日本芸術文化振興会トップページ  > 国立能楽堂  > 【千駄ヶ谷だより】 菅原道真の天神伝説(6月7日定例公演)

国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】菅原道真の天神伝説

 国立能楽堂6月7日の定例公演は、菅原道真の天神伝説を素材とした能「雷電」を上演します。

能「雷電」あらすじ
 比叡山延暦寺の法性坊僧正のもとに菅丞相(菅原道真)の霊が現れます。菅丞相は、僧正に生前の師恩を謝す一方で、自分の望みが遂げられなかった恨みを晴らすために雷神となって、御所に乱入して公卿殿上人を殺そうと思うから、参内を求められても決して行かないように頼みます。僧正が、一、二度ならともかく、三度も勅使を遣わされては参内しないわけにはいかないと答えると、菅丞相は怒って、本尊に供えてあった柘榴(ざくろ)を噛み砕き、妻戸(開き戸)に吐きかけ火焰を起こします。しかし、僧正は騒ぐ様子もなく呪文を唱えると火焰は消え、菅丞相も煙の中に消えてしまいます。
 ところ変わって京都御所。僧正が召されて祈祷を唱えていると、突然黒雲が覆い、雷が鳴り響いて、菅丞相の怨霊が雷神の姿となって現れます。雷神は、僧正の説得にも耳を貸さず、内裏のいたるところで荒れ狂います。祈る僧正と雷神との戦いは続きますが、雷神はついに僧正の法力に屈し、また、帝から天満大自在天神との贈官を得たので、黒雲に乗って虚空へ上がっていくのでした。

見どころ
 前場は、師弟である僧正と菅丞相(の霊)のうちとけた語り合いから始まるものの、菅丞相が自分に苛酷であった人々に報復しようという決意を語るところで一転。荒々しい雰囲気となります。菅丞相が怒りで柘榴を噛み砕き、火焰を起こす場面にご注目ください。
 後場は、京都御所の紫宸殿と清涼殿を表す一畳台が、舞台の左右に置かれます。この二台を渡り合う雷神と僧正の両者。舞台全体を使った熾烈な争いは、シテはもちろん、ワキにとっても大役です。ダイナミックに繰り広げられる展開をご堪能ください。

菅原道真
 菅原道真は、平安時代の学者・政治家です。学者・文人の家に育った道真は、宇多天皇に重用され右大臣まで上りますが、左大臣・藤原時平の中傷によって、大宰府に左遷され、無念の死を遂げます。道真の死後に起きた天変地異や藤原氏の死は、道真の祟りと恐れられ、後に道真の御霊を神格化した天満天神として信仰の対象となり、現在は学問の神として親しまれています。

 菅原道真を題材とした、人形浄瑠璃や歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」は、三大名作のうちのひとつとされ、人気演目として繰返し上演されています。道真は、不遇の賢人、悲劇のヒーローとして、庶民の絶大な同情と尊敬とを広く集めていたようです。
 様々な伝説の残る菅原道真の一面を、能「雷電」で覗いてみてはいかがでしょう。


 シテ:関根知孝  撮影:前島吉裕

●公演の詳細はこちら

 

 

  • 平成29年度歌舞伎・能楽・文楽鑑賞教室のご案内
  • 障害を理由とする差別の解消に関するご相談窓口
  • 会員募集中! 国立劇場友の会 あぜくら会
  • 伝統芸能を「調べる」「見る」「学ぶ」文化デジタルライブラリー
  • 養成事業 能楽・文楽・歌舞伎俳優・竹本・鳴物  研修生募集中! 平成29年4月開講
  • 芸術の創造・普及活動を援助する 芸術文化振興基金
  • 国立能楽堂 出版物のご案内