思い出の演目
初めて国立劇場にお邪魔したのは、坂東玉三郎さんが主役を務められた沖縄の新作組踊「聞得大君誕生」の小劇場公演でした。沖縄芸能に親しんできた私は是非観たいと思い、母と叔母、妹と一緒に静岡より観劇に伺いました。沖縄の舞踊家達との共演はさすが玉三郎様と感じる素晴らしい舞台でした。
その後も幾度となく劇場にはお邪魔しましたが、印象深いのは関西在住時代に慣れ親しんだ竹本住太夫師の引退公演、シェークスピアの戯曲を基にした新作文楽『不破留寿之太夫(ふぁるすのたいふ)』。特に新作文楽はこれからの伝統芸能の未来を拓く感動的な舞台でした。ストーリー、舞台装置、演者全てが一体となり、ある意味文楽という枠を超えた良い作品でした。私自身又観たいし、世界中の人に観てもらいたい普遍性を持った人形作品だと思いました。様々な芸能を次世代に渡す、新しい国立劇場に期待しています。
(齊藤央乃様より)