世代を超えて体感 伝統芸能のテーマパーク
折に触れ 30 年以上通ってきた私にとり、国立劇場は伝統芸能を体感できる総合的な魅力を湛えた場所だ。
京都での大学生当時から歌舞伎好きになり、時に東京にも夜行バスや列車で遠征。だが、さすがに頻繁には難しい。ネットも普及していない昭和の終わり。テレビや雑誌で東京の舞台を想像した。
伝説的なあの忠臣蔵通しは残念ながらテレビでしか触れられなかったが、老優と申してもいい名優らの花も実もある名演に魅せられた。改元直前の数日、浅草や歌舞伎座、国立劇場を2~3日かけて回り、京都に戻った朝に崩御の報に接したのも印象深かった。
社会人若手の頃は転勤族で、中堅になって東京にほぼ定着し、観劇機会も増えた。多くの舞台に接した中、「奮発」して1階で拝見した『合邦』で、梅幸丈の花道姿が目の中にある。
家族が増え、楽しみ方も増えた。大劇場はもちろん、小劇場の文楽、そして演芸場にも。いま10代の娘たちも小さい頃から連れていっており、そんな影響もあってか、娘らは進んで劇場に足を運ぶようになった。
特に上の娘は日舞を習い、先輩方の発表会を小劇場で拝見することも。また、吉右衛門丈の『俊寛』を親子で拝見した際は、まさかそれが丈の俊寛の見納めになるとは思いもよらなかった。きっと娘の記憶に残り続けるだろう。過日の舞台見学も堪能させていただいた。
展示や映像を楽しめるのも貴重だ。13代目の仁左衛門丈を中心にした公演の上映会では、大画面の迫力に思わず大向こうをかけたくなるほどの熱気が客席に溢れた。
演芸場も独自の切り口、企画で楽しい。落語や大神楽、奇術といった実演家の皆さんと交流できる体験の催しでは、ふだん寄席で見かける演者さんに間近に触れ、子どもたちも楽しませていただいてきた。「鑑賞教室」(歴史があるのは分かりますが、別名をそろそろ検討されてもいいかも)で、次代を担う若手らが説明役に舞台にと奮闘する姿もうれしい。2代目の国立にも大いに期待したい。
(匿名のお客様より)