。その辺りの兼ね合いから、前半は大小(刀)を差していますが、後半には着流しで出てくるような役ですので、二枚目ではあるけれども優男ではない、そういった味わいを出すのはなかなか難しいと思います。

 油屋でいじめられて、激高していくところは、皆さんとのお芝居の仕方が一番のポイントになると思います。最初から貢は、万野を殺すつもりなど全然ありません。脅しのつもりで刀を使い、叩いていたら鞘が割れて切ってしまう、そしてこれはどうしようもない、となって殺してしまいます。「青江下坂」という妖刀に導かれるようにして凄惨な場面になりますが、ただフワフワと妖刀の方だけが行ってしまうのも少し違っています。結局殺すことになる相手に、貢はそれなりに憎いという感情は持っているわけで、こうした表現や動きが難しいところですね。

 妖刀「青江下坂」は、ある意味、このお芝居の主役でもあります。最近は刀剣ブームですから、刀剣が好きで、今まで歌舞伎を観たことがない方にも、このお芝居をぜひ観ていただきたいと思っています。

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中村時蔵
(仲居万野)

 国立劇場は通し狂言での上演が特徴でございます。有名な『伊勢音頭恋寝刃』という作品の、普段は観ることのできない場面をお客様に観ていただくということで、私たちも一生懸命勤めたいと思います。

 万野は演じていてとても面白い役ですし、本当に嫌な役です(笑)。自分中心で、お金が大好き。お金のためなら、どっちにも転んでしまう女性ですね。自分が悪いことをしているので、それを隠すために貢をいじめています。こういう役は本当に難しくて、やりすぎると下品になりすぎてしまうので、歌舞伎の枠の中でそれがうまく表現できればいいなと思っています。

 昭和62(1987)年6月、中座で初めてお紺を勤めた時は、万野を(七代目)嵐徳三郎さんがなさいましたが、上方の雰囲気があってとても印象深かったです。万野をさせていただく時は、いつも思い出しながら勤めています。

 『伊勢音頭』では「油屋」「奥庭」が多く上演されますが、今回上演する序幕もどの場面も面白く、お客様も観ていて楽しいと思います。今回は息子の梅枝が、私も演じてきたお紺を勤めます。通し狂言で上演機会の少ない場をやることで、物語がよく理解できますので、息子たち若い俳優には芝居の深みというものを学んでもらいたいと思っています。

 大劇場のロビーには舞台に出てくる妖刀「青江下坂」のモデルとなった「葵紋康継」(葵下坂)が展示されます。私もぜひ拝見したいと思っています。刀剣ファンの方も必見ですね!

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中村又五郎
(藤浪左膳/料理人喜助)

 今回、藤浪左膳と料理人喜助を勤めさせていただきます。平成4年10月御園座での梅玉のお兄さんの襲名披露では、万次郎を勤めさせていただきました。成駒屋のおじ様(六代目中村歌右衛門)ともご一緒した思い出深い舞台です。

 藤浪左膳は、万次郎の伯父に当たる役で、お芝居の中で刀のいきさつを語るセリフもありますので、そこをお客様にはっきり伝わるようにしたいです。一方、喜助は2度目ですが、すきっとしたところを出して、かつての主君に思いを馳せながら、コテコテの上方でもなく、チャキチャキの江戸でもない、伊勢の雰囲気を出せるように勤めたいと思います。通し狂言の中で二役を勤めますから、それぞれ異なる人間像をうまく演じ分けられればと思います。

 息子の歌昇は、遊女お鹿を勤めさせていただきます。通し狂言なので、普段見ることの少ない場面を生で体験できるのはとても勉強になります。このお芝居を肌で感じる良い機会にしてもらいたいと思っています。

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 江戸時代の庶民の憧れだった「お伊勢参り」にちなむ二見ヶ浦等の名所、女芸人等の風物が登場し、劇場で伊勢路の旅を楽しむような趣向が盛り込まれたお芝居です。
 なお、公演期間中は劇場ロビーで、妖刀「青江下坂」のモデルとなった「葵紋康継(葵下坂/あおいしもさか)」を特別に展示するほか、伊勢の魅力を紹介するお楽しみも!
 感染症対策を徹底して、皆様のご来場をお待ちしております。

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10月歌舞伎公演『伊勢音頭恋寝刃』は
10月2日(土)初日、26日(火)まで!
※8日(金)・18日(月)は休演
12時開演

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