初代国立劇場と私
自分は高齢ですが、中学をでて就職した時、体が小柄でスポーツも苦手だし、体質的にお酒も飲めないので、演芸を毎月一度見て、人生を楽しみ働いていこうと思いました。安月給でそのようにはできませんでしたが、それでも新宿末廣亭や歌舞伎座の3階席で度度楽しみました。
昭和41年に国立劇場ができてからは、主に国立劇場で歌舞伎を楽しみ、あぜくら会の加入年数も3、40年になるでしょう。三日目の会にもしばらく加入していました。
思い出としては結婚当初、妻にも同じ趣味を持たせようと思い、勤めを休み、1等席を買い観劇に行き、座席に座ったところ空席が多く、係員が小柄な自分のために子供用の補助イスを持ってきてくれました。それをみて妻はクスクス笑い、その後居眠りしてしまいました。
小さい勘九郎や中村歌右衛門の姿が懐かしい思い出です。
帝国劇場、明治座、新橋演舞場が建て替えられ、国立劇場もとなり、昔の建物の劇場は三越劇場くらいで、一抹の寂しさはありますが古くなれば仕方ありません。新劇場ができる日を楽しみにしています。
(江澤兵治様より)