国立劇場の妖精くろごちゃん
国立劇場に通い始めたのは四十歳を過ぎてから。
ご多分に漏れず年齢を重ねてから日本の古典芸能に興味がでてきたのです。
わけても着物で劇場に行くのが何より楽しみとなり、特に国立劇場の文楽公演は欠かさず観劇しています。
通い始めてすぐ国立劇場には、黒衣をイメージしたくろごちゃんというマスコットがいることに気づきました。ぱっと見た瞬間に懐かしさがよぎり、その愛らしさに惹かれグッズを売店で買いました。
調べてみるとくろごちゃんの作者は、私が子供の頃に夢中で読んでいた漫画の作者である、たちいりハルコ先生だと分かりました。
それは小学生向けの漫画でしたが、ヤマタノオロチや忠臣蔵など、今思い返せば歌舞伎や文楽でおなじみの話が盛り込まれていました。
私、小学生の時すでに漫画で古典芸能の端っこに触れていたんだ、そしてその漫画家の先生は数十年の時を経て国立劇場で行われる鑑賞教室のイラストも描いていらっしゃる。
そう思うと自分が国立劇場に通いだしたのも自然なように感じます。
それからくろごちゃん登場日のチケットは必ず買って幕間にくろごちゃんを沢山撮影しました。
見得を切るくろごちゃん
桜の絨毯を駆け抜けるくろごちゃん・・・
画像はSNSで毎日投稿し続けています。
ある日、国立劇場で私のハンドルネームを呼んで声をかけてくれた女性がいました。
そう、くろごちゃんの生みの親、たちいりハルコ先生が私の毎日の投稿を見ていて、劇場で待っていてくれたのです。先生は着物姿の私とくろごちゃんをSNS上で見ていたのですぐに私がわかったそうです。
昔から大ファンであったこと、くろごちゃんのおかげで観劇の楽しみが増えたこと、お伝えできて感激でした。
今の建物がなくなるのは寂しいけれど、二代目の劇場が完成し、再び充実の観劇ができるその日を、国立劇場の妖精くろごちゃんとともに待ちたいと思います。
(くろごちゃんファンクラブ会長より)
(福田香鶴様より)