養成事業

歌舞伎音楽(長唄) 研修修了生からのメッセージ

杵屋 巳勇次

  • 杵屋 巳勇次(きねや みゆうじ)
  • 第2期歌舞伎音楽(長唄)研修
    (平成14年4月~17年3月)修了生
  • 昭和51年10月生
  • 東京都出身
  • 杵屋巳太郎師に入門
  • 平成17年5月歌舞伎座「春興鏡獅子」で初舞台

歌舞伎の世界に入ろうと思った動機を教えてください。

 学生のときに歌舞伎を観たのがきっかけでした。歌舞伎座の四階席で一番遠い場所でしたが、舞台と客席の両方が見渡せました。劇場全体が熱気に包まれ、一体となって盛り上っているのに圧倒されました。また、表舞台だけでなく、目に見えないところでも、大勢の人々が舞台を支えているのだろうと思いました。
 幼い頃から音楽を聴いたり楽器を奏でるのは好きでしたが、歌舞伎の舞台で演奏される音楽に接してみて、とても魅力を感じました。自分も、舞台をつくる大勢の人々の一員になりたい。音楽の方面から歌舞伎の世界に飛び込んでみたいと思ったのです。

黒御簾音楽(長唄)の演奏者という仕事の魅力を教えてください。

 場面に即した演奏によって芝居の雰囲気を盛り上げる。そうすることで自分自身も、その芝居の世界に入りこんだ気になれる。日常とは全く別の世界を体験できるのは大きな魅力です。

研修中と、舞台に立つようになってから、一番印象に残っていることを教えて下さい。

 研修中は毎日が驚きと発見の連続でした。師匠のお手本に涙してしまい、お稽古にならないなんてこともありました。
 舞台に立つようになって役者さんを後ろから見るのが新鮮でした。見得を切ったとき、背中から放たれる強烈な印象は脳裏に焼き付き、毎日の刺激と活力となっています。

歌舞伎音楽(長唄)の研修生に応募を考えている皆さんにメッセージをお願いします。

 皆さんにとって、研修生に応募することは伝統芸能という、未知の世界への旅立ちのようなものかもしれません。希望もあれば不安もあるでしょう。しかし、勇気をもって踏み出せば、きっと新たな自分を発見することでしょう。