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シテ方宝生流・武田孝史氏インタビュー

◆7月30日企画公演の「源氏供養」に出演の宝生流シテ方・武田孝史氏に
 「源氏供養」の見どころと意気込みをうかがいました。


―「源氏供養」は、30代の時に舞いましたが、洗練された能で、年を重ねてからもう一度舞いたいと思っていた曲です。

 特に今回は“真之舞入(しんのまいいり)”という宝生流独自の小書(特殊な演出)で演じます。上演される機会はあまりなく、“序ノ舞”が入る重厚なものです。また、二段クセと言って、小書がない場合のクセの上に、さらにクセの詞章を追加していくものなので、長くて非常に難しい曲となります。『源氏物語』の巻名五十四帖すべてが巧みに謡に織り込まれており、『源氏物語』を知っている人は特に興味深く聴いていただけると思います。

 作者である紫式部が主役というのも珍しく、作品の中の人物・光源氏を供養する内容も独特です。

 紫式部の心境に思いを馳せるとともに、観客の皆さまに石山寺に現れる式部の風情が思い浮かぶよう無心に舞います。『源氏物語』の世界に入り込む手助けができれば幸いです。―



◆「源氏供養」の概要

『源氏物語』の作者紫式部は、主人公光源氏を供養しなかったという罪で地獄に堕ちますが、安居院法印の供養により救われます。『源氏物語』の巻名が織り込まれた美麗な詞章、そして石山観世音の化身ともいう紫式部の舞がみどころ。世の無常と仏教観に彩られた、優雅で品格ある作品です。

◆詞章(抜粋・帯は『源氏物語』巻名)

地謡 そもそも桐壺の、夕べの煙すみやかに法性の空に至り、箒木の夜の言の葉は終覚樹の花散りぬ、空蝉の空しきこの世をひては、夕顔の露の命を観じ、若紫の雲の迎へ末摘花に座せば、紅葉のの秋の落葉もよしやただ、たまたま、仏意にあひながら、花のえんに立ち帰り草、のさして往生を願ふべし

シテ 花散る里に住むとても

地謡 愛別離苦のまぬかれ難き道とかや、ただすべからくは生死流浪須磨の浦を出でて、四智円明の、明石の浦に澪標つまでもありなん紅梅匂ふ宮乙女の袖をかざしつつ、胡蝶の舞や横笛の、音も鈴虫の夕まぐれ、夕霧まよふに、の影やかがり火のただ蓬生の宿ながら、菩提の道を願ふべし、御幸のの野をゆけば、ここは関屋椎が本若菜早わらび折りつみて絵合はせの興にあひ、松風の吹くとても、業障薄雲は晴るること更になし

シテ 初音ふりゆく

地謡 初音ふる時鳥、露の起居の常夏の、みだるる野辺に揚巻の、牛飼ひなるる袂まで野分の通ふ今朝までも、秋の風消えずして、紫磨忍辱藤袴御法の声のさまざまに、上品蓮台に心をかけて真ある、七荘厳の、真木柱のもとに行かん柏木いつしかに、筋なき恋を、梅が枝の、匂ひにうつる我が心、藤の裏葉に置く露の、その玉かづらかけしばし朝顔の光頼まれず

シテ あしたには栴檀

地謡 蔭に宿り木名も高き、官位を、東屋内にこめて、楽しみ栄えを竹川の波にただよふ浮舟ふべしとかやこれも橋姫蜻蛉の身なるべし、手習ひの宵の間に、夢の浮橋を打ち渡り、身の来迎を願ふべし。源氏の巻の数々を、ここにしるしてすがの根の、永き春日に遊ぶなる、いと 打ちよりはへていざいざ舞をかなでむ

地謡 雲がくれ


 同時上演の箏曲「石山源氏」は、上・下続けて演奏されることは滅多にありません。
 折しも今年は石山寺の本尊の秘仏・如意輪観世音菩薩が、33年に一度の御開扉をされています。
 このたびの企画公演をどうぞお見逃しなく!

 


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