歌舞伎公演ニュース
2026年9月24日
10月歌舞伎公演
『本朝廿四孝 ―筍掘り―』
中村魁春、中村又五郎、
中村錦之助が
意気込みを語りました!
令和8年度(第81回)文化庁芸術祭のオープニングを飾る国立劇場令和8年10月歌舞伎公演では、『本朝廿四孝』より、通称「筍掘り」と呼ばれる知られざる名場面を27年ぶりに上演します。
公演に先立ち、中村魁春、中村又五郎、中村錦之助が公演への思いを語りました。


中村又五郎
(横蔵 後ニ山本勘助)
横蔵は、縦横無尽で好き勝手、わがままを言ったりしている人でありながら、後には、「実はこうだったんだ」と本性を現します。その時に役の大きさや、役の変わり目がしっかりと出ると良いなと思います。そして、前半はそういった大きさを肚に持ちながら、やんちゃな男を演じるのが難しいところです。歌舞伎らしく、最後には本性を現して“ぶっかえる”派手な演出もあるので、楽しんで観ていただきたいです。
「筍掘り」の場面は、27年ぶりの上演だそうでございます。また何年か後に、この場面がお芝居として上演できれば素敵だなと思いますし、そのためにも、一生懸命真摯に勤めなくてはいけないなと思っております。
作者の近松半二の作品には、「実は何々」というのが多いのですが、特にこの作品は全編を通して多いのではないでしょうか。さまざまな人間関係があり、それぞれにいろいろな筋があり、とても面白いお芝居です。冒頭には「諏訪明神お百度石の場」もついているので、物語の理解も深まりますし、隻眼の名軍師・山本勘助誕生の秘密も明かされますので、ぜひお楽しみください。

中村錦之助
(慈悲蔵 実ハ直江山城之助)
私が勤めさせていただく慈悲蔵も、“実は”が多いのですが、それをあまり意識せずに、その場その場でそのお役になりきって演じたいです。お客様が、山本勘助という軍師一族の策にはまってしまい、不思議な気持ちでお帰りになる……。そんなお芝居になればいいなと思っています。
慈悲蔵は、前半は母親からの無理難題にもめげない、まるでシンデレラの気分です(笑)。お客様には「健気だな」と思っていただけるように勤めたいですね。その後「裏手竹藪の場」では掘り出した箱を兄弟で取り合う立廻りの面白さがあり、最後はがらりと変わって武士になって出てきます。前半の横蔵とのやりとりと、後半の武士になってからの立ち居振舞いの変わり目をお客様に楽しんでいただきたいです。
「筍掘り」は大変面白い話なのですが、一場だけだと物語が成立しづらいこともあって、上演される機会の少ないお芝居です。こうしてその前の場面からやらせていただけるのは、とても良い機会ですし、国立劇場だからこそのお芝居です。ぜひ、足をお運びいただきたいです。
中村魁春
(母越路)
今回、母越路を勤めさせていただきます。これで、『道明寺』の覚寿、『盛綱陣屋』の微妙とあわせまして、「三婆」を全て勤めることになると仰っていただくのですが、実は以前に、『輝虎配膳』の越路を勤めていたので、すでに「三婆」をやったなと思っていたのですが……。『輝虎配膳』と『筍掘り』のどちらが「三婆」というのは決まっていないそうですので、「おまけの四婆」とさせていただこうと思っております(笑)。
越路は、とにかく二人の子ども、兄・横蔵と弟・慈悲蔵を武士にしたい、それだけを考えてきたんだと思います。横蔵に長尾景勝の身替りとして切腹を迫るのもそのためです。慈悲蔵に対しては、実は既に手を組んでいますが、お客様にとっては本当に不幸な慈悲蔵に映るように演じるところが見せどころだと思います。そして、横蔵に対しては、セリフにはありませんが、きっと勘助の名を継がせてあげたいという気持ちがあるのかなと思いますので、そうした心持ちで臨みたいです。
『本朝廿四孝』といえば、やはり「御殿(十種香)・狐火」があまりにも有名ですね。でも今回は久しぶりに、その前の「筍掘り」の段の上演です。もしかして間違って来るお客さんいるかもしれませんね。「あ、八重垣姫が出てない」とか(笑)。間違っていても大丈夫ですよ。きっとお楽しみいただけます。
雪深い山里を舞台にした親孝行がテーマのおとぎ話のような世界が一転、登場人物たちの思惑と駆け引きが交錯する、重厚な歴史ドラマに変貌します。その驚きに満ちた展開と歌舞伎ならではの美しい舞台を、心ゆくまでお楽しみください。
日本芸術院会員でもある中村魁春の母越路をはじめ、中村又五郎による横蔵 後ニ山本勘助、中村錦之助による慈悲蔵 実ハ直江山城之助、そのほか慈悲蔵女房お種に市川高麗蔵、長尾景勝に坂東彦三郎、高坂弾正とその妻唐織に片岡松之助と市村萬次郎、越名弾正とその妻入江に中村松江と市川齊入を迎え、充実した配役で舞台を盛り上げます。
皆様のご来場をお待ちしております。
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