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【千駄ヶ谷だより】 幻想的に咲く藤の花 (5月10日定例公演)

 桜は早くも満開を過ぎ、散る花を惜しむ季節となっています。桜を背景にした能は数多ありますが、5月10日の定例公演では、晩春に合わせて、春を惜しむ藤の花が主人公の能「藤」を上演します。
 越中の国(現在の富山県)氷見の里、今を盛りと咲く藤の木蔭から女が現れます。女は、旅の僧が口ずさんだ古歌が藤の花にとっては不名誉で「もっとよい歌を思い出してください」と、他の藤の歌を詠み並べます。後半、女は美しい藤の精の本体を現し、僧の読経のおかげで花の菩薩になれたと告げます。草木成仏の理を説き、春夏秋冬に万物の流転を観じて舞を舞ううちに春の夜は明けていきます。

 能「藤」の成立は遅く、江戸初期と考えられていますが、流麗な詞章と節付で、特に今回上演の宝生流では人気曲としてしばしば上演されます。幻想的に咲き匂う藤の花が主人公であること、また能の舞台が江戸期以来宝生流の盛んな越中の国であることが理由でしょうか。越中布勢水海(ふせのみずうみ)は、万葉集の歌人として名高い大伴家持が国守として赴任し、遊覧したことで知られています。湖水に映る藤は家持が歌に詠んで以来、風光明媚な名所となり、多くの和歌に詠まれ、この能の背景ともなりました。そういえば、この能には現在も残る地名の数々が謡いこまれていることも大きな特徴です。

 来年(2018年)は家持が誕生して1300年の記念の年。今年から来年にかけて富山県をはじめ各地で様々な記念事業が予定されているそうです。
 能「藤」は、見た目に美しく、聞いて心地よい、初めて能をご覧になる方にもふさわしい演目です。能「藤」を見てから、家持そして能ゆかりの地を訪れるのも一興でしょう。



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