国立劇場と私
国立劇場は観劇以外にも嬉しくなることが沢山ありました。
文楽に初めて行ったとき、一部の後、二部を待つ間のことです。観客は外に出るでもなく、ロビーの椅子に座り和やかに過ごしていると、職員が客の間をまわり次の舞台の切符を切っていきました。外で待つとしたら、寒い日暑い日、年配も多いし、疲れる事でしょう。
また、大雪の日の観劇後、劇場後ろの地下鉄入口に向かう時、大勢の職員が歩道の雪かきをしてくれていました。
ロビーが舞台になったこともあります。熊本地震後でしたが、幕間に、吉田簑助さんが加藤清正公を抱えて現れ、復興募金をお願いされました。わずかですが募金をして、3人一緒の写真を撮ってもらいました。並んでいる清正公は舞台で見る以上にとても威厳を感じ、吉田簑助さんは反対にやさしく感じられました。この写真はちょっとお守りという感じで、スマホの中で、誰にも見せずに取ってあります。私も国立劇場らしい復興のお手伝いができたようで嬉しかったです。
その後、研修生への支援の呼びかけなどもあり、多分職員さんたちが何かある度に話し合い、私たちに呼び掛けたり、気持ちを向けてくれているのでしょう。国立劇場自体に他の劇場にはない身近さを感じられるようになりました。
劇場というのは、舞台の上の光あふれる世界と、職員さん達のプロの運営技術、観客への気遣いなどの様々なエネルギーで動いているのですね。新・国立劇場も様々な熱意で輝いていくことでしょう。
観客も観劇以外に何か古典に対してお手伝いというか、できる事があるのでしょうか。
遠い新潟にいますが、私にも参加できる部分があるのか、と楽しみです。
(渡辺景子様より)