あらすじSTORY

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- Chaplin KABUKI NIGHT
〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
TEL:03(3265)7411(代表)
都03(晴海埠頭―銀座四丁目―四谷駅)
「三宅坂」徒歩1分(本数僅少)
宿75(新宿駅西口―河田町―四谷駅前―三宅坂)
「三宅坂」徒歩1分(本数僅少)
『近江源氏先陣館』は、近松半二らの合作で、明和6年(1769)12月に全九段構成の人形浄瑠璃として初演され、翌年歌舞伎に移されました。「盛綱陣屋」は八段目に当たり、名場面として知られています。大坂の陣で活躍した真田信之(さなだのぶゆき)・幸村(ゆきむら)兄弟を佐々木盛綱(ささきもりつな)・高綱(たかつな)兄弟に置き換えるなど、時代背景を鎌倉時代に設定して、敵味方に別れた一族の悲劇を綴っています。
北條時政(ほうじょうときまさ)を中心とする鎌倉方と、源頼家(みなもとのよりいえ)を中心とする京方の間に争いが起こり、佐々木家の兄弟・盛綱と高綱は、敵味方に別れて戦っています。盛綱の陣屋に、高綱が自害したとの知らせがあり、首桶が運び込まれます。盛綱は、主君である時政の目の前で首実検を行います。その首を見て驚く盛綱。すると、捕らわれの身となっていた高綱の一子・小四郎(こしろう)が突然切腹します。盛綱が思慮を巡らした末に取った行動とは――。
襲名後、当劇場初出演となる白鸚が、祖父・初代中村吉右衛門、父・八代目松本幸四郎(初代白鸚)を経て継承された盛綱を、平成3年10月当劇場で演じて以来28年ぶりに勤めるほか、充実の配役でお送りします。
『近江源氏先陣館』の題材となった“大坂の陣”(1614~1615)は、徳川将軍家が大坂城を拠点とする豊臣家を滅ぼした合戦です。
本作における佐々木盛綱・高綱兄弟のモデルとなった真田信之(1566~1658)・幸村(1567頃~1615)兄弟は、現在の長野県上田市の真田地域を本拠地とした豪族の出身です。父・昌幸(まさゆき)と共に、数々の強豪がひしめく乱世をくぐり抜け、やがて東信濃随一の武将に成長しました。真田親子は、上田城の戦いで徳川方の大軍を二度にわたって撃退し、その名を天下に轟かせました。
しかし、天下分け目の関ヶ原の戦いの際、兄の信之は、父・弟と決別して徳川方に与することになります。敗れた父と弟は信之の嘆願によって死を免れ、高野山に幽閉されます。父は無念のうちに没し、弟の幸村は大坂の陣で豊臣方に味方して大坂城に入ります。そして、大坂城の南に出城「真田丸」を築くなど、徳川方と激闘を繰り広げますが、奮戦むなしく討ち死にし、豊臣家も滅亡します。
敵味方に別れた真田兄弟の悲劇が、本作では鎌倉時代の武将・佐々木兄弟に仮託して克明に綴られています。主君への忠義と血族への情愛との間で揺れる主人公・盛綱が下した苦渋の決断とは……?
盛綱の複雑な内面の変化を表情だけで表現する演技は最大のみどころです。28年ぶりに盛綱を勤める白鸚の渾身の舞台を、どうぞお見逃しなく!
『蝙蝠の安さん』は、数々の名作映画を世に残したチャールズ・チャップリンの代表作『街の灯(まちのひ)』を元に、劇作家の木村錦花(きむらきんか)が脚色した異色作です。主人公のキャラクターを、歌舞伎の名作『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』の蝙蝠の安五郎(やすごろう)に置き換えました。今年がチャップリン生誕130年、また、12月25日がチャップリンの命日であることに因み、昭和6年(1931)の初演以来、88年ぶりに上演します。
その日暮らしの生活を送る蝙蝠の安さんは、盲目の花売り娘・お花に出会い、一目惚れします。裕福な商人・上総屋新兵衛(かずさやしんべえ)は、妻に先立たれて絶望し、酒に酔って身投げしようとするのを安さんに止められたことで、安さんを気に入り、友人として家に迎え入れます。しかし、新兵衛には、酔いが醒めると酔っていた時の記憶を失うという悪い癖がありました。安さんは、お花の目の治療費を捻出しようと画策しますが、うまくいかず、新兵衛からお金を借ります。しかし、成り行きから泥棒と勘違いされてしまい――。
チャップリン映画の大ファンである幸四郎が、念願の蝙蝠の安さんに挑み、歌舞伎に新しい息吹を吹き込みます。
今なお世界中の人々に愛されてやまない“喜劇王”チャールズ・チャップリン(1889〜1977)は、大の親日家として知られ、生涯に4度、日本を訪れています。来日時には、長年の憧れだった歌舞伎を鑑賞し、初代中村吉右衛門や七代目松本幸四郎とも交流。歌舞伎を「世界一の舞台芸術」と絶賛しました。チャップリン生誕130年、さらに当公演中の12月25日にはチャップリンの命日を迎える今回、歌舞伎の舞台でチャップリンの魂が蘇ります。
毎週金曜日とクリスマスの夜7時からは“Chaplin KABUKI NIGHT”と銘打ち、『蝙蝠の安さん』を単独で上演します。この夜の公演限定で、劇場ロビーでチャップリン関連資料の展示や専用パンフレットの販売を予定しています。
また、チャップリンの命日とクリスマスを迎える12月24日・25日の終演後には、記念イベントを企画しています。
クリスマスシーズンの夜、劇場で大切な人と心温まる珠玉の名作をお楽しみください。
チャップリン自らの主演・監督・脚本・作曲による無声映画。世界恐慌の混沌とした時代を背景に、貧しい男が盲目の美しい花売り娘に寄せる淡い恋を描いた作品。
日本では昭和9年(1934)1月に封切られて、人気を博しました。